対向遮蔽物を考慮して計算すると、利用線錐での線量がかえって大きくなりました。何故でしょうか?
イメージインテンシファイアを用いていた受像器では医薬発第188号通知(医政発0315 第4号通知に置き換わっています)に従い、120kVの管電圧に対して、2.2mmの鉛と見なして計算していました。
デジタル化したので仮に厚さ0.2mmの鉛で計算することを考えました。
受像器での減弱:0、壁(20cmのコンクリート)での減弱:1.33E-4
受像器での減弱:2.09E-1、壁(受像器でのビームの硬化を考慮)での減弱:7.6E-04
合計で1.6E-04
対向遮蔽物を考慮すると対向遮蔽物での減弱を見込むことができます。
その一方で、対向遮蔽物を透過することで、放射線のエネルギースペクトルが変化し、遮蔽壁での透過割合が高くなることの考慮が必要となります。
対向遮へい物を考慮したことにより線量が下がるかどうかは、対向遮蔽物での減弱の割合と対向遮蔽物によりビームが堅くなり遮蔽物での透過割合が高くなることの関係で決まります。
放射線は相互作用により変化が変わることがあります。実際に評価したい線量が遮蔽体でどのようになるかは下がるかどうかは、遮蔽体との相互作用や評価したい線量の性質などで決定されます。
NCRP 147reportでは、Chest Unitのchest image receptor遮蔽能力を鉛2.2mmと等価としています(5.2 Dedicated Chest Unit)。
新版 歯科診療における放射線の管理と防護では、口内法撮影用エックス線装置では鉛0 mm、歯科用パノラマ断層撮影装置ではカセッテホルダーのカタログ値を根拠として鉛0.5mmとの例を示しています。