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No.158 多目的手術室へのエックス線装置の設置(未解決)

多目的手術室にエックス線装置を設置できるようにすべきですか?

記事作成日:2011/03/05 最終更新日: 2024/07/18

最近の動向

手術室で大動脈のステントグラフトを行う施設が増えている。
従来は、外科用イメージで対応してきたが限界があるとされ、件数が多い施設ではアンギオ装置を設置することがある(設置例:九州大学附属病院、慈恵医大附属病院、埼玉医大附属病院、横浜労災病院、長野県立こども病院、国立循環器病センターなど)。
手技の普及に伴い血管外科での外科用イメージのニーズが増えている可能性がある。

経カテーテル大動脈弁留置術 (TAVI, transcatheter aortic valveimplantation)あるいは経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR, transcatheter aortic valve replacement)の保険適用

2013年7月18日にTAVRが保険適用されたが、ハイブリッド手術室を設置することを事実上義務づけている。
経カテーテル的大動脈弁置換術実施施設基準

室内の従事者の防護

ハイブリッド手術室の技術動向
被ばく線量に関しては,診療放射線技師の取り組み方により施設間で大きな格差が生じていると思われる。
Management of concomitant coronary artery disease in patients undergoing transcatheter aortic valve implantation: the United Kingdom TAVI Registry.

放射線診療専用の手術室

アンギオ装置を設置した手術室は放射線診療専用の手術室としているところがある。
その場合には脳血管外科と血管外科など特定の診療科が専用で用いている。
手術後確認造影や術後コンビームCTのために他の診療科が用いることもある。
ヘッドアップ、ダウン及びローリングができる撮影台であるため通常の手術でも活用されることがある。

血管撮影装置を手術室に設置するアイデア

血管撮影装置を手術室に設置するアイデアは、日本で考えられたものであるが、国内でもまだ主流ではない。国際的にもまだ一般化はしていない。
放射線防護のガイドラインもおそらく標準化されたものはまだない。

利点

透視下手技から手術への切り替えが容易
一般的なエックス線診療室では認められていない診療用放射性同位元素を投与する手技が可能

法令適用の課題

現行の通知でも、専用室で用いる場合には齟齬はない。
曜日によって、他の科が放射線診療を伴わない手術を行う場合には齟齬を来す。
→エックス線診療室をある特定の時間帯に超音波検査室にすることは想定外。
手術室を放射線診療室として適切に防護して診療することには問題がないので、その他の手術は臨時にやむをえず行っていることにすればよいのではないかという意見がある。

課題解決に向けて

通知改正

移動型装置ではなく据え置き型装置が必要なことを示す。
アンギオ装置などを設置した手術室は放射線診療専用手術室としない方がよいことを示す。
放射線安全など医療安全面も問題がないことを示す。
→通知を見直す。

特例で認める

放射線防護策(や院内感染防護策など)を十分に講じていて、手術室を放射線診療室としそれを多目的に使うことに関して手術部のスタッフやその家族も合意しており紛争化しないこと示してもらう。

手術支援装置へ発展した血管撮影装置

http://www.e-radfan.com/files/news618.html
http://www.innervision.co.jp/12SP/rsna2007/siemens/

放射線防護の考え方のアイデア

  • 遮へい計算や作業環境モニタリングや個人線量モニタリングは血管造影室での放射線管理方法を適用させる。
  • 放射線診療室としてX線診療室として扱うが、放射線診療を行わない時間帯には、放射線管理を不要とする。
  • その際には、誤って放射線が照射されないような措置を講ずる。

救急対応が必要な場合の課題

X線装置を用いない場合に、放射線が誤って照射されないような措置を講じることが安全確保策として考えられるが、ベッドは稼働可能として高電圧発生装置をオフにすることが考えられる一方で、救急の現場では常に対応が必要なので常時電源をオンにすべきとの意見も頂いています。この他に誤照射を防止するアイデアとして、使わないときにはフットスイッチをオフにすることも行われているそうです。

通知の規定

ウ 放射線診療室において、放射線診療と無関係な機器を設置し、放射線診療に関係のない診療を行うこと、当該放射線診療室の診療と無関係な放射線診療装置等の操作する場所を設けること及び放射線診療室を一般の機器又は物品の保管場所として使用することは認められないこと。ただし、次に掲げる場合にあっては、その限りでないこと。
(ア)放射線診療に必要な患者監視装置、超音波診断装置又はその他の医療工学機器等を放射線診療室に備える場合。
(イ)診療用高エネルギー放射線発生装置使用室にRI法の許可を受けた放射化物保管設備又は放射化物のみを保管廃棄する保管廃棄設備を備える場合。
ただし、この場合においては、規則第25条第4号の規定に関し、診療用高エネルギー放射線発生装置使用室の放射線障害の防止に関する構造設備及び予防措置の概要として、当該放射化物保管設備又は放射化物のみを保管廃棄する保管廃棄設備を備える旨を記載し、規則第29条第2項の規定により、あらかじめ病院又は診療所の所在地の都道府県知事等に届出を行う必要があること。