問題

自然放射線の対策は必要？

以下の文章は正しいですか？
『自然放射線に対しても対策が講じられることがある。』

参考資料等

自然の放射性物質のリスク

EC

ECでは建材中のK-40もActivity concentration indexの評価対象とし外部被ばくの制御対象としています

アイルラインド

National Radon control strategy

米国　EPA

EPA highlights home radon testing as a vital step to prevent lung cancer during National Radon Action Month
Energy Savings Plus Health: Indoor Air Quality Guidelines for School Building Upgrades

日本国内でラドン対策が講じられている例

IG report finds health hazards in Japan base housing, questions Pentagon policy
米軍住宅から基準超ラドン　沖縄３基地
指針超ラドン　米「地中から自然発生」

国内での実態調査

屋内ラドン全国調査

リスク推計

厚労科研．屋内ラドンによる健康影響評価および対策に関する研究

ラドンの対策に向けて

地中での輸送

永野 勝裕, 児島 紘, 地中ラドン輸送モデルを用いた気象要素のラドン散逸への影響, 保健物理, 2010, 45 巻, 3 号, p. 262-269, 公開日 2011/07/12, Online ISSN 1884-7560, Print ISSN 0367-6110

屋外ラドン濃度の季節変動

土田 智宏、大野 峻史、黒崎 裕人、霜鳥 達雄、山﨑 興樹．柏崎刈羽地域と佐渡関岬におけるラドン濃度の季節変動要因
屋外では鉛直混合を妨げる大気の安定性が高いことは地表付近のラドン濃度を高めることから、接地逆転層が発達しやすい秋季に地表付近のラドン濃度が高くなることが確認されています。
また、土壌中の含水割合が高くなると土壌中でのラドンの散逸が低下すると考えられ、これも季節変動に影響を与える可能性があります。

気温が高い時期に屋内ラドン濃度が高くなった例

Di Carlo C, Ampollini M, Antignani S, Caprio M, Carpentieri C, Caccia B, Bochicchio F. Extreme reverse seasonal variations of indoor radon concentration and possible implications on some measurement protocols and remedial strategies. Environ Pollut. 2023 Jun 15;327:121480. doi: 10.1016/j.envpol.2023.121480. Epub 2023 Apr 3. PMID: 37019261.
D. E. TCHORZ-TRZECIAKIEWICZ, A. T. SOLECKI, Seasonal variation of radon concentrations in atmospheric air in the Nowa Ruda area (Sudety Mountains) of southwest Poland, GEOCHEMICAL JOURNAL, 2011, 45 巻, 6 号, p. 455-461, 公開日 2013/11/01, Online ISSN 1880-5973, Print ISSN 0016-7002,

湿度と屋内ラドン濃度が関係していた例

e Silva, C.R., Smoak, J.M. & da Silva-Filho, E.V. Residential radon exposure and seasonal variation in the countryside of southeastern Brazil. Environ Monit Assess 192, 544 (2020).

韓国での取り組み

2012年7月26日、生活放射線安全管理法が施行

放射線安全管理の範囲を拡大し、生活の中の自然放射性物質を管理するために実施される当法は、自然放射性原料（ウラン、トリウム、ポタシウムなど）が含まれた温熱マット、マイナスイオン発生装置などと、リサイクル金属に混入された人工放射性核種（コバルト、セシウムなど）が含まれた鉄鋼製品のように、その間生活の中で放射線が検出されて問題となった製品に対する安全管理を行います。

Korea Environment Corporation

Free Radon Measurement and Consulting Service

調査例

Kim CK, Lee SC, Lee DM, Chang BU, Rho BH, Kang HD.Nationwide survey of radon levels in Korea
The average annual effective dose to the general public from radon was 1.63 mSv y(-1).

自然放射線のリスクを検出しようとしている研究例

Background Ionizing Radiation and the Risk of Childhood Cancer: A Census-Based Nationwide Cohort Study

方法

対象： Swiss National Censuses in 1990 and 2000 で16歳未満の子ども（2,093,660人）
アウトカム： Swiss Childhood Cancer Registry（がん発症：1,782人）
曝露量：大地からの放射線と宇宙線をモデルで計算
交絡因子の調整：

• traffic related air pollution (proxied by distance to nearest highway)
• electromagnetic fields from radio and TV transmitters (Hauri et al. 2014) (field strength based on a geographic model)
• high voltage power lines (distance to nearest 380 kV or 220 kV power line)
• degree of urbanization of municipality (urban, peri-urban, rural)
• socio-economic status based on the Swiss neighborhood index of socioeconomic position (Swiss-SEP) (Panczak et al. 2012)
• education of household reference person (compulsory, secondary, tertiary)
• crowding (number of persons per room)
• birth weight and birth order of the child

