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No.144 電子線のしゃへい計算での制動放射の評価

X線:4MeV 2Gy/min
E線:20MeV 10Gy/min
の場合、電子線の評価はどのようにするのがよいですか?

記事作成日:2011/02/26 最終更新日: 2020/03/31

X線照射時の散乱X線を1/10として計算すれば安全側になる

一般的な状況であれば患者からの散乱も含めて、X線照射時の散乱X線を1/10として計算すれば安全側になります(昭和62年の医学放射線学会の指針の考え方がしゃへい計算マニュアル2007でも採用されています)。

ここでのX線照射時は、
4 MeV 2 Gy/min
ではなく
20 MeV 10 Gy/min
を想定した場合です。

しゃへい計算マニュアルの電子線の計算例は、
・(一次線)電子線の最大飛程が壁厚より短い。
・(散乱線)電子ビームへのX線の混入が6.3%として計算すればよい。
となっています。
この例は、制動放射の評価が電子ビームが出るまでのビームロスのみを考慮していると考えられるでしょう。

なお、マニュアルの解3-21ページ 3.4.3.6電子線照射の際の・・・に「発生点がターゲット以外の点になることを注意する必要がある。」
とあるのは、電子線が照射後に高原子番号からなる物質に入射するのであれば、そこで発生する制動X線の考慮が必要になることを示していますが、日常臨床の使用では考慮不要としてよいのではないではないでしょうか(全体としてX線照射時の散乱X線の1/10を超えるというデータはないはずなので)。

電子線照射時の中性子の評価

電子線照射時の中性子のしゃへいは、同一エネルギーのX線照射の1/100として計算すればよいと記述されています(解3-21頁)。

20 MeVの電子線照射時の鉄を含む壁で発生する制動放射の評価は必要ですか?

電子線照射時の壁での制動放射の評価が一般に不要であることが明確化されています。

放射線施設のしゃへい計算実務マニュアル2015

第5章 放射線発生装置取扱施設における遮蔽計算例
(9)電子線照射に対する遮蔽評価(本文5-15)に係る補遺

5 MeVの電子線の飛程

比重1 g/cm3

比重1への5 MeVの電子線の入射

比重0.2 g/cm3

比重1への5 MeVの電子線の入射