検索結果

No.187 放射線測定器の校正

放射線測定器の校正はJISに則って行う必要がありますか?

記事作成日:2012/05/01 最終更新日: 2023/10/15

RI規制法

信頼性の確保が必要とされています(2023年10月1日施行)

医療法

中村 尚司.放射線測定器の点検と校正
必ずしも、JIS規格に基づく必要はありませんが、放射線管理上、必要な程度の精度を保つ必要があります。
JISZ4716:X線診療室の漏えいX線量の測定方法に基づく方法ではJIS Z 4511に従った校正が必要だとされています。
JIS Z 4511では実用校正(JIS Z 4511:2018では、確認校正は「実用測定器の機能確認」、実用校正は「実用測定器の簡素化した校正」という用語に変更されているそうです)だけではなく確認校正についても付属書2で記述されています。

基本的な考え方

  • 測定器の経年劣化を把握特性
  • 応答特性を確認(予防規程ガイド(表3)では、少なくとも5年に一度はJCSSやJISで規定される校正を行い、それ以外の年は機能確認。表2に点検の方法が記載されている)
  • 判定の誤りが容認できるレベルを超えないようにする。

日本アイソトープ協会

点検、校正の考え方

文科省(現:原子力規制委員会)の通知

測定器は、国家標準とのトレーサビリティが明確になっている基準測定器又は数量が証明されている線源を用いて測定を実施する日の1年以内に校正されたものを使用すること。

出典

平成12年10月23日付科学技術庁原子力安全局放射線課長通知「国際放射線防護委員会の勧告(ICRP Pub.60)の取り入れ等による放射線障害防止法関係法令の改正について(通知)」

行政側の解釈

原子力規制庁では、この規定は「ICRP Pub.60の取入れの時の実測評価を行う場合の注意事項」に限定されると解釈されているとのことです(実測値での安全評価で、この考え方を用いるのはよいのですが、実測評価で許認可を与えることがなされていないので)。

厚生労働省の通知

放射線測定器による実測値に基づく放射線の量の評価方法

放射線測定器には、場所に係る線量を測定するものと個人の被ばく線量を測定するものがあるが、それぞれの放射線測定器を校正する換算係数が異なることに留意すること。このことから、場所に係る線量の測定に用いる放射線測定器は、JIS規格に基づいて適正に校正されたものを使用することを原則とすること。
ただし、標準線源等で定期的(最低1年間を超えない期間)にチェック又はメーカーで性能等が確認された測定器も、校正された放射線測定器に準ずるとみなして差し支えないこと。

【出典】
医薬発第一八八号.医療法施行規則の一部を改正する省令の施行について(平成一三年三月一二日)(各都道府県知事あて厚生労働省医薬局長通知(医政発0315 第4号通知に置き換わっています))

一般的な原則

取扱説明書に従う必要がある

よりよい精度を維持する必要がある場合には、取扱説明書に規定されている以上の労力を払う必要がある(確保すべき不確かさが小さければ、校正の質を向上させる必要がある)

劣化の速度を考慮する必要がある

劣化の速度が速いと間隔を短くする必要がある。

治療用加速器に用いる治療用線量計校正

治療用線量計校正事業
平成26年1月に厚生労働省により、がん診療連携拠点病院の指定要件として第三者による評価を受けることが盛り込まれた指針が示されたことに伴い、出力線量測定の申し込みが急増しています。
財団法人 医用原子力技術研究振興財団.治療用出力線量測定業務開始のご案内(― 平成19年11月申込受付開始 ―)
財団法人 医用原子力技術研究振興財団.「分離校正サービス」の提供開始ならびに治療用線量計の校正料金改定について(平成30年2月15日)
日本医学物理学会.放射線治療用線量計に用いられる電位計のガイドライン( 2017年 4月)

計量法施行規則

(校正等の期間)

第九十三条 登録事業者が計量器の校正等に用いる特定標準器による校正等をされた計量器若しくは標準物質又はこれらの計量器若しくは標準物質に連鎖して段階的に計量器の校正等をされた計量器若しくは標準物質の校正等(以下この条において「校正等」という。)の期間は、校正等を行った日の翌月の一日から一年とする。ただし、機構が定めるものにあっては、それぞれ別に定める期間とする。
計量法に基づく登録事業者の登録等に関わる規定
計量標準をビジネスツールに

測定の品質管理に関するIAEAの日本へのIRRSのR2の記述

Recommendation: The Government should empower the regulatory body to establish requirements for authorization or approval processes for service providers for monitoring of occupational and public exposures, and environmental monitoring in general, and verify that these requirements are met by licensees.

日本政府の対応

原子力規制庁

環境放射線モニタリング技術検討チーム
放射線モニタリングの品質保証について
原子力規制庁.国際原子力機関(IAEA)の総合規制評価サービス(IRRS)フォローアップミッション後の対応について 令和2年3月11日

個人線量測定での認証制度

公益財団法人 日本適合性認定協会.JAB RL380「認定の基準」についての指針─放射線個人線量測定試験分野─制定案の公開について(2018年4月11日)
放射能・放射線測定を行う試験所・検査機関についての認定指針-放射性表面汚染測定、空間線量率測定-
「認定の基準」についての指針─放射線個人線量測定試験分野─JAB RL 380:2018

日本適合性認証協会

適合組織検索

FAQ

Hp(3)は認証されていますか?

