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No.33 診療用高エネルギー放射線発生装置搭載型 治療位置決め用エックス線装置(OBI)のしゃへい計算

リニアック室のしゃへい計算は、(1)診療用高エネルギー放射線発生装置、(2)治療位置決め用エックス線装置(以下OBI)を加算し評価します。
OBIは、(1)透視撮影、(2)コーンビームCT撮影が可能であり、その両方を評価して、複合計算をするように指導を受けました。
しかし、透視撮影とCT撮影は同時には行わないので、複合計算は不要ではないですか?

記事作成日:2011/01/12 最終更新日: 2020/02/22

現場の担当者の疑問

治療位置決め用エックス線装置(OBI)の使用方法

透視撮影とCT撮影は同時に行うことはなく、透視撮影が主に用いられます。

透視とCTの併用

コーンビームCT撮影機能を備えた血管撮影装置などでも、透視とCTが併用されます。
このように同じ装置でも使い方に多様性があるときに、それぞれの使用方法で評価する必要があるのか疑問で持たれることがあるようです。

照射条件の多様さ

実際は透視撮影も、患者ごとに、透視時間、撮影時間が異なります。
血管撮影装置の場合、コーンビームCT撮影と、同様の撮影方法で3Dアンギオグラフィが撮影されます。
このように同じ透視撮影装置で、さまざまな撮像方法があるときに、それぞれの撮影方法で評価する必要があるのか疑問で持たれることがあるようです。

考え方を整理してみましょう

事前放射線安全評価のあり方

事前放射線安全評価は、1週間や3月間の線量を確認するもので、照射時の線量率を確認するものではありません。
従って、同時にそれらの機能を使うかどうかは、事前放射線安全評価上、考慮する必要がありません。

透視とCTの事前放射線安全評価に違いはあるのか

CT装置としての評価と透視撮影としての評価には、本質的な違いがありません。CT装置として使用するときの実効稼働負荷の増加や一次ビームの方向の多様性が、透視撮影時の照射として反映されていれば、特別にCT装置として安全評価をする必要はないと考えられます。

一件あたりの実効稼働負荷の違いをどう考えるか

この事例では患者一人あたりで実効稼働負荷では、2.5倍の差異があるそうです。もっとも1週間に行える人数がそれぞれの照射法で異なっているので、患者一人あたりの実効稼働負荷の違いがどの程度相殺されるか考慮してもよいでしょう。

装置の使用法に多様性がある場合の評価法

装置の使用法に多様性がある場合には、
(1)安全側に設定して評価する
(2)確率論的に評価する
(3)その他(例えば、TBIで照射時間ではなく線量を変数として用いるなど)
が考えられるでしょう。これまでは、(1)安全側に設定して評価することが一般的
であったと思いますが、それがあまりにも安全側過ぎる場合には、より合理的に設定することを考えてもよいでしょう(NCRP Report No. 147は、実態調査を元に、パラメータを合理的に設定するという方向です)。

透視とコーンビームCTの放射線安全評価のまとめ

評価法は基本的には同じ

・X線管からの漏えい
・一次線
→ともに複数方向設定
・散乱線
→同じ

パラメータは異なる

・CBCTの方が患者あたりの実効稼働負荷は大きい
→透視に比べCBCTは2.5倍

CBCTを透視と見なして計算した場合の問題点

・患者数を変数にすると、患者あたりの実効稼働負荷が2.5倍異なるので過小評価する。

変数をどこまで細かく設定するか?

・細かく設定すると過大評価は避けられる。
→細かく設定すると手間が増えるのでトレードオフ

リニアックと透視とコーンビームCTなどと同時照射して漏えい線量を測定すべきですか?

評価すべきなのは一定期間の積算線量

最大の漏えい線量率を把握する必要は必ずしもありません。

透視とコーンビームCTも照射して漏えい線量を測定すべきですか?

評価すべきなのは壁の遮へい能力(使用する線量が把握できている場合)

より高いエネルギーの光子に対する壁の遮へい能力が測定により把握できている場合には、よりエネルギーが低い光子に対する壁の遮へい能力は内挿で求めることができるでしょう。
実効稼働負荷が極端に異なる場合は、そのことも考慮して評価するとよいでしょう。