管理区域内で患者に水を摂取させてもよいですか?
PET検査等で、被ばく線量を低減させるために排尿を促すようRI投与後に待機室等で水を飲ませたいとの意見があります。検査を行うために必要な場合や、RIの排出を早めるために待機室等で水分を経口摂取させることは可能でしょうか?
なお、医療法施行規則30条の14の3第6号には、放射性同位元素を経口摂取する恐れのある場所での飲食、喫煙を禁止する旨の標識を付することと規定されています。
医療法施行規則30条の14の3第6号の規定は、廃棄物詰替施設の位置、構造及び設備に係る技術上の基準を定めたものの一部であり、一律に患者に適用されるものではありません。
また、医療法施行規則30条の18第6号にも、「放射性同位元素を経口摂取するおそれのある場所での飲食又は喫煙を禁止すること。」とありますが、これらは放射線診療従事者の被ばく防止をその趣旨としています。
一方、患者、介護者、診療対象患者以外の者、一般公衆に対する被ばくを軽減するため、FDG投与後に積極的な飲水を促し(ただし、腫瘍部位への集積は妨げないようにして)、撮像前および管理区域から退出する前に排尿を指導することが求められています。
ただし、FDGの特性上、細胞内にトラップされるために投与後、ある程度時間が経過すると飲水によるRI排泄効果はあまり望めません。
いずれにしても、このような行為は、被ばくを低減させるものであり、担当者の監視のもとでの飲水が患者の被ばく線量を低下させることはあっても増加させることはなく、放射線防護上も好ましいことです。
従って、患者や一般公衆の被ばく低減を目的とし管理区域内で飲水等を推奨することは、医療法施行規則の規定に反するものではないと考えられます。
他方、放射線診療従事者であっても、過酷な作業環境などで飲水しないと健康によくない場合(管理区域内で作業を継続することが想定される場合であって)にも、管理区域内での飲水を無条件に全面的に禁止するのは適切ではないと考えられます。