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No. 400 妊娠している労働者の線量限度

妊娠している労働者に線量限度はどのように適用されますか?

記事作成日:2019/08/08 最終更新日: 2019/08/09

女性の放射線業務従事者の線量限度は、5 mSv/3ヶ月で、妊娠すると、腹部表面の等価線量として2 mSv/妊娠期間中となりますが、妊娠したかどうかは5週目までわからないので、妊娠しているのに気付かず放射線業務を行っていた場合、線量限度は5 mSv/3月間が適用されるので、胎児に対して公衆の線量限度を守れなくなると思います。これでいいのでしょうか?

『妊娠に気づかない時期の胎児の防護を一般公衆の線量限度とほぼ同等に確保できるよう放射線診療従事者等の線量限度(100mSv/5年)を3月間に割り振った値としている。』ので、防護上、必要な措置が講じられていると考えられています。

現場の方がこれはよくないと考えられるのであれば、ルールを見直すのがよいのではないでしょうか。

女性の放射線業務従事者の線量限度は5mSv/3月間ですが、妊娠に気づくまでの時間を考慮しても、これで胎児の線量が公衆の線量限度を超えないことを「ほぼ同等」に担保できると考えられるのでしょうか?

ICRP Publication 103では、その後Publication 60(ICRP, 1991b)では,この線量限度は“特殊な事情においては”5年間にわたって平均する可能性を持った年 1 mSv と与えられた。としており、ここで“特殊な事情においては”を適用することで、胎児の線量が公衆の線量限度を超えないことを「ほぼ同等」に担保できるとされているようです。

IAEA GSR part3

3.114. Notification of the employer by a female worker if she suspects that she is pregnant or if she is breast-feeding shall not be considered a reason to exclude the female worker from work. The employer of a female worker, who has been notified of her suspected pregnancy or that she is breast-feeding, shall adapt the working conditions in respect of occupational exposure so as to ensure that the embryo or fetus or the breastfed infant is afforded the same broad level of protection as is required for members of the public.

3.113の35への注釈

Notification of an employer of a suspected pregnancy or of breast-feeding cannot be made a requirement on a female worker in these Standards. However, it is necessary that all female workers understand the importance of making such notifications so that their working conditions may be modified accordingly.

III.3. For public exposure, the dose limits are:

(a) An effective dose of 1 mSv in a year;
(b) In special circumstances68, a higher value of effective dose in a single year could apply, provided that the average effective dose over five consecutive years does not exceed 1 mSv per year;
(c) An equivalent dose to the lens of the eye of 15 mSv in a year;
(d) An equivalent dose to the skin of 50 mSv in a year.

妊娠期間中の線量限度が適用されるのは、妊娠したと診断されてからでしょうか?それとも、本人が妊娠したことを申告してからでしょうか?

電離則

第六条 事業者は、妊娠と診断された女性の放射線業務従事者の受ける線量が、妊娠と診断されたときから出産までの間(以下「妊娠中」という。)につき次の各号に掲げる線量の区分に応じて、それぞれ当該各号に定める値を超えないようにしなければならない。

RI法

第五条 規則第一条第十号に規定する放射線業務従事者の一定期間内における線量限度は、次のとおりとする。

四 妊娠中である女子については、第一号及び第二号に規定するほか、本人の申出等により許可届出使用者又は許可廃棄業者が妊娠の事実を知つたときから出産までの間につき、人体内部に摂取した放射性同位元素からの放射線に被ばくすること(以下「内 部被ばく」という。)について一ミリシーベルト
第六条 規則第一条第十一号に規定する放射線業務従事者の各組織の一定期間内における線量限度は、次のとおりとする。
三 妊娠中である女子の腹部表面については、前条第四号に規定する期間につき二ミリシーベルト
電離則の方が始期が早いので(RI法はICRP勧告に従った表現になっています)、「妊娠と診断されたときから」になるのではないでしょうか。

妊娠すると腹部表面の等価線量で2mSvが線量限度となるのは何故でしょうか?

ICRP 1990年勧告に従っているからだと考えられると思います。

a supplementary equivalent-dose limit to the surface of the woman’s abdomenが胎児の全身平均線量の倍になるとの見積もり。

ICRP

Publication 60: 1990 Recommendations

Once pregnancy has been declared, the conceptus should be protected by applying a supplementary equivalent-dose limit to the surface of the woman’s abdomen (lower trunk) of 2 mSv for the remainder of the pregnancy and by limiting intakes of radionuclides to about l/20 of the annual limit of intake (ALI).

Publication 73: Radiological Protection and Safety in Medicine

Publication 75: General Principles for the Radiation Protection of Workers

(118)委員会は、妊娠を申告した後の妊娠作業者の作業条件は、妊娠の残りの期間中、 胚/胎児への追加等価線量がおよそ 1mSv を超えることがないようにすべきであることを勧告する。

Publication 103: The 2007 Recommendations

妊娠の申告の後,妊娠作業者の作業条件は,例えば妊娠の残りの期間中の胚/胎児の追加線量がおよそ1 mSvを超えないことを確実にするようにすべきである。
女性の作業者が妊娠を申告した場合は, 胚/胎児に対して,公衆の構成員に規定されているものとほぼ同じ防護レベルを達成するため, 追加の管理について考慮しなければならない。

解説

浜田 信行.妊娠作業者・胚・胎児の放射線防護: ICRP勧告の変遷と現在の課題