検索結果

No. 274 規制対象のエックス線装置

日本の法令とIAEAのGSR part3では、規制対象のエックス線装置は同じですか?

記事作成日:2015/02/05 最終更新日: 2023/11/12

異なっています。

IAEAのGSR part3

EXEMPTION AND CLEARANCE

Radiation generators of a type approved by the regulatory body, or in the form of an electronic tube, such as a cathode ray tube for the display of visual images, provided that:
(i) They do not in normal operating conditions cause an ambient dose equivalent rate or a directional dose equivalent rate, as appropriate, exceeding 1 μSv/h at a distance of 0.1m from any accessible surface of the equipment; or
(ii) The maximum energy of the radiation generated is no greater than 5 keV.

医療法施行規則

エックス線装置の届出

第二十四条の二  病院又は診療所に診療の用に供するエツクス線装置(定格出力の管電圧(波高値とする。以下同じ。)が十キロボルト以上であり、かつ、その有するエネルギーが一メガ電子ボルト未満のものに限る。以下「エツクス線装置」という。)を備えたときの法第十五条第三項 の規定による届出は、十日以内に、次に掲げる事項を記載した届出書を提出することによつて行うものとする。

特定X線装置

電離則では、10 kV以上は特定X線装置とされているようです。
二十二 波高値による定格管電圧が十キロボルト以上のエツクス線装置(エツクス線又はエツクス線装置の研究又は教育のため、使用のつど組み立てるもの及び医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第四項に規定する医療機器で、厚生労働大臣が定めるものを除く。)
労働安全衛生法施行令
電離放射線障害防止規則

電離則では、軟線を利用する蛍光分析エックス線装置も規制対象であると考えられます。
電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令の施行について.基発第1号.昭和64年1月1日

労働安全衛生法施行令

第十三条

3 法第四十二条((譲渡等の制限等)第四十二条 特定機械等以外の機械等で、別表第二に掲げるものその他危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない。)の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。

二十二 波高値による定格管電圧が十キロボルト以上のエツクス線装置(エツクス線又はエツクス線装置の研究又は教育のため、使用のつど組み立てるもの及び医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第四項に規定する医療機器で、厚生労働大臣が定めるものを除く。)

検討例

橋本 明宏, 釣田 幸雄, 加藤 敏江, 柴田 理尋, 飯田 孝夫.人事院規則に基づいたエックス線装置使用に関わる安全管理体制の確立

過去の経緯

小西恵美子, 吉澤康雄.研究用.X線 装置および電子顕微鏡の放射線管理-人事院規則改正を中心として

事例

産総研

独自ルール適用例

放射線装置に関する申し合わせ(旧)
放射線装置に関する申し合わせ

労基と調整中としている例

法人化に伴う電子顕微鏡およびその使用者の管理の変更について
X線については既に改定済みで段階的なルールを適用されているそうです。
エックス線装置を5段階に分類
林 恵利子, 小池 裕也, 木村 圭志, 飯本 武志, 小佐古 敏荘, 中西 友子.研究用エックス線装置の分類安全管理方法に関する考察

段階的な管理の実践例

エックス線装置の防護要件
中学校で使われるクルックス管は、どれに該当するでしょうか?

電子顕微鏡から漏洩する放射線対策

電子顕微鏡のの防護要件

必要があれば見直すとしている例

X線装置のみを使用する放射線取扱者は極めて少人数であると考えられるため、当面、放射線障害防止規定は現状のままとし、必要があれば見直す。

規制改革

全国規模での規制改革要望に関する検討要請の実施について(お知らせ)
電離放射線障害防止規則におけるX線装置にかかる届出義務の簡素化

線量率基準

電離則の適用を受けるエックス線装置には、テレビ、電子顕微鏡等他の目的で用いられる装置で副次的にエックス線が発生する装置は含まれない。
これは、副次的にエックス線が発生する量は、例えばテレビで多くて数μSv/hという微量であるのに対し、主体的にエックス線装置を用いて間接撮影や透視を行う場合には、1回当たり、約50~600μSvの被ばくが考えられているためである。

通常の電子顕微鏡は、放射線の世界でいう「荷電粒子を加速する装置」ではないことは、明らかであることから

定量的な評価

    • IAEAでは免除レベルとして線量率基準を提示
    • 弱透過性の放射線だと線量当量の種類で数値が大きく異なる
      • 副次的にX線を発生する機器でもここで示されたのよりも高いレベルの線量率となるものもありうる
    • 数μSv/hだとバックグラウンドの線量率の数百倍になりえるので、「微量」とは受け止めない方がおられるかもしれない。

放射線審議会の動向

なお、第1号~第3号のエックス線装置等放射線装置については、現在、放射線審議会において、放射線を発生する装置における規制の免除の要件について検討されている状況にあることから、その検討を待ちたいと考えている。

特定エックス線装置の防護措置

電離則

(照射筒等)

第十条 事業者は、エックス線装置(エックス線を発生させる装置で、令別表第二第二号の装置以外のものをいう。以下同じ。)のうち令第十三条第三項第二十二号に掲げるエックス線装置(以下「特定エックス線装置」という。)を使用するときは、利用線錐すいの放射角がその使用の目的を達するために必要な角度を超えないようにするための照射筒又はしぼりを用いなければならない。ただし、照射筒又はしぼりを用いることにより特定エックス線装置の使用の目的が妨げられる場合は、この限りでない。
2 事業者は、前項の照射筒及びしぼりについては、厚生労働大臣が定める規格を具備するものとしなければならない。

