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No.193 訪問歯科診療車によるX線撮影

在宅医療でのエックス線撮影は、患者居宅での撮影より、エックス線診療室での撮影の方が、情報の質の面、安全性の面からも望ましいと考えられます。だとすると、エックス線装置を搭載した訪問歯科診療車などの移動エックス線診療室で撮影してよいですか。

記事作成日:2012/06/15 最終更新日: 2019/06/26

課題の背景

高齢化社会の進行、在宅医療の普及等に伴い、患者の居宅におけるエックス線撮影の必要性が高まっている中、医薬安69号通知でエックス線装置を「特別の理由により移動して使用する」場所に患者の居宅が含められました。
この通知では、留意事項としてエックス線室での撮影の方が望ましいとあり、
それならばエックス線車などの移動エックス線室を用いて居宅付近で撮影をすることは可能かとの疑問が持ち上がりました。

在宅でのX線撮影は通知で認められています

患者居宅でのX線診療は条件付で容認されています。
在宅医療におけるエックス線撮影装置の安全な使用について
在宅医療におけるエックス線撮影時の被ばくと防護に関する研究

X線撮影装置を備えた診療車を居宅玄関前に移動させて撮影することは、必ずしも違法であるとはされていません

歯科往診車内での歯科診療そのものは医療法に反していないとされています。

ただし、歯科往診車内での歯科診療は、在宅医療ではなく歯科診療所での診療と同じ扱いとされています。
答弁本文情報

歯科往診車は広く普及しつつあります

広島県歯科医師会

在宅訪問歯科診療車

「折り畳み式レントゲン防護室」を備えた歯科往診車

Dental cab

静岡歯科医師会

静岡市の委託により「歯ッピー静岡号」なる歯科往診車を用いた在宅訪問歯科診療を行っています。

報道例

日本テレビでの放映例

関係学会の考え方

日本歯科医学会

歯科訪問診療における基本的な考え方

よくある疑問点

患者の居住する敷地内は居宅と考えてよいか?

診療報酬請求上は、少なくとも、国会答弁で訪問歯科診療車内での歯科診療は、居宅の往診にあたらないと明確に考え方が示されています。

その他の課題

薬事法(現薬機法)

用いる医療機器は薬事法(現薬機法)上適正であるか?

巡回診療に該当するか?

診療自動車によって巡廻診療を行う場合で、定期的にかつ一定地点を定めて行うものは、診療所開設の手続が必要とされています。
(昭和三○年八月一二日 医収第六二八号)(埼玉県衛生部長あて厚生省医務課長回答)

例外規定

無医地区での医療の確保

無医地区における医療の確保などを目的として地方公共団体、公的医療機関の開設者又は公益法人等が行なう巡回診療であつて、その実施主体の設置目的に合致するものであり、かつ、巡回診療によらなければ住民の医療の確保等が困難であると認められるものについては、医療法の運用上特別の処置を講じてその実施の円滑化をはかることが適当であると考えられることから、例外規定が通知で示されています。
巡回診療の医療法上の取り扱いについて(昭和三七年六月二○日 医発第五五四号)(各都道府県知事あて厚生省医務局長通知)
医療法人等が行う巡回診療でも規制が緩和されています。

巡回健診

 医療機関外の場所で行う健康診断(以下「巡回健診」という。)に対する需要が増加しているために、国民がより身近に健康診断を受けることを可能とするため、民間医療機関の行う巡回健診の医療法上の取扱いが緩和されています。
医療機関外の場所で行う健康診断の取扱いについて (平成七年一一月二九日 健政発第九二七号 )(各都道府県知事あて厚生省健康政策局長通知) 

災害時の巡回診療の特別扱い例

平成23年東北地方太平洋沖地震、長野県北部の地震及び静岡県東部の地震の被災に伴う医療法等の取扱いについて
医総発0321第1号