JABの認定基準書にも明確に記載されていように、Hp(3)については、その測定 が法令に取り入れられるまでは認定の範囲外となっています。

Hp(3)の評価の必要性に関する議論

第一回眼の水晶体の被ばく限度の見直し等に関する検討会
○細野参集者 近畿大学の細野でございます。大変詳細な横山先生からのご説明ありがとうございます。33ページの光子に対する換算係数の比に関して、若干ミスリーディングな点があるのではないかと思いました。横軸に光子エネルギーをとって赤い枠のところで比較的低いエネルギーの換算係数の比を書いていただいておりますけれども、例えば医療現場、特にX線透視化手技に係る術者の水晶体の被ばくということを考える際に、透視台から出る直接線、例えば100keVとしまして、そこから患者さんに当たった散乱線を考えますと、この散乱線の大部分は30keV以上でございまして、それほど換算係数が例えば10倍過大・過小ということはないのでございます。何を言いたいのかといいますと、現行法令の規制の在り方も妥当であるということも押さえておきたいと思いコメントさせていただいております。

学会等の取り組み

大学等放射線施設協議会

法令改正に伴う放射線障害予防規程の変更のための作成マニュアル
施設長は、安全管理に係る放射線測定器等について、校正又は確認校正を定期的に行い、その実施年月日、結果及びこれに伴う措置の内容並びに校正等を行った者の氏名を記録し、常に正常な機能を維持するように保守しなければならない。

日本保健物理学会

「RI 施設における放射線管理を目的とした測定の信頼性確保に関する専門研究会」活動報告書(2023年6月)

TSO(Technical and Scientific Support Organizations)の役割

IAEA

TSO(Technical and Scientific Support Organizations)を重要な機関として位置づけ

Technical and Scientific Support Organizations

GSR part3

1.11. The government is also responsible for ensuring, as necessary, that provision is made for support services, such as education and training, and technical services.
2.23. The government shall ensure that arrangements are in place for the provision of technical services relating to protection and safety, such as services for personal dosimetry, environmental monitoring and the calibration of monitoring and measuring equipment.

日本では放射線管理に関する業務委託のあり方に関して明確なルールがない(しかし、実際は放射線管理会社が大きく貢献)新たにルールが整備されました。
IRRSでの勧告を受けて品質保証の取り組みを進めているところ。
もっとも、2019年4月から各社でサービス供給が開始されているHp(3)計測は認証が得られないままとなっている。
この理由は、法令にHp(3)が取り入れられないと規格基準を定められないからとされている(認定基準書に関して)。
海外ではRSO(Radiation safety officer)の役割の外注化を制度化している例もある。

研修会での実習で個人線量計の応答が半分程度に低下していたことが判明した例

個人線量計の応答劣化

1年に1回以外の校正間隔

実用標準線源は,少なくとも2年に1度の頻度で再校正する。
ヘリカルトモセラピー光子線の校正

JISと国際規格との整合化

JISと国際規格との整合化について
JIS(日本工業規格)と国際規格との整合化の手引き
ISO規格やIEC規格を翻訳して作成されたJIS規格

取り組み例

京都府近郊の医療施設が保有する電離箱式サーベイ メーターの現状 ─アンケート調査と校正の試み
山口県診療放射線技師会.放射線測定器校正 講習会の開催について
兵庫県診療放射線技師会.令和元年度 電離箱式サーベイメータ比較校正実習のお知らせ

若月佑介, 関本道治, 加藤二久, 佐藤昌憲.X線校正場による電離箱サーベイメータの校正方法の検討

小山 修司, 診断領域X線の線量測定のキーポイント, 日本放射線技術学会雑誌, 2000, 56 巻, 7 号, p. 909-918

西谷 源展, 診断領域線量計の校正システムの紹介, 計測分科会誌, 2004, 12 巻, 2 号, p. 43-46

dose calibrators

宮司 典明, 三輪 建太, 我妻 慧, 梅田 拓朗, 村田 泰輔, 滝口 智洋, 小泉 満, トレーサブル68Ge/68Ga標準線源を用いた PET用ドーズキャリブレータの精度管理, 日本放射線技術学会雑誌, 2013, 69 巻, 12 号, p. 1379-1386, 公開日 2013/12/20, Online ISSN 1881-4883, Print ISSN 0369-4305

測定器の信頼性確保

経済産業省

放射能測定器及び放射線測定器等の校正

独立行政法人国民生活センター

デジタル式個人線量計のテスト結果

確認校正

財団法人原子力安全技術センター.確認校正マニュアル(平成17年3月発行)

測定器の劣化

加圧型電離箱

愛媛県.平成 25 年度に発生したモニタリングポスト電離箱検出器の不調について

場の特性に応じた測定

パルス場

武田 道彦, 金持 徹, 上西 時司, 生田 史朗, 安田 匡一郎, 増田 晴穂, 微量パルス状X線の測定について, 保健物理, 1971, 6 巻, 1 号, p. 3-8, 公開日 2010/02/25, Online ISSN 1884-7560, Print ISSN 0367-6110