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No.13 X線CT室の扉底面部からの放射線漏えい

治療計画用X線CT装置更新に伴う医療法の申請の際、扉底面部の漏えい線を指摘された。X線CT装置の漏えい線は、ガントリーから寝台側斜め方向に散乱線が多く発生する。
今回は設置の向きから、散乱線の多い方向に扉が存在してしまった。
漏えいしている放射線の量は扉底面部で隙間の大きさは5mmでX線CT装置の照射時に23μSv/hであった。

記事作成日:2011/01/05 最終更新日: 2020/02/22

質問の続き

扉の構造上、底面部に隙間を空けなければ、扉の開閉ができなくなってしまう。
また扉と床面の隙間は線量評価点になるのか、従事者の安全を担保した施設であるかの確認であることは理解できるが、はたして扉の隙間を床面まで測定するのはどうかと疑問を持った。
医療放射線監視研修の事例の紹介です)

事例提出者による対応策

早急に扉の修繕工事を行い、修繕工事報告及び改修報告書を作成し、規制当局に提出、許可を得たので稼働は数日の遅れで済んだ。扉の隙間の漏えい線も線量評価点になるのであれば、今後注意して自主検査の際に漏えい線を測定し、事前に準備する必要があると考える。

研修担当者によるコメント

漏えいの程度を感度よくモニタリングする場所としては、ドアの隙間付近で確認することも意義がないとは言えないと思います。
ただし、使用室境界や管理区域境界の線量限度は防護量としての実効線量で与えられており、特別な場合を除いては(=従事者の手指や眼の水晶体が多く曝露する)、実効線量として評価すればよいと考えられます。

解説

高出力のX線CT装置では、ガントリで防護はなされていますが、それ以外の方向では患者からの散乱線が室内に放射されるので観察窓からの照射中の放射線漏えいは 数μSv/h程度はありえます。従って、一定の感度を有する放射線測定器で容易に検出できます。
鉛ガラスが薄い施設では、最大レンジが20 μSv/hの線量計で照射中の線量率がレンジオーバーになることもあります。
ただし、X線CT装置はビームタイムが限られていますので、操作室での積算線量は線量限度を下回ります。
いずれにしても線量限度を担保した上でALARAに基づく防護が求められます。

参考資料

JIRA. X線防護工事 標準化マニュアル制定 (2011年4月18日)

隙間からの放射線の漏れの可視化

扉の隙間からの放射線の漏れ