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No.37 核医学施設では排水濃度や排気中濃度を測定する装置を設ける必要がありますか?

核医学施設では、排水濃度及び排気中濃度を自動的に測定記録するモニタリング装置が必要ですか?
排水の測定は業者に依頼し,排気中濃度は計算でも構わないでしょうか?
それとも排気中濃度を測定する装置も必要でしょうか?

記事作成日:2011/01/13 最終更新日: 2023/11/13

排水濃度測定

排水濃度は、排水の都度測定で確認する必要があります。
この測定は、測定会社に委託することができます。

排気濃度測定

核医学施設には、省令で排気中濃度の測定が管理者に義務づけられています。
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(放射線障害が発生するおそれのある場所の測定)
第三十条の二十二  病院又は診療所の管理者は、放射線障害の発生するおそれのある場所について、診療を開始する前に一回及び診療を開始した後にあつては一月を超えない期間ごとに一回(第一号に掲げる測定にあつては六月を超えない期間ごとに一回、第二号に掲げる測定にあつては排水し、又は排気する都度(連続して排水し、又は排気する場合は、連続して))放射線の量及び放射性同位元素による汚染の状況を測定し、その結果に関する記録を五年間保存しなければならない。
一  (略)
二  排水設備の排水口、排気設備の排気口、排水監視設備のある場所及び排気監視設備のある場所における放射性同位元素による汚染の状況の測定
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評価が計算でもよい場合

ただし、条件付きで測定せずに計算による評価でもよいことも省令で規定されています。
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2  前項の規定による放射線の量及び放射性同位元素による汚染の状況の測定は、次の各号に定めるところにより行う。
一  (略)
二  放射線の量及び放射性同位元素による汚染の状況の測定は、これらを測定するために最も適した位置において、放射線測定器を用いて行うこと。ただし、放射線測定器を用いて測定することが著しく困難である場合には、計算によつてこれらの値を算出することができる。
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「測定することが著しく困難である場合」とは?

「測定することが著しく困難である場合」は医薬発第188号通知(医政発0315 第4号通知に置き換わっています)で説明されています。
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また、「放射線測定器等を用いて測定することが著しく困難である場合」とは、物理的に測定することが困難な場合に限定されること。この場合にのみ、計算による算出が認められること。
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この物理的に測定が困難な場合とは、今のところは、純β核種の空気中濃度も含まれると考えられています。

このため、関係学会のマニュアル(有痛性骨転移の疼痛治療における塩化ストロンチウム-89治療の適正使用マニュアル(第二版)−安全管理編−)では、以下のように記述されています(6ページ)。
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排気に関しても同様である。なお、実測により排気濃度限度以下であることを測定できない時は、計算により濃度限度との比を求めることが出来る。詳しくは「排水・排気に係る放射性同位元素濃度管理のガイドライン」(日本アイソトープ協会編)13)を参照されたい。
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いずれにしても、このような課題は、日本アイソトープ協会等で行っている「有痛性骨転移の疼痛治療における塩化ストロンチウム-89治療安全取扱講習会」で説明されていますので、医療機関には、まず、この講習会を受講されるようお勧めされるのがよいでしょう。

電離則

No. 393 放射線測定器を用いてこれを測定することが著しく困難な場合とは?

関連FQA

医療機関で測定したい場合

Q.医療機関で測定したい場合には、どのような測定器が利用できますか?

A.放射線防護用設備・機器ガイド−2010/2011年版に例が示されています。

純β核種に対応した排水中の放射能濃度測定器

Q.関係学会のマニュアルの付録10の2-1で近く市販される予定とある排水中の放射能濃度測定器とは、アロカ社のDWM−502などのことでしょうか?

A.近く市販される予定とある排水中の放射能濃度測定器とは、アロカ社のDWM−502ではありません。
GM計数管とスケーラとを組み合わせたより簡易なものが想定されています。

排気モニタの校正

Q.文部科学省原子力規制委員会の通知では、排気モニタの校正のことが取り上げられていますが、Sr-89の治療施設では排気モニタは不要なのでしょうか?

A.FDG合成施設とSr-89では、潜在的にリスクが大きく異なります。
F-18の生成は、O-18と陽子との反応の効率を下げないように、高圧(ターゲット水内1.7MPa程度)としています。また、生成されたフッ素は反応性に富み、ターゲット水中で生成されるフッ化水素の沸点も19.5度と低いことから、系統内からリークがあると、容易に外部に放出される危険性があります。
それに比べてストロンチウムは飛散しがたく、化学的な性質が大きく異なるためにリスクそのもののが大きく違います。

濃度限度を超える排気がなされたとされる事例

事例1(2007年11月01日 第1報)warp_logo
事例2(2007年12月04日 第1報)warp_logo
事例3(2008年02月21日 第1報)warp_logo

排気に由来した線量評価を行ったことが記録されている例

桝本 和義.最近の事故事例から学ぶ放射線安全管理(企画セッション2)

関連Q&A

No. 34 電離則での作業環境測定の外部委託

質問主意書

わが国の放射性同位元素内用療法(RI内用療法)の現状及び今後の国の施策に関する質問主意書

環境放出後の異常集積

干潮による集積例が知られています。
通常、水面下にあるラ・アーグ再処理工場の排水管が、非常に稀な引き潮のため水面上に露出した。

議論例

Lu-177

第1回医療放射線の適正管理に関する検討会

コンポジット・サンプリング法

コンポジットの平均化リスク?

サンプルABCがあったとして A:基準値オーバー, B:基準値未満, C:基準値適合 をコンポジットすれば 結果としてA,B,Cのすべてが適合と誤って判定され、2サンプルの規格外を許す恐れがあると考えました。

この懸念への対応案例

  • 基準範囲をそのまま判定基準として用いるのでなく、コンポジット・サンプリングすることに対応して、このような誤分類を避けるために策定した判定基準(=基準範囲よりも狭く設定)を用いる。
    • これにより消費者リスクを制御できる。

この対応の課題

  • それぞれの元の試料が基準範囲であるにもかかわらず、誤って、どれかの試料が基準範囲を超えている(あるいは下回っている)と(誤)判定する可能性がある。
    • この誤りは生産者リスクをもたらす。

排気塔から放出される放射性核種の分析例

M. Giardina, E. Tomarchio, D. Greco. Analysis of radionuclide concentration in air released through the stack of a radiopharmaceutical production facility based on a medical cyclotron. Radiation Physics and Chemistry.116,368-372,2015.

連結すべき排水施設とは?

Q.「病院又は診療所における診療用放射線の取扱いについて(平成31年3月15日医政発0315第4号)」で「(5)規則第30条の8第10号の規定は、準備室に設けられている洗浄設備について、診療用放射性同位元素又は放射性同位元素によって汚染された水等を安全に廃棄するために排水施設に連結すべきであること。」とありますが、排水設備への連結は認められないのでしょうか?
A.文脈上は、排水設備への連携と解釈すべきではないでしょうか。

リークに対して対策を講じた事例

放射性同位元素を含むのホットセルへの移送試験中に実施し、合成装置からのリークを検出しガスの封じ込めを行うプロセスの見直しが急遽実施された例