在宅医療でのエックス線照射では放射線防護のために公衆に対して患者等から2m以上の距離を取ることを求めています。その一方で、災害時の救護所等では3m以上と規定されています。何故違うのでしょうか?
回数が違うと考えられています。
ア 撮影患者以外の患者に対しては、エックス線管容器及び撮影患者から3メートル以上離れた場所で診療を行うこと。特に、子供及び妊婦に対しては、さらに十分な配慮が必要であること。
また、3メートル以上離れることができない場合には、0.25ミリメートル鉛当量以上の防護衣等により、放射線防護措置を講ずること。
分担研究者:近藤久禎、研究協力者:麻生智彦
臨時医療施設・応急救護所等における緊急時エックス線撮影装置の安全な使用について
阪神淡路大震災における緊急医療が必要だった傷病者に関して、24時間以内に380例、その後の必要数が120例の合計500例との見積もりから、被災者一人あたりの検査件数を胸部と骨盤の合わせて2件と想定し、臨時エックス線検査を安全に遂行するために医療従事者の防護は2メートル、公衆の防護を3メートルに設定し放射線防護の検証を行い、結果として座位撮影と臥位撮影の割合を3:7として2764件程度の撮影が可能なことが得られたとしています。
また、災害時のエックス線検査の需要は災害の種類や規模に依存するが、臨時エックス線撮影を安全に遂行するためには,医療従事者の防護は在宅医療における指針に準じた2メートル、管理区域の設定については公衆の防護を踏まえた3メートルで十分な安全性と検査の質の担保が可能であるとしています。
ア 患者の家族、介助者及び訪問者は、エックス線管容器及び患者から二メートル以上離れて、エックス線撮影が終了するまで待機させること。特に、子供及び妊婦は二メートル以上の距離のある場所に移動すること。
また、二メートル以上離れることが出来ない場合には、防護衣(〇・二五ミリメートル鉛当量以上)等で、防護措置を講ずること。
金井悟史、大棒秀一.災害時の救護所等におけるエックス線撮影装置の安全な使用について
金子万幾子. 広域災害時避難場所における野外救護所でのX線撮影のマニュアル作成
金井悟史. 野外X線撮影における散乱線測定による管理区域の検討
厚生労働科学研究成果データベースをご覧下さい。
文献番号は200737002Aです。