移動型透視用エックス線装置(外科用イメージ)を一般のエックス線診療室に設置して使用してもよいですか?
188号通知(医政発0315 第4号通知に置き換わっています)では、移動型のX線透視装置の使用について、(5)に限られた用途が示され、「次の(5)に掲げられた場合にのみ認められ、」とあり、それ以外の用途としては使えないように思われます。
この事例は通知の規定に反していないのでしょうか?
この通知の規定は、第30条の14の使用場所の制限の解除に関する規定で、エックス線診療室以外で透視用装置を用いる場合の要件を述べています(ただし、(2)では、CTアンギオグラフィーを例示して、エックス線診療室に移動させて使用する場合が記述されています)。
従って、エックス線診療室への移動型透視用装置の設置を禁じることを意図していないと考えられます。
また、移動型透視用エックス線装置をエックス線診療室に移動して使用する場合は、その移動型透視用エックス線装置を据置型透視用エックス線装置と同様の扱いをするものとし、必要な届出を行うこととされています。このため、そのエックス線診療室でその移動型装置を用いた透視検査も行うという想定で事前放射線安全評価を行う必要があると考えられます。
また、移動型又は携帯型エックス線装置を、エックス線診療室内に据え置いて使用する場合は、届出に当たってその旨を記載すること。
設置型の透視用エックス線装置の規制を逃れるために、移動型の透視用エックス線装置をエックス線装置エックス線診療室に移動させて使用しているような実態があれば、何らかの対応が必要になりそうなので、実態をきちんと把握することが重要でしょう(韓国では事例があり、移動型装置の定義の変更がなされています。移動型エックス線装置をエックス線診療室に移動させて使用されるのはよくあることなのでしょうか?(透視装置を複数台用いて、バイプレーン的に使用した例があるとの情報提供を頂きました))。
また、固定した装置でない場合の使用の範囲は、事前に放射線安全評価した想定内でのみの使用に限られるというのが基本的な考え方だろうと思います。
「等」に何を含めるかは、その時代の医療の状況や社会情勢によって異なると考えられます。
以下の要件がそろっていれば、問題はないと考えられるのではないでしょうか。
・透視用の装置を設置していないエックス線診療室で透視を使用したいというニーズがある。
・手術室で使う外科用イメージが更新され、旧外科用イメージ装置が活用できる。
・旧外科用イメージ装置を病院内の他の場所でも活用したい。
・透視業務を行いたいエックス線診療室にも必要な場合に移動して使いたい。
・そのことに医療機関内で合意が取れている。
・放射線診療コミュニテイでも、このような使い方は妥当だというコンセンサスがある。
ということであれば、そのような例も記述するのがよいのだろうと思います。
一時的にその室で使用する場合には、一時的に用いることから同時照射防止装置は用いられていないのではないでしょうか。
一方、一時的な使用ではない場合は、通知で示された技術基準をそのまま適用すると同時照射防止装置になっているのだろうと思います。現場での法令適用で何か課題があれば情報をご提供いただければと思います。
透視用X線装置の防護基準であり、移動型か据え置き型かは関係ないのではないか。
透視用装置に関する規定であり(医療法施行規則第30条第2項3号)、据え置き型と移動型で基準は異なっていないのではないか。
(四) 管理義務に関する事項
1 使用の場所等の制限(第30条の14)
(5) 移動型透視用エックス線装置の使用について
移動型エックス線装置のうち、移動型透視用エックス線装置の使用については、①術中の病変部位の位置確認や手術直後に結果の確認等を行うため、術中あるいは術直後に手術室に透視用エックス線装置を移動して使用する場合、②CTアンギオグラフィーを実施するため、CT装置を備えたエックス線診療室に透視用エックス線装置を移動して使用する等、エックス線診療室で使用する場合、③診療用高エネルギー放射線発生装置、診療用粒子線照射装置、診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具により治療を行うべき部位を決定するため、診療用高エネルギー放射線発生装置使用室、診療用粒子線照射装置使用室、診療用放射線照射装置使用室又は診療用放射線照射器具使用室に透視用エックス線装置を移動して使用する場合に限定されること。
この場合において、以下の点に留意すること。
(ア) 当該移動型透視用エックス線装置を、鍵のかかる保管場所等を設けて適切に保管することとし、装置のキースイッチ等の管理を適切に行うこと。
(イ) ①の場合にあっては、一時的に管理区域を設け、第30条の16に定める管理区域の基準を満たすこと。
なお、管理区域の設定に係る記録を行うこと。
(ウ) ②及び③の場合にあっては、当該移動型透視用エックス線装置を据え置き型透視用エックス線装置と同様の扱いをするものとし、必要な届出を行うこと。
この場合において、第24条の2第4号、第25条第4号、第25条の2第4号、第26条第3号、第27条第1項第3号又は第28条第1項第4号の規定に関し、エックス線診療室、診療用高エネルギー放射線発生装置使用室、診療用粒子線照射装置使用室、診療用放射線照射装置使用室又は診療用放射線照射器具使用室の放射線障害の防止に関する構造設備及び予防措置として、当該移動型透視用エックス線装置を使用する旨を記載し、病院又は診療所の所在地の都道府県知事に届出を行う必要があること。
また、診療用高エネルギー放射線発生装置、診療用粒子線照射装置、診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具とエックス線装置を同時に使用するものとして、この同時使用の条件下での放射線障害の防止に関する構造設備の基準を満たすこと。