病院のエックス線診療室にX線CT装置と一般撮影用X線装置の2装置が同一室内に設置されています。
この2つの装置は同時に使うことがなく、同時にばく射できないような措置が講じられています。
積算線量測定は選択したくありません。
X線室外への漏洩線量はどうすればよいですか?
それぞれの定格出力は、
・X線CT装置:140kV, 700 mA
・一般撮影用X線装置:125kV, 250 mA
です。
このエックス線診療室の漏えい線量は、一般撮影用X線装置のみを操作し、室の上下と左右方向で測定してきていました。
前後の方向は人が滞在する可能性はありません。
病院の安全委員会で、この結果を報告したところ、エックス線診療室の隣にある事務部門と看護部門から、同時に使わないからと言って、定格出力の小さい装置のみの測定で問題ないのか質問されました。
どのように対応するのがよいですか?
・漏えい線量が事前安全評価の範囲内で線量限度が担保されている
ことを確認することです。
この目的のためには、
・評価期間中(あるいは、一定以上の期間で)、積算線量計で場所の測定する
・一定の実効稼働負荷で計測して、実使用実効稼働負荷を考慮して線量を推計する
・シールドの透過割合を計測して線源条件を考慮して線量を推計する
などの方法があります。
この計測でシールドの透過割合が確認できているとすると、CT装置で発生する光子のエネルギーが一般撮影装置のそれよりも高くないのであれば、シールド能力は測定で確認できたものを用いて、CT装置の運転状況から線量推計しても、医療機関関係者の理解は得られるのではないでしょうか。
また、CT装置で発生する光子のエネルギーが一般撮影装置のそれよりも高い場合には、測定で確認できたシールド能力を外挿することで、CT装置で発生する光子に対するシールド能力を合理的に推定できるでしょう。
シールドの透過割合は光子のエネルギー分布に依存します。
また、漏えい線量は、装置の使用状況にも依存するでしょう。
きちんとした根拠に基づき、合理的に推計され、その推計の重要なパラメータがきちんと計測で確認されており、その方法が医療機関内で了解され、行政機関からも認証されていれば、トラブルは防止できるのではないでしょうか。