小児のアイソトープ検査では、成人と同じ量を投与しないため放射性医薬品が比較的多く残ります。
排水口における排液中の放射性同位元素の濃度が第30条の26第1項に定める濃度限度以下になるのであれば、この残った放射性医薬品を排水設備に流してもよいですか?
排水濃度限度を下回る排水であれば、排水に伴う公衆の放射線安全は一定程度確保されていると考えられます。
しかし、行為基準を満足しているかどうかは、排水濃度だけでは決定されず、結果の担保だけでなく、それにいたる過程も事前安全評価内としておく必要があります。
また、放射線防護はALARAの原則に行う必要があります。
放射性ヨウ素を使う施設で、活性炭フィルタを用いて放射性ヨウ素を除去している場合に、活性炭の機能の低下を考慮した管理が必要とされています。
第164国会 参議院行政改革に関する特別委員会(平成18年5月24日)
放射性ヨウ素の安全管理に関する技術指針(その 2)
東京都では、廃棄設備の適正な管理が行われていることを確認するため、医療機関のチャコール・フィルターの交換時期を平成15年度から検査しています。
多くの病院では排気設備の差圧計を頼りにプレ、ヘパフィルタを定期的に交換していました。
しかし、チャコールフィルタの交換頻度は低い現状にありました。
交換していない理由は、
・差圧なく交換の必要性を認識していない
・経時的に吸着率が低下することを認識せず
・チャコールフィルタがついていること自体を認識せず
・金額が高い
と考えられました。
そこで、施設維持が業者任せにならないように、病院の担当者と計算書を確認することとし、
廃棄設備についても認識を持っていただくようにしました。
また、吸着率低下のデータを病院側に示し、定期的な交換の必要性を説明しました。
なお、核種の使用状況により必ずしもチャコールフィルタの必要がない場合は、防護措置の変更(変更届)により排気設備からチャコールを省くとした事例がありました。
残存した放射性医薬品を意図的に排水設備に流すことを想定しているか?
想定してない安全評価であれば、排水設備に流すことは評価シナリオの範囲外となります。
現行規定は放射性物質に汚染したものは放射性廃棄物とされています。
規制から解除するには、クリアランス制度を適用させる必要があります。
クリアランス制度を適用させるには、廃棄物関係者の理解を得る必要があります。
排水系統でのトラップ例(線源になりえる)
医療機関内で保管することによる医療機関スタッフのリスク増加と環境放出による下水処理場スタッフなどのリスク増加はトレードオフの関係にあります。
排水設備の汚泥処理も同様の課題があると考えられます。