結果

全がんに対して、1mSvあたりのHazard ratio: 1.040 (1.017, 1.064), p < 0.001

それへの懸念例

多重共線性が表れているのではないか？

UNSCEARによるレビュー（UNSCEAR 2017 REPORT）

Annex B: Epidemiological studies of cancer risk due to low-dose-rate radiation from environmental sources

カナダ

Radon and your health

ICRP

ICRP Publication 126 Radiological Protection against Radon Exposure（ラドン被ばくに対する放射線防護）

食品測定への影響

シンチレーション検出器を用いた食品中の放射性セシウム測定におけるラドンの影響と評価法

計測が影響を受けうることを説明している例

測定試料が天然放射性核種を含有する場合、測定値にそれらの放射能が計測算入されている可能性を否定できません

ラドンによる線量の評価

平衡ファクタ

日本保健物理学会

日本保健物理学会専門研究会報告書シリーズ Vol.8 No.1 ラドンの防護規準に関する専門研究会 活動報告書

放射線医学総合研究所

環境中のラドンレベルと被曝線量
Janik, Mirosław and Bossew, Peter. "Analysis of simultaneous time series of indoor, outdoor and soil air radon concentrations, meteorological and seismic data" Nukleonika, vol.61, no.3, 2016, pp.295-302.
QSTでのラドン濃度は20 to1256 Bq/m³であったとのことです。

ラドンをトレーサーとした研究

富士山頂における大気化学観測研究プロポーザル

食品への添加？

食品に放射能暫定限度（Cs-137+134で370Bq/kg）を超えない、あるいは、規制免除未満のRIを意図的に添加してよいですか？

指定された食品添加物以外を使用することはできません。

食品添加物の指定（食品衛生法第１０条）

原則として、厚生労働大臣が定めたもの以外の製造、輸入、使用、販売等は禁止されており、この指定の対象には、化学的合成品だけでなく天然物も含まれます。例外的に、指定の対象外となるものは、一般に飲食に供されるもので添加物として使用されるもの及び天然香料のみです。
従って、未指定の添加物を製造、輸入、使用、販売等した場合には食品衛生法第１０条違反となります。
EUでは食料品へのNORMの添加や添加された食品の輸入を禁止しており、ドイツなど６カ国がこの考え方を法律に取り入れているとされます。
EU; Council Directive 96/26/EURATOM, Official Journal of the European Community (L159) p.7(1996)

わが国では、放射線審議会基本部会が「自然放射性物質の規制免除について」で考え方をまとめています。

食品について特別な記述はありませんが、介入免除レベルの用語解説として、「レベルに対応する個人線量規準として、主な商品については、およそ1 mSv/年であるが、建材や食品など生活に欠かせないものは、これらと同じ規準を使うべきではなく、消費財を使用する行為についての免除については、国際的に数十μSvの線量規準が用いられることも、考慮するように言及している。」と記述されています。

免除の適用の前提（IAEA GSR Part3）

3.11. Exemption shall not be granted for practices deemed to be not justified.

Comment from Japan

Draft Safety Guide DS519 Protection of Workers against Exposure due to Radon

There seems to be a slight gap in approach between GSR Part 3 and DS519. For example, paras. 4.2, 4.13, 4.24, etc. require that the dose from radon should be included in the effective dose calculation to comply with the dose limits even if the Rn-222 concentration is “below” the reference level, while the approach of GSR Part 3 is that relevant requirements for planned exposure situations apply only when the Rn-222 level remains “above” the reference level (although para. 4.27 of DS519 describes negligible levels in such calculations). It is true that the contribution from “all sources” should be considered in the effective dose calculation, but I believe the term “all sources” here means those introduced deliberately within the authorized practice. If the basic approach of DS519 is to include even levels below the reference level in the calculation of dose limits, then the corresponding requirements of GSR Part 3 should be clarified.

