問題

災害発生前での疫学研究の研究倫理審査

以下の文章は正しいですか? 『災害発生前に疫学研究を計画し、研究倫理審査を受けている例がある。』

参考資料等

福島県伊達市

被ばく線量データ提供に関する調査委員会(仮称)の設置について
第1回伊達市被ばくデータ提供に関する調査委員会の開催
伊達市被ばくデータ提供に関する調査委員会報告書
伊達市被ばくデータ提供に関する調査委員会報告書を受けての市の対応について

議会被ばくデータ提供等に関する調査特別委員会(設置期間:令和元年6月26日~)

議会被ばくデータ提供等に関する調査特別委員会  中間報告
議会被ばくデータ提供等に関する調査特別委員会  最終報告

  • 市民への説明と同意に関して研究者の倫理指針違反があった。

  • 市から研究者のデータの提供において個人情報保護手続が無視された。

  • 虚偽公文書作成と刑法抵触の疑いとその文書の作成を要求した研究者の不適切さがあった。

  • メールにより違法なデータ提供要請があり、それに応じたのは違法であることが指摘できる。

  • 論文の撤回の理由が不適切である。

それぞれの委員会の間での見解の不一致もあるところとなっています。

行政事業と研究の関係に関する認識例

行政からデータをもらって論文を書けるなどというのは二度とない、ほとんどないことだ。

伊達市 平成29年 12月 定例会(第4回) 12月06日-03号

その他の報道発表

伊達市職員の懲戒処分等の公表について(令和3年3月19日)

福島県立医大

研究活動に係る不正行為に関する調査結果について(概要)

東京大学

理学系研究科元教授の論文への申立てについて(令和元年7月19日)

事例の課題分析

Toyoaki Sawano, Morihito Takita, Yuki Senoo, Yoshitaka Nishikawa, Andy Crump, Masaharu Tsubokura. The responsibility of the Japanese Media, The Fukushima accident & the use of personal data for research
災害疫学の取り組みは科学的な知見を得る観点で重要ですが、災害時に行われることから、様々な倫理的な問題も引き起こすと考えられ、当時の現場への取り組みに対する研究倫理分野の専門家の支援がうまく機能しなかったことも反省点として考えられるのではないでしょうか。

問題点指摘

第75回日本物理学会年会(2020 年 3 月,名古屋大学)シンポジウム「個人被ばく線量の物理学的評価についての検討」
科学の健全な発展を望む会

参考記事

調査の倫理
Erik R. Svendsen. Disaster epidemiology: Assessing the health impacts of environmental public health disasters

疫学調査でのコーディネータの貢献

エコチル調査全国スタッフ紹介
水町 雅子.自治体のパーソナルデータ利活用の手法と現状・課題.地方公共団体におけるデータ利活用ガイドブックVer. 1.0 2018 年6月 総務省情報流通行政局 地域通信振興課地方情報化推進室
地方公共団体情報システム機構 市町村職員による情報化に関する研究会.地方公共団体におけるデータ利活用の推進に関する研究報告書 2023 年 3 月

原爆被爆者を対象にした研究

原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律

調査及び研究

第四十条 国は、原子爆弾の放射能に起因する身体的影響及びこれによる疾病の治療に係る調査研究(次項において「原爆放射能影響調査研究」という。)の推進に努めなければならない。
2 国は、原爆放射能影響調査研究の促進を図るため、公益社団法人又は公益財団法人であって、原爆放射能影響調査研究を主たる目的とするものに対し、予算の範囲内において、当該法人が行う原爆放射能影響調査研究に要する費用の一部を補助することができる。

RERF

「原爆投下から75年を経て」と題するビデオシリーズを、放影研のYouTubeチャンネルに投稿しました(2020年8月25日お知らせ)

被災地で実施される調査・研究

被災地で実施される調査・研究について

研究への患者・市民参画

医学研究・臨床試験における患者・市民参画(PPI:Patient and Public Involvement)

ICRP

(220) The Commission recommends developing a multi-disciplinary approach, involving stakeholders as much as possible in the design and follow-up of the health surveillance programme. The role of ethical codes of conduct may be relevant for such type of situation. It also recommends the need to be prepared to take appropriate actions to address any unexpected changes in the health status of the population.

国会

第204回国会衆議院3月17日内閣委員会

謝辞の記載への言及例

祖父江友孝 部会員
資料を、どういう形で論文化するかなんですけどね、かなりこれ、評価部会の資料とは違う形の論文化になっていますよね。だから、その部分は、私、何かアクノリッジメントに名前が載っていますけれども、もしこれを改編されるんであれば、ちょっと知らせてほしいという気はします。全くこの論文が出る前に何も連絡がなかったので、そのあたり、ちょっと気を使ってほしいなと思います。

片野田耕太 部会員
私もこの謝辞に入っているのは今日気づきました。出版倫理の最新の基準からいうと、アクノリッジも含めて、名前を入れる場合は原稿も含めて確認をとるのが本来のあるべき姿かなと思いました。

個人情報保護

小暮純也.統計調査と個人情報保護
厚生科学審議会 (医学研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会(再々設置))

