血管造影装置と同じ患者寝台を用いてCT撮影が可能なシステムは、カテーテルを挿入したまま患者さんを動かさずに、より高精度なIVR(Interventional Radiology)を短時間で安全・確実に行えることから広く利用されています。これをさらに発展させ、血管造影装置とCTをそれぞれ単体に分割して利用できるよう工夫した臨床利用例の報告があります 。この法令適用を考えます。
エ 可動壁で隔てられた2つの室にそれぞれエックス線装置を設置し、それぞれの室で異なる患者の診療を行い、必要に応じて可動壁 を開放し1つの室のエックス線装置を他の室に移動させ同一室に おいて2台以上のエックス線装置を使用する場合にあっては、アからウにおける構造設備の基準等を満たすとともに、次の(ア)から(ウ)に掲げる点に留意すること。
(ア) エックス線装置を設置した2つの室をそれぞれ独立したエックス線診療室とし、それぞれの室について規則第30条の4の 規定に基づく構造設備の基準を満たす必要があること。
(イ) エックス線装置の使用中は2つの室を隔てた可動壁を開放できない構造とすること。
(ウ) それぞれの室にはいずれの室のエックス線装置を操作する場所も設けないこと。
従って、このような事例の法令適用を考える際には、放射線防護の基本を踏まえてエックス線診療室が備えるべき放射線のシールド性能をきちんと確認することが最低条件となるでしょう。
また、このような使用法がより普及することが想定され、法令適用上の混乱が避けられないのであれば、医療現場での自主的なガイドラインを基に、規制上の整理がつくように法令を整備することも求められそうです。
種山英記, 小原信也, 中島英樹, 石津誠,横山孝徳, 勢登和夫, 笹本和夫.検査室分割型IVR-CTシステムの構築とCT装置のスライス位置再現性の検討(会議録).日本放射線技術学会雑誌.60巻9号 Page1216(2004.09)
小原信也.IVR対応FPD Angiography-CT systemの効率的運用(会議録).日本放射線技師会雑誌.51巻10号 Page905(2004.10)
Kinoshita T, Yamakawa K, Matsuda H, Yoshikawa Y, Wada D, Hamasaki T, Ono K, Nakamori Y, Fujimi S. The Survival Benefit of a Novel Trauma Workflow that Includes Immediate Whole-body Computed Tomography, Surgery, and Interventional Radiology, All in One Trauma Resuscitation Room: A Retrospective Historical Control Study. Ann Surg. 2017 Sep 26. doi: 10.1097/SLA.0000000000002527″>
社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院
済生会横浜市東部病院
Hybrid Emergency Room System (HERS) 研究会
東京都立墨東病院
大阪大学医学部附属病院 医療技術部放射線部門 柳川 康洋.最先端の救急医療への試み!当院における CT 初療室の現状
新たなモデルケースの構築を目指しているそうです。
平成 23 年 8 月の稼働以来,約 1 年間で約2000 件の検査をハイブリッド初療室で施行した.内訳としては,救急搬送された外来患者の CT が 1100 件(外傷患者で全身 CT 撮影を行った場合は,頭部と体幹部で 2 件とした), ANGIO が 50 件,フォローアップを含めた入院患者の CT が 700 件,ANGIO が 200 件であった.
Daiki Wada, Kazuma Yamakawa, and Satoshi Fujimi.First clinical experience with IVR-CT system in the emergency room: Positive impact on trauma workflow>
The Survival Benefit of a Novel Trauma Workflow that Includes Immediate Whole-body Computed Tomography, Surgery, and Interventional Radiology, All in One Trauma Resuscitation Room: A Retrospective Historical Control Study
北海道大野病院
国立病院機構岡山医療センター
関西医科大学.世界初の機構を持つ 2 ルーム CT 導入
JIRA.X線透視診断装置引渡しにおけるガイドライン(2012年10月19日Ver. 1.2 RPD-009)
8)2台以上のX線発生装置を1つの部屋に設置する場合は同時曝射防止(インターロック)を確認すること。