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No.88 計画外の被ばく

RI規制法施行規則 第39条第1項第二十八条の三で規定されている報告義務のある計画外被ばくにはIVRに従事する際の線量も含まれるのでしょうか?

記事作成日:2011/01/27 最終更新日: 2023/08/14

第7号の対象になっているのは、放射性同位元素の使用等に関するもののみです。

医療機関での計画外被ばく?

医療では、IVRのようにX線診療室内に必要があって立ち入って作業する場合があります。
このような場合の被ばくは、本来は、計画被ばくですが、医療法の手続きでは、その事前評価を行政機関が確認する例はほとんどないと思われます。
このような被ばくは、ある程度の期間で積算するとRI規制法に示されている報告基準値を超える可能性がありますが、報告の対象外です。ただし海外では報告事例があります。

法令の解説

「計画外の被ばくがあつたとき」とは?

『機器の故障、設定ミス、作業員の誤操作等により通常想定している放射性同位元素等の取扱いとは異なったことにより、計画外の被ばくがあったときをいう。』
「放射線施設の故障等に係る復旧作業等」でも「管理された状態」であれば「計画外の被ばく」には該当しません。

関連FAQ

放射線従事者以外の人の「計画被曝」

Q.放射線従事者以外の人に「計画被曝」をさせることは、放射線業務従事者以外に放射線業務に従事させないとする法令の前提に矛盾するのではないですか?

A.放射線施設の管理区域外作業する職員は、ごくわずかに放射線に被曝しています。
このような被ばくは、「計画被曝」と考えられます。
また、緊急時等に管理区域内で放射線業務従事者でないものが作業する場合も、「計画被曝」することがあります。

放射線従事者以外の人の「計画被曝」

Q.許可届出使用者等は、自らの組織に属さない「消防士等」に「計画被曝」を伴う作業を指示する権限がなく、それを越えた場合の報告義務もないのではないですか。

A.RI規制法第15条の「使用の基準」の必要な措置には、緊急時の計画被ばくは該当しないと考えられます。
一方、許可届出使用者等は、そのような作業に伴う被ばく線量について技術的助言することが求められることがあります。
いずれにしても、「計画線量」の設定は、その作業者の上司の権限であるとしても、機器の故障、設定ミス、作業者の誤操作等により事業所内に立ち入った非放射線業務従事者の被ばくがある程度以上であった場合に、事業所にそのことに報告義務を課すのが、この規定の趣旨です。
一方、このような場合には、その作業者が属する事業所でも、その線量を把握することになります。その事業所報告があれば許可届出使用者等からの報告は免除するかどうかは今後の課題だと思われます。
しかし、単に線量が超えた事実ではなく、その背景を把握し類似の事故等を防ぐことを目指して、制度を整備する必要があります。
また、報告制度の趣旨や実効性を考慮し、インシデントレポートの制度を整備させることも今後の課題と考えられます(例えば、単に被ばくの大小だけでは、その事例の意義は左右されないので)。

計画

Q.消防士等による救助作業には、目標としての「計画線量」は設定できても、それを超えないように、許可届出使用者等が命じる権限はあるのでしょうか?

A.報告を求めることとは、「計画線量」を超える作業への従事を禁止すること、あるいは禁止する命令権限があることを意味するものではありません。

放射線従事者以外の人への「計画被曝」

Q.放射線従事者以外の人に「計画被曝」をさせることは、放射線業務従事者以外に放射線業務に従事させないとする法令の前提に矛盾するのではないですか?

A.放射線施設の管理区域外作業する職員は、ごくわずかに放射線に被曝しています。
このような被ばくは、「計画被曝」と考えられます。
また、緊急時等に管理区域内で放射線業務従事者でないものが作業する場合も、「計画被曝」することがあります。

計画外被ばくの実例

原子力規制庁

(株)ウィズソルから放射線業務従事者の計画外の被ばくについて報告を受理
計画外被ばくの実例は、住田健二著,原子力とどうつきあうか : JCO臨海事故体験 (ちくまプリマーブックス:140)に詳しく書かれています。
放射線業務従事者の計画外の被ばくについて報告を受理
経時的に状況の把握の質を高めて線量推計の質も高めておられます。
放射線業務従事者の計画外の被ばくについて
放射線業務従事者の計画外の被ばくについて(詳報)

韓国

韓国では、2005年から3月間に個人被ばく線量が20 mSvを超える放射線従事者においてKFDA(現在MFDS)が直接病院に調査に行き、正確な線量を把握することになっています。
これまでの知見では、そのような例の大部分が個人線量計の取り扱いの不注意であることから、安全確保だけでなくデータの信頼性も合わせて確保したいそうです。

2005年の1月から3月まで6人が20mSvを超えており、調査の結果5人は個人線量計の扱いが不適切であることが判明したそうです。また、残りの一人は個人線量計に問題があるのではと主張しているそうです。これまでの検討では、実際の被ばくではないことが判明しているそうです。個人線量計のservice会社はもちろん個人線量計には問題がなかったと主張されていて、継続調査になったそうです。

いずれにしても、病院に調査に行くと病院の放射線従事者の大部分が放射線についてよく知らないことに驚かされるとのことでした。このため、放射線従事者の教育についても対策を講じたいとのことでした。

医療INES

Q.医療INESとは何ですか?

A.INESとは国際原子力機関が定めるInternational Nuclear Events Scaleのことです。
医療放射線安全分野では、医療サイロトロン施設からの放射性物質漏えい事故だけではなく、放射線治療分野への適用も課題とされています。

放射線治療分野への適用拡大を提案しているフランスの資料には、
・incidentsやaccidentsとしての重大さを示す指標。
とされており、
・incidentsやaccidentsの区分として用いる。
ことが想定されています。
この背景としては、軽微な事象をメデイア報道で過大視しないようにする意図がありました。

It is not a tool for assessment or measurement of nuclear safety and radiation protection and cannot be used as a basis for compensation or penalties.

このような提案を受けて、国際機関への報告基準を策定する観点から国際的な合意形成が図られようとしています。

海外での報告事例

IAEA-supported Nuclear Events Web-based System (NEWS)の最新情報
Radiation exposure of a hospital employee beyond the statuary annual dose limit
Radiation exposure of a hospital employee beyond the statuary annual dose limit

Radioisotope Manufacture Facility – Operator’s hands contaminated
Lens of the eye overexposure to interventionalist radiologist
Eye contamination with Ga-68 droplet

過去の経緯を知るための資料

障害防止法施行規則第39条第1項の改正に関する資料案

事例

EDチューブ挿入のため透視装置のウォーミングアップを実施中にX線がまだ出力されている間に、 医師、看護師、患者が撮影室内に入室し被曝した。撮影室外鍵は施錠され照射中ランプが点いていたにもかかわらず、担当医師が鍵の無い操作室側より入り開錠し撮影室に入った。その時、担当技師は救急患者の撮影に携わっていて不在であった。

放射線源交換時被ばく事故について

2023年8月4日(作業時にトラブルが発生しています)