複合遮蔽の場合、複合遮蔽としての透過割合は、それぞれの遮蔽体の透過割合の積を用いてよいですか?
2つの遮蔽体を組み合わせて使う場合に放射線の透過割合は、どう設定するのがよいのかな?
このような場合ね。
コンクリートの前に0.1mm鉛をおいて0.4に減らした場合は、1cmのコンクリートでおよそ半分になるからだいたい1/5程度になるのではないかな。
X線が遮蔽体をどの程度突き抜けるかは、エネルギーも関係するのじゃないかしら。
そうだった。最初の遮蔽体を透過するとX線が硬くなるから、次の遮蔽体は通りやすくなりそうだ。
どの程度、変わりそうかしら?
125kVのX線だとコンクリートで半分になるのは、硬くなる前はだいたい1cmだけど、硬くなった後は2cm程度必要になるのか。
複合遮蔽では、それぞれの遮蔽体を通過するときの放射線の変化にも配慮が必要ね。
一次X線の利用線錐方向のしゃへいには、対向板に鉛が用いられ、その後のコンクリート等でしゃへいされている場合がある。
このような複合しゃへい体が用いられている場合は、それぞれの透過率を掛け合わせる乗積法で求めると過小評価されることがある。
したがって、この場合は、対向板のような一次しゃへい体によるX線のしゃへい効果は透過率を、その後のしゃへいは、一次しゃへい体で大幅に減衰した後なので、(大幅に減衰したX線の広いビームに対する)半価層または1/10価層を用いて計算する。
そのまま照射:0.22
遮蔽体を透過した後0.36(半価層:14.7mm)
そのまま照射:0.25
0.4mmの鉛を透過した後0.6
そのまま照射:0.22
遮蔽体を透過した後0.51(半価層:19.7mm)
そのまま照射:0.30(コンクリートの比重を2.2g/cm3とすると0.32)
0.4mmの鉛を透過した後0.44(コンクリートの比重を2.2g/cm3とすると0.46)
照射の幾何学的条件はビルドアップなどに影響する。
フィルタの条件は透過度に影響する。
1.距離のファクタ
2.透過割合のファクタ(一次遮蔽も通過して硬くなるかそうでないか)
3.一次遮蔽も通過するかどうか
の組み合わせで計算することになります。
2と3はトレードオフになります。
・一次遮蔽体での減弱の程度
・一次遮蔽を通過させた後のスペクトルの硬化による遮へい体の透過割合の増加
のバランスで大小関係が決定されることになります。