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No.152 リニアック室への患者さん送迎業務と放射線管理

リニアック室に患者さんの送り迎えにくる看護師にも電離則では記帳の義務がかかっているのでしょうか?

記事作成日:2011/03/05 最終更新日: 2019/11/12

労働者保護の規定

電離則の労働基準監督署向け解釈通達である基発253号は「管理区域に一時的に立ち入る労働者」の「管理区域への立入りの記録」を「少なくとも立入後1年間保存することが望ましい」と記述されています。
この立入の記録の保存義務は労働者保護のために事業者に課せられたもので、昭和61年7月の審議会からの意見具申に基づいています。

放射線曝露量は十分な精度で推定されている

放射線治療を受ける患者さんの診療の介助などの業務による管理区域への一時的な立ち入りの程度は、事前のみならず事後的にもきちんと把握されることから、管理区域に一時的に立ち入る看護師の線量は正しく推定することができ、それが記録され保存されていることから、労働者側の理解も得られ、問題はないと考えられます。

毎回、記帳すべきとの放射線管理担当者からの意見がある

しかし、現場の放射線管理担当者からは、看護師などがリニアック室に立ち入る際には毎回記帳すべきであるという意見が寄せられています。

管理区域に一時的に立ち入る労働者のリスク

放射性物質や放射性発生装置を使っていない場合に使用室に一時的に立ち入る労働者が受けるリスクにはどのようなものがありますか?

放射性物質による汚染があった場合

放射性物質による汚染があった場合には、それに由来した曝露を受けることが考えられます。
しかし、医療機関では使用室内の汚染の程度は常に把握されています。

放射線発生装置などにより生成されたオゾンや酸化物の曝露

放射線は空気中の分子に不対電子を生成するために、ラジカルが作られ、その反応産物を曝露することが考えられます。
しかし、医療機関ではこのリスクは十分に制御されています。
放射線施設で生成されるオゾンは安全ですか?

暗電流放射線

コンデンサ式X線高電圧装置の充電状態において照射時以外にX線装置から漏れるX線(pdf file, 115kB)に曝露することが考えられます。
しかし、医療機器には十分な安全策が講じられています。

放射化物

上述しているように、医療機関ではきちんと制御されています。
医療機関で気体の放射化物のリスクを気にする必要がありますか?

IEC standard 60601-2-1, edition 3, 2009

Medical electrical equipment. Part 2-1: Particular requirements for the basic safety and essential performance of electron accelerators in the range 1 MeV to 50 MeV

201.10.1.2.104.3 EMISSION of IONIZING RADIATION after TERMINATION OF IRRADIATION, due to INDUCED RADIOACTIVITY
This requirement shall apply only when the ENERGY of the ELECTRONS at the TARGET or ELECTRON RADIATION window exceeds 10 MeV.
a) The AMBIENT DOSE EQUIVALENT, H*(10), due to IONIZING RADIATION from the ME EQUIPMENT at the end of a 4 h series of IRRADIATIONS of 4 Gy at the maximum SPECIFIED ABSORBED DOSE RATE, separated by off periods of 10 min, shall not exceed the following values when accumulated over a period of 5 min starting not more than 30 s after the final TERMINATION OF IRRADIATION:
• 10 μSv at any readily accessible place 5 cm from the surface of the ENCLOSURE, and
• 1 μSv at 1 m from the surface of the ENCLOSURE.
Alternatively, the ambient dose equivalent rate measured during the period starting not more than 30 s after the final TERMINATION OF IRRADIATION and extending to not more than
3 min from that time, shall not exceed the following values:
• 200 μSv × h–1 at any readily accessible place 5 cm from the surface of the ENCLOSURE,
and
• 20 μSv × h–1 at 1 m from the surface of the ENCLOSURE.
NOTE The presence of beta particles may add to the skin dose.

201.7.9.2.15 Environmental protection
NOTE The USER’s radiological protection adviser is, generally, the person responsible for the identification and disposal of material that may exhibit RADIOACTIVITY.
To assist the RESPONSIBLE ORGANIZATION’s radiological protection adviser, the following data shall be provided:
– ENERGIES and corresponding maximum ABSORBED DOSE RATES at NTD under conditions of NORMAL USE for
• X-RADIATION (with and without any ADDED FILTER if NORMAL USE is possible in both these states), and
• ELECTRON RADIATION;
– dimensioned shape of the maximum GEOMETRICAL RADIATION FIELDS at NTD for X-RADIATION and ELECTRON RADIATION;
– location(s), referenced to accessible points on the RADIATION HEAD, of:
• the front surface of the TARGET, and
• the ELECTRON BEAM RADIATION window;
– available directions of the RADIATION BEAM;
– if a RADIATION BEAM shield is incorporated, its transmission factor at each X-RADIATION ENERGY;
– guidance and precautions regarding the identification, handling and disposal of ME EQUIPMENT or ME EQUIPMENT parts that may exhibit RADIOACTIVITY.

放射線治療室(リニアック室)にはいるだけで放射化物により被曝するのですか?

放射化物が生成されていると、それによる
・外部被ばく
・サブマージョンによる被ばく
・内部被ばく
が考えられます。
その量は施設によって異なりますが、いずれもきちんと制御されており、担当者の指示に従えば問題は全くありません。
放射線部からも詳しい説明があります。

関連文献

短半減期核種による放射線診療従事者被ばく

福間 宙志, 江口 佑太, 磯山 茂, 川野 誠, 鈴木 友輔, 青山 貴洋, 加藤 秀起: 医用直線加速装置の高エネルギーX線による放射化の解析~線量測定と被ばく線量の推定~ . 日放技学誌, Vol. 66, No. 5, 495-501, (2010) .

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