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No.71 地方分権推進関係整備法と医療機関への立入検査

地方分権推進関係整備法(平成11年7月16日公布 法律第87号)により、医療法令はどのように改正されましたか?

記事作成日:2011/01/17 最終更新日: 2024/01/12

地方分権推進関係整備法の目的

地方分権推進関係整備法は、これまでの中央集権型の行政システムから地方分権型の行政システムに変換を図ることを目的としています。
11次にわたる地方分権一括法

地方分権推進関係整備法に関連した医療法の改正

この法律により、医療法では主に以下の点について整備されました。

機関委任事務の廃止

都道府県知事、市町村長が国の包括的な指揮監督権の下で事務処理を行ってきた機関委任事務制度が廃止され、地方公共団体の事務は、自治事務と法定受託事務とに再構成されました。

自治事務とは

自治事務は、地方公共団体の処理する事務のうち、法定受託事務を除いたものであり、医療法上の主な都道府県等の事務はこれに該当します。
なお、緊急の場合には、厚生労働大臣は都道府県知事等に対し管理者の変更命令、開設許可の取消等の処分を行うべき旨の指示をすることができます。

法定受託事務とは

国が本来果たすべき役割に係る事務のうち、法律又は政令により地方公共団体が処理することとされるものです。2つ以上の都道府県の区域において病院等を開設する医療法人の設立申請経由に係る事務などがそれに該当します。

その他

医療監視員に係る必置規制が弾力化されました。
従来省令に規定されていた都道府県等の届出受理事務等が法律又は政令に引き上げる等の規定の整備が行われました。

官業民営化等WGヒアリング調査票(その他の検査・検定、監視等) 〔所管省庁名: 厚生労働省〕

医療法第25条に基づく立入検査

参考資料

佐藤 牧人, 森泉 茂樹, 長屋 憲, 桜山 豊夫, 小柳 博靖, 岡澤 昭子, 池田 和功, 川島 ひろ子, 岡田 尚久, 竹之内 直人, 濃沼 信夫, 医療機関への立入検査と保健所機能に関する現状と課題, 日本公衆衛生雑誌, 2003, 50 巻, 3 号, p. 246-255
医療監視から立入検査へ
砂屋敷忠.医療監視と歯科放射線
大木幸子.地方分権時代の公衆衛生活動

参酌

条例委任する場合の基準設定の類型
法律改正では、都道府県は、厚生労働省令を参酌して、営業許可の施設基準を定めることとし、政省令改正では、営業許可業種の区分や施設基準についての実態に応じた具体的な見直しを行う。
食品衛生法の改正について
食品衛生法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政省令の制定について

都道府県は、営業許可業種の施設につき、厚生労働省令で定める基準(以下「参酌基準」という。)を参酌して、条例で、公衆衛生の見地から必要な基準(以下「施設基準」という。)を定めなければならないこと。参酌基準とは、条例制定に当たり、十分に参照しなければならない法令上の基準を指しており、参酌基準を十分に参酌した結果であれば、法令に違反しない限りにおいて、地域の実情に応じて異なる内容を定めることは許容されること。ただし、今般の改正により参酌基準が法令化された趣旨として、施設基準に係る合理性に乏しい地域的差異の解消があることを踏まえ、施設基準の設定に際し、その必要性及び合理性を十分に検討すること(法第54条関係)。
また、施設基準の設定に際して、屋台、露店等の簡易な施設での臨時 営業等を対象とした斟酌規定を設けることは差し支えないこと。
なお、行政手続法(平成5年法律第 88 号)に基づく意見公募手続(パブリックコメント)については、同法第3条第3項において、地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、パブリックコメントに係る規定は適用しない旨が規定されているが、施設基準の設定が営業者に与える影響等を考慮し、施設基準に係る条例の制定に先立ち、同法第 46 条に基づく行政手続条例等に基づきパブリックコメントを実施するなど、関係者の意見聴取を行うよう努めること。

斟酌

また、施設基準の設定に際して、屋台、露店等の簡易な施設での臨時営業等を対象とした斟酌規定を設けることは差し支えないこと。

食品衛生法

第五十四条 都道府県は、公衆衛生に与える影響が著しい営業(食鳥処理の事業を除く。)であつて、政令で定めるものの施設につき、厚生労働省令で定める基準を参酌して、条例で、公衆衛生の見地から必要な基準を定めなければならない。

GMP査察での模擬査察

寺田 宙, 戸次 加奈江, 山口 一郎, GMP調査の国際整合性確保と教育訓練について, 保健医療科学, 2022, 71 巻, 2 号, p. 163-174
○ GMP調査には一定水準以上の査察技術の習得が重要であることから、引き続き、 査察担当者のGMP合同模擬査察への参加、国立保健医療科学院における研修及び専門分野別研修などへの積極的な参加を通してGMP調査技術の向上をお願いしたい。
合同模擬査察の実施への協力について(依頼)
国立保健医療科学院において実施する5週間の研修を修了した場合にあっては、1年間の業務経験に相当すること。
トレーニング・トレーニング・トレーニング

質問主意書

平成二十二年二月十九日提出 質問第一五〇号 医療機関への立入検査に関する質問主意書

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紛争例

不指定取消請求事件(泉佐野市ふるさと納税訴訟)について
人見 剛, 泉佐野市ふるさと納税事件に係る最高裁令和2年6月30日判決, 自治総研, 2021, 47 巻, 511 号, p. 69-95, 公開日 2021/05/28, Online ISSN 2435-8738, Print ISSN 0910-2744