(ろ過板)

第十一条 事業者は、特定エツクス線装置を使用するときは、ろ過板を用いなければならない。ただし、作業の性質上軟線を利用しなければならない場合又は労働者が軟線を受けるおそれがない場合には、この限りでない。

特定エックス線装置ではないエックス線装置

蛍光分析エックス線装置は、これらの適用外とされています。

人事院規則10―5(職員の放射線障害の防止)の運用について

第9条関係

1 第1項第2号の「専用の室内に設置することが著しく困難なエックス線装置」には、当該エックス線装置を専用の室内に設置した場合に、その使用目的が著しく妨げられることとなるものが含まれる。
2 第2項第2号の「エックス線装置の種類」としては、エックス線回折装置、蛍光エックス線分析装置等がある。
3 各省各庁の長は、職員の放射線障害の防止のため特に必要があると認める場合には、エックス線装置室の外でエックス線装置を操作することができる場所を設けるよう努めるものとする。
4 各省各庁の長は、電子顕微鏡等放射線を受けるおそれのある装置を設置する場合にも、放射線障害の防止のため必要があると認めるときには、専用の室を設け、当該装置をその室内に設置するように努めるものとする。

第11条

第十一条 各省各庁の長は、エックス線装置及び電子顕微鏡(定格加速電圧が百キロボルト未満の電子顕微鏡を除く。)については、定期検査を行わなければならない。

装置の種類

X線透視装置

特許

放射線厚み測定装置及びその校正方法

電子顕微鏡

卓上型蛍光X線装

X線回折装置

ハンドヘルド型・ポータブル型蛍光X線装置

河合 潤.ハンディー型蛍光X線元素センサー
航空機の国際線の X 線の被曝量と比較しうる程度
ポータブル蛍光X線分析装置からの漏洩X線の測定
装置から15 cmの最大で 3 µSv/h

蛍光X線分析装置

可能な限り漏洩線量を減らすため、スリットなどの開口部のない構造を採用し、前述の軽く開く大開口扉により、操作性との両立を実現した。としている例
漏洩X線量は、十分な遮蔽構造で公称値0.6μSv/h以下と極めて低く少量(自然界と同レベル)としている例
0.06 µSv/hの場所に比べると十倍になる。
漏洩X線量 1 μSv/h以下としている例
蛍光X線分析装置設置届の提出についても説明している例

特許

金属被膜の蛍光X線分析方法
螢光X線液分析計の校正方法
ケイ光X線膜厚計

X線応力測定装置

クルックス管

ガイスラー管

中村 秀俊, 廣瀬 明浩, 光原 圭, 深澤 優子, 鈴木 康文.ガイスラー管からのX線を用いた3D-トモグラフィ
萩原 晋太郎.ガイスラー管からのX線放射 真空実験装置の取扱いにご注意!
俣野 経一.ガイスラー管からのX線放射

ブラウン管

林 智, 林 美代子.テレビジョン受像機の漏洩X線
管の付近では1 R/hに近い値が観測(0.26 mC/kg=9 mGy/h)
視聴者の位置では1 mR/h以下(0.26 µC/kg=9 µGy/h)

推奨している測定法

β線計測用のGMサーベイメータ

ブラウン管ガラスの遮へい能力

(独)物質・材料研究機構、テレビ用ブラウン管ガラスの廃材が、高い放射線遮蔽能力を持つことを確認

ブラウン管ガラスに含まれる放射性物質

土屋 武彦,法村 俊之,山本 久夫,畠山 智.CRTから放出される放射線量.保健物理.1985,20(3),279-284

放射線審議会基本部会

放射線審議会基本部会報告書「規制免除について」
9.3 放射線を発生する装置の規制
本報告書では、放射性同位元素の規制について検討したが、BSSでは放射線を発生する装置などの規制の免除について以下の規定を設けている。
規制当局による認可を受けた型の放射線を発生する装置やすべての電子管については,以下のいずれかの条件を満たすこと。
1 通常の使用状態で、人が触れる装置表面から10 cmにおける線量率が1 μSv/時を超えない
2 発生する放射線の最大エネルギーが5 keVを超えない
現在我が国においては、労働安全衛生法、船員法及び国家公務員法(人事院規則10-5)で、装置の防護基準の規制対象となるのは、定格管電圧が10 kV以上のエックス線装置である。なお、労働安全衛生法及び国家公務員法(人事院規則10-5)での設置の届出等の規制対象には管電圧による基準はない。また、医療法及び薬事法では定格管電圧10 kV以上のエックス線装置を防護基準及び届出等の規制対象としている。一方、放射線障害防止法では、装置表面から10 cmにおける線量率が600 nSv/時を超えないか、1 MeVを超えないエネルギーを有する電子線及びエックス線を発生する装置を規制対象外としている。
このBSSが規定する放射線を発生する装置における規制の免除要件の国内法令への取り入れについては、この要件の妥当性や国内での利用実態を考慮して検討する必要がある。

かつての検討

橋本 明宏, 釣田 幸雄, 加藤 敏江, 柴田 理尋, 飯田 孝夫, 人事院規則に基づいたエックス線装置使用に関わる安全管理体制の確立, 日本放射線安全管理学会誌, 2002, 1 巻, 1 号, p. 50-55, 公開日 2011/03/17, Online ISSN 1884-9512, Print ISSN 1347-1503