検索結果

No. 264 放射性医薬品の医療機関内でのミルキングや標識作業

放射性医薬品の医療機関内でのミルキングや標識作業の法的な扱いはどうなっていますか?

記事作成日:2015/01/13 最終更新日: 2023/11/07

一致した見解が得られていないとされています

放射性医薬品のミルキング、標識という作業は、従来から薬事法(現薬機法)あるいは薬剤師法に違反しているのではないかとの指摘があった。そのような現実に対して、本来の業務である医師、薬剤師がやるべきであるという意見と、診療放射線技師に法的根拠を与えるべきだという意見があり、一致した見解が得られないまま、今回の甲府市立甲府病院の過剰事故事例が発生した。

出典

RI投与量全国調査委員会報告書平成23年12月26日

日本病院薬剤師会の対応

放射性同位元素調製に係る日本病院薬剤師会の対応について(日病薬発第17-171号 平成17年12月9日)

薬剤師が放射性同位元素のミルキングに関与している施設は極めて少数であり、大部分の施設において診療放射線技師が放射性同位元素のミルキングを行っている現状及び患者への影響を考慮すると、放射性同位元素を扱っている施設での薬剤師によるミルキングが実施可能な体制が整備されるまでの期間は、診療放射線技師によるミルキングの実施をお願いしたいとの結論になりました。

放射性医薬品取り扱いガイドライン

放射性医薬品取り扱いガイドラインの作成について

この検査に使用される放射性医薬品は、医薬品医療機器等法に定められた医薬品であるため、その調製は薬剤師が行う必要がある。

放射性医薬品取り扱いガイドライン第3.2版(2022年2月改訂)

FAQ

『放射性医薬品取り扱いガイドライン』に対する質問事項
放射性医薬品取扱いの基本に関するQ&A集

協働の実践

赤塚 直哉, 森 章浩, 遠藤 慎士, 寺澤 実, 診療放射線技師と薬剤師が協働した放射性医薬品調製作業に対する安全管理の取り組み, 日本農村医学会雑誌, 2020, 69 巻, 5 号, p. 541-548, 公開日 2021/03/13, Online ISSN 1349-7421, Print ISSN 0468-2513

業務範囲の明確化

診療放射線技師の業務範囲について

事故例

腎静態シンチグラフィー検査は放射線科医が液体の99mTcと、粉末のDMSAキットを混合して調剤して患者に投与する。またその際、投与前と投与後にγカメラによる注射器のカウント測定を行い、正味の投与量を算出する。調剤と投与の時間差による放射線同位元素の減衰とバイアルからの吸い残しを考慮して60 MBqの99mTcをシリンジに吸う必要があった。シリンジに吸った99mTcをキュリーメーターで測定したところ、計測値は0.6 GBqと表示されていた。それを60 MBqであると誤認し、その量をDMSAキットと混合して調剤した。患者投与前に再度シリンジの放射能を測定し、0.518 GBqと計器に表示されていた。この値を51.8 MBqであると誤認し、患者に投与した。そのため、予定投与量の10倍の放射線医薬品を誤投与することとなった。なおその際、投与前の注射器のγカメラによるカウント測定を失念して行っていなかった。その点を放射線技師に指摘され、投与前のシリンジカウント再現のため、同量の99mTcをシリンジに吸ってカウント測定を行おうとした。その際、他の放射線科医からシリンジに吸う量が多いことを指摘され、過剰投与の可能性が指摘された。その後、投与後シリンジに残った放射線量が17 MBqと通常より多い​ことから、過剰投与であることが分かった。