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No. 277 歯科でのX線診療室の扱いの経緯

かつて、医療法施行規則第30条の4(2)で歯科のX線利用が規制されていたとのことですが、どのように規制されていたのですか?

記事作成日:2015/02/26 最終更新日: 2019/05/05

当時の状況

歯科診療では、ほとんどが専用のX線診療室を持たず、しかも撮影装置がかなり普及してしている状況がありました。

距離と時間での解決

この状況では、現場で混乱が起きるということで、足立忠先生(当時、東京医科歯科大学医学部教授、後に鶴見歯科大学教授)の提案で、距離と時間で解決が図られたそうです。

医療法施行規則第30条の4(2)の規定

「エックス線診療室内には、エックス線装置を操作する場所を設けないこと。ただし、間接撮影を行う場合であって第30条第4項第4号に規定する箱状のしゃへい物を設けた時又は体腔管照射を行なう等の場合であって必要な防護物を設けたときは、この限りでない。」

局長通知

「体腔管照射を行なう等の場合」とは歯科用エックス線装置について、「1週間当につき2000ミリアンペア秒以下で操作する歯科用X線装置による撮影を行う場合」とされた。

設定根拠

「1週間当につき2000ミリアンペア秒以下」については、志賀達雄先生が計算されたものを歯科放射線学会が了承したと聞いているが、その具体的な計算の根拠は残されていない。歯科エックス線撮影の実態は「1週間当につき2000ミリアンペア秒」以上で操作することはあり得ないものであった。

その後の経緯

平成元年1月18日付けの健政発第20号(平成13年廃止),平成13年3月12日付の医薬発第188号通知(平成31年廃止)に記載されていた「増改築、口内法撮影用エックス線装置の購入等の機会をとらえ、速やかに専用のエックス線診療室を整備されること。」は、医政発0315第4号では削除されている。

出典

島野 達也.歯科X線診療室の歴史的背景.医療放射線防護Newsletter.67号 Page39-45(2013.07)
島野 達也.伝聞を交えた歯科X線診療室のこと. 医療放射線防護Newsletter.50号 Page11(2007.12)