衆議院 第204回国会 内閣委員会 第9号(令和3年3月17日(水曜日)

○時澤政府参考人 お答えいたします。

 現行の個人情報保護法は、第七十六条一項で、学術研究機関が学術研究目的で個人情報を取り扱う場合について、各種義務の適用を包括的に除外をしている、これは議員御指摘のとおりです。

 その一方で、同条三項で、学術研究機関に対しまして、個人情報の取扱いの適正を確保するために必要な措置を自ら講じ、公表する努力義務を課してございます。研究倫理指針に基づきます個人情報保護のための取組は、個人情報保護法のこの努力義務に基づくものと位置づけられているところでございます。

 改正後の個人情報保護法第五十九条では、学術研究機関がこれまで研究倫理指針に基づき実施してきました個人情報保護のための取組が後退することのないよう、現行の個人情報保護法に引き続き学術研究機関に対する努力義務を明記し、安全管理措置等の法律上の義務を遵守するだけでなくて、個人情報の取扱いの適正を確保するために必要な措置を自ら講じ、公表することを求めているものでございます。

 したがいまして、御指摘のような保護水準の後退というのは生じないというふうに考えております。

人為的な原因により環境汚染を伴う事故に見舞われた際に行う疫学研究の質を高めるために住民側も貢献できるような制度的な工夫に向けて

廣瀬 淳子.【アメリカ】 メキシコ湾原油流出事故対策法案
Environmental Justice Collaborative Problem-Solving Model
Packenham, J.P., Rosselli, R., Fothergill, A. et al. Institutional Review Board Preparedness for Disaster Research: a Practical Approach. Curr Envir Health Rpt 8, 127–137 (2021).

人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針 ガイダンスp6の第1章 第2の10 地方公共団体が地域において行う保健事業に関して

10 地方公共団体が地域において行う保健事業(検診、好ましい生活習慣の普及等)に関して、例えば、検診の精度管理のために、当該検診で得られたサンプル・データ等の一部又は全部を関係者・関係機関間で共有して検討することは、保健事業の一環とみなすことができ、「研究」に該当しないものと判断してよい。 他方、保健事業により得られた人の健康に関する情報や検体を用いて、生活習慣病の病態の理解や予防方法の有効性の検証などを通じて、国民の健康の保持増進等に資する知識 を得ることを目的として実施される活動は、「研究」に該当する。 11 専ら教育目的で実施される保健衛生実習等、学術的に既知の事象に関する実験・実習で、得られたサンプルやデータが教育目的以外に利用されない場合には、「研究」に該当しないものと判断してよい。 12 特定の活動が「研究」に該当するか否かについては、一義的には当該活動を実施する法人、行政機関、個人事業主の責任で判断するものであるが、判断が困難な場合には、この 指針の規定する倫理審査委員会の意見を聴くことが推奨される。

Covid-19対応関係

新型コロナウィルスの感染症と放射線診療

日本疫学会

放射線疫学推進グループ

Toolkit for detecting misused epidemiological methodsに関するSociety for Environmental Epidemiology (ISEE)への呼びかけ例

Soskolne, C.L., Bero, L.A., Kramer, S. et al. Response to Toshihide Tsuda, Yumiko Miyano and Eiji Yamamoto [1]. Environ Health 21, 100 (2022).

用いて批判した結果への応答例

Cléro, E., Demoury, C., Grosche, B. et al. Response to Tsuda et al. “demonstrating the undermining of science and health policy after the Fukushima nuclear accident by applying the toolkit for detecting misused epidemiological methods”. Environ Health 22, 17 (2023).

European Parliament

Resolution on the problem of nuclear safety fifteen years after the Chernobyl accident, health consequences

Motion

B5‑0324/2001: European Parliament resolution on nuclear safety 15 years after the Chernobyl accident

全国保健所長会

行政データを用いる研究の倫理性の検討

日本医学会連合 研究倫理委員会

学術集会への演題応募における倫理的手続きに関する指針

大学と自治体との協働による学術的な見地による調査研究の例

Hande V, Orita M, Matsunaga H, Kashiwazaki Y, Taira Y, Takamura N (2023) Comparison of quality of life between elderly and non-elderly adult residents in Okuma town, Japan, in a post-disaster setting. PLoS ONE 18(2): e0281678.
自治体事業としての側面もあるので大学として住民基本台帳の閲覧はなされていないようです。

患者会からのメッセージ例

一言(2022年10月18日)

個人データの研究利用

放射線影響協会

令和3年度原子力施設等防災対策等委託費(低線量放射線による人体への影響に関する疫学的調査)事業(原子力規制委員会原子力規制庁委託調査報告書)

労働安全分野

ILO

Occupational Safety and Health Series, No. 72 Technical and ethical guidelines for workers health surveillance

The danger that sophisticated investigations are often coupled with a lack of communication and explanations by the health professional should not be overlooked.
Efforts should be made to limit investigations to those which are necessary for occupational health purposes and to ensure transparency, which will build a climate of confidence in the professional judgement and ability of occupational health professionals to provide sound advice that takes judicious account of the need to protect health and to maintain employment.




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更新日:2024年03月22日 
登録日:2019年02月12日 

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