RASSC 51 - October 2021 (virtual)

一般消費財

独立行政法人国民生活センター

風呂に入れるだけでラドン・ラジウム温泉になるとうたった商品

自然の放射性物質と加工による放射化の課題（宝石など）

古田 悦子, 個人装飾品に含まれる放射性物質, 保健物理, 2010, 45 巻, 3 号, p. 253-261, 公開日 2011/07/12, Online ISSN 1884-7560, Print ISSN 0367-6110

理科教育からのアプローチ

茨城高専の物理・応物の放射線の授業にラドンの測定を取り入れる試み

航空機で移動中に受ける線量

JISCARD

WHO

IAEA:RASSC44. R9. 6 - Intl Orgs - WHO

IAEA

What is Radon and How are We Exposed to It?
Webinars: Naturally occurring radioactive material

RASSC 52 - June 2022

R.7.1 TM on Radon in Workplaces_O.German
R.7.5 European public survey on awareness about radon

RASSC 51 - October 2021 (virtual)

PR.3.1 - DS519 Protection workers against radon - O. German
R.3.1 - DS519 resolution of comments from RASSC

RASSC 47

NORM IX Symposium Summary and Conclusions

RASSC 50 - June 2021 (virtual)

Tony Colgan. Radionuclides in Food in Non-Emergency Situations Proposals for Implementing R51 of GSR Part 3

Kevin Kelleher. Radionuclides in Food: Background to the Project and Technical Output

自然放射線によるリスク推計

下 道國．自然放射線のリスクはどれほどか

労働者のモニタリング例

山下 順助, 滝澤 行雄．秋田県玉川温泉の放射線量測定　空間線量, 従業員の外部被曝線量

規制の除外

K-40の同位体存在比を低減させる施策を講じるべき？

解説

山本 英明．「除外と免除」概説　概念及び議論の現況

議論の例

日本の内部被ばくの安全基準について教えてください。

論点

• 自然の変動幅であれば、ALARAに従った対応は不要か？
• 居住環境レベルでも自然放射線のリスクは疫学研究で見出されているのではないか？ 自然レベルの放射線が実際にどのような影響をもたらすかが、現時点でははっきりとわからない状況
• フェアな補償が期待できるか？ もしその間に障害が現れたならば万全の治療を施す体制となっています。

過去の検討

佐藤 乙丸．微弱アイソトープ利用技術の現状と安全性
微弱アイソトープ利用技術専門委員会. 微弱アイソトープの安全利用に関する調査研究報告書 (1)
微弱アイソトープ利用技術専門委員会. 微弱アイソトープの安全利用に関する調査研究報告書 (2)

ラドンによる非発がん影響

Papatheodorou S, Yao W, Vieira CLZ, Li L, Wylie BJ, Schwartz J, Koutrakis P. Residential radon exposure and hypertensive disorders of pregnancy in Massachusetts, USA: A cohort study. Environ Int. 2021 Jan;146:106285. doi: 10.1016/j.envint.2020.106285. Epub 2020 Dec 9. PMID: 33395935.

放射線審議会

第150回放射線審議会総会
自然起源放射性物質に関する放射線審議会の検討経緯及び国際動向について

第153回放射線審議会総会
153-2-1 号：自然起源放射性物質（NORM）に関する防護上の論点
153-2-2 号：国内におけるNORM被ばくの実態

自然起源として区別することへの違和感への表明もなされています。

原子力規制庁

令和5年度放射線対策委託費（我が国の屋内ラドン対応の在り方検討に関する調査）事業

疫学研究例

Jayalekshmi Padmavathy Amma, Rekha A Nair, Raghu Ram K. Nair, David G Hoel, Suminori Akiba, Seiichi Nakamura, Keigo Endo, Background Radiation and Cancer Excluding Leukemia in Kerala, India –Karunagappally Cohort Study, Radiation Environment and Medicine, 2021, 10 巻, 2 号, p. 74-81, 公開日 2022/04/25, Online ISSN 2432-163X, Print ISSN 2423-9097

廃棄物の処理過程で発見された例

宮崎県延岡市

廃棄ゴールポストからの放射線量検出について

ユーザーが測定して気づかれた例

自転車の中国製かごに放射性物質

建築衛生の観点から

住居におけるラドン濃度構成機構に関する研究 : その1. 実験住宅における実測
池田 耕一, E-42 室内気流のラドン娘核種の挙動に与える影響に関する実験的研究、その2, 空気調和・衛生工学会大会　学術講演論文集, 1991, 1991 巻, 平成3年, セッションID E-42, p. 1157-1160, 公開日 2017/08/31, Online ISSN 2424-2179, Print ISSN 1880-3806
池田 耕一 , 塩津 弥佳．住宅におけるラドン
池田 耕一．室内空気汚染に関する建築的対応
伊藤 和男, 浅野 賢二, 各種建築材料の放射能含有量, 日本建築学会計画系論文集, 1998, 63 巻, 503 号, p. 47-52, 公開日 2017/02/02, Online ISSN 1881-8161, Print ISSN 1340-4210

学校現場での罰則適用例

Radon Exposure at Boarding School
https://press.hse.gov.uk/2023/07/20/boarding-school-fined-50000-after-pupils-overexposed-to-radon-radioactive-gas/
国内では理科教員がきちんと対応した例があります。

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