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No.47 サブマージョン核種による従事者の線量評価

サブマージョン核種による従事者の吸入曝露による線量評価が告示等(教科書も含む)で示されていないのは何故ですか?

記事作成日:2011/01/13 最終更新日: 2020/01/05

理由は不明です(外部被曝が支配的であるためだと推測されます)。

関連記事

サブマージョンとは何ですか?

参考記事

河合勝雄.新しい内部被ばく線量評価法による空気中濃度限度等の試算について(pdf file, 228kB)

その他の未解明問題

放射線治療装置における放射化物の管理に関する学会標準 初版(平成26年4月14日)

Cl-39をサブマージョンとしたのは何故か?

法令

Cl-34mの化学形でサブマージョンもあるのは何故か?
40Ar(γ,p)39Clのしきいエネルギーは約14 MeVですので、10MVリニアックでは発生しない(10ページ)
放射線を放出する同位元素の数量等を定める件

サブマージョン核種を吸入した場合の線量

Jocelyn EC Towson. Radiation Dosimetry and Protection in PET

サブマージョン核種を静脈投与した場合の線量

PET診断による代表的実効線量
UNSCEAR 2000: Administration of Radioactive Substances Advisory Committee. Notes for guidance on the clinical administration of radiopharmaceuticals and use of sealed radioactive sources. NRPB, Chilton (1998)

ICRP1977年勧告取り入れ

浜田達二先生の解説

サブマージョン核種の内部被ばく

サブマージョン核種では内部被ばくを考慮していけないですか?

サブマージョン核種であっても内部被ばくを考慮すべきである場合には、内部被ばくも考慮すべきではないでしょうか。

サブマージョン核種で吸入摂取時の実効線量係数が示されている例はありますか?

告示別表では、炭素11、塩素34mで吸入摂取時の実効線量係数も示されています。

一般的に空気中に存在する核種はサブマージョン核種として考慮するという切り分けですか?

・一般的に空気中に存在する核種は、科学的にはサブマージョン状態であり科学的には外部被曝も考慮して検討
・検討した結果、外部被曝が内部被曝と比べて無視できる場合は、法令上、サブマージョン核種としては扱わない(ことになっているのではないか)

法令上サブマージョン核種であるもので内部被曝も考慮しているのがあるのは何故ですか?

・内部被曝の寄与が比較的大きいと考えられるからではないでしょうか。

Clは同位体によってサブマージョンの扱いをしたりしなかったりしていますが、どうしてでしょう?

・同位体によって単位濃度(の積分値)あたりの外部被曝に対する単位摂取量あたりの内部被曝の大きさが異なるからではないでしょうか。

O-15での計算練習

Dose Coefficients for Air Submersion(濃度から実効線量への)

O-15は4.91E-14 Sv/s Bq m3

実効線量

concentrationを 7E+2 Bq/m3とすると実効線量は1.1 mSv/y

公衆の線量限度

1 mSv/y

空気中濃度限度

サブマージョン核種としてのO-15の空気中濃度限度 (Bq m-3):2 x 105

排気中濃度限度

サブマージョン核種としてのO-15の空気中濃度限度 (Bq m-3):7 x 102

皮膚等価線量

換算係数

サブマーション核種の皮膚等価線量換算係数
Fig. II.25. Electron skin dose coefficient for submersion in contaminated air

換算係数

およそ 1E-13 (Sv/s)/(Bq/m3)。

皮膚等価線量

50mSv/yearに相当するのは、およそ1.6E+04 Bq/m3
Subpart D–Radiation Dose Limits for Individual Members of the Public

ドイツの法令

ガンマサブマージョンは、C-11, O-15, N-13のいずれも3.4E-16 Sv/s Bq m3
ベータサブマージョンは、
皮膚に対してC-11: 2.2E-14, O-15:4.5E-14 , N-13:2.9E-14
眼の水晶体に対してC-11: 5.2E-18, O-15:2.2E-15 , N-13:1.4E-16

FAQ

サブマージョン核種の被ばく量は、減衰せず、雰囲気中にある放射能がずっと存在するときにもたらされる被ばく量から計算されているのでしょうか?例えば、時刻0で10MBq/mLであれば、それが3ヶ月あると考えるのでしょうか?O-15のような短半減期核種ではそれは大きな過大評価になるのではないでしょうか。

濃度限度は評価期間中の平均濃度で与えられています。
線量評価では減衰を考慮した方が正確になります。
ただし、濃度を考えるための空気の量は、使用時の排気の量から誘導する必要があります。

3ヶ月の平均放射能をO-15の減衰を考慮して計算するとほぼ0です。そうなると被ばく量も0となってしまいます。これは被曝の過小評価ではないでしょうか。

平均濃度は評価期間に依存します。評価期間が長くなると平均濃度は低くなりますが、曝露する時間が増えるので、放射性物質の系外への移行がないモデルだと線量は同じになります。

減衰補正を考慮すると非安全側になりうるのではないかとの懸念例1

三ヶ月の減衰を考慮すると100,000倍の濃度が許容されてしまいます。
一方、内部被ばくと外部被ばくの比はたかだか200倍程度です。
あっという間に、内部被ばくによって線量限度を越えてしまいます。

評価期間開始時の1秒間にO-15を含む排気がなさると考えてみます。
3月間の平均濃度を7E-04 Bq/cm33を超えないようにするには、
125 Bq/cm3を超えないような濃度に放出する必要があります。
この濃度は濃度限度に比べると100,000倍を超えるような濃度となります。
さて、この空気を一秒間吸入することによる内部被ばく線量を考えてみましょう。
単位時間あたり吸い込む空気の量を1.2 m3/hとすると、一秒間に吸入する量は、3.3E-04m3となります。
このため吸入するO-15の量は4.2E+04 Bqとなります。
吸入による実効線量換算係数を1.16E-12 Sv/Bqとすると、吸入による内部被ばく線量は約0.05 μSv となり、線量限度を超えないと考えられます。

供給が1秒ということであって、吸引は1秒で終わりません。ありえない仮定ですが、現行の濃度の限度は排気口に口をつけていると考えられています。

おっしゃるように現行の吸入曝露引き起こす核種での排気中の濃度限度の誘導は排気口に口をつけているとのもっとも安全側の仮定で成り立っています(もっとも環境中のどこかで濃縮が起こると非安全側になり得ますが…)。
従って評価期間中の排気口での平均濃度で限度が示されています。
このことから、排気口に常時、排気が供給され、放射性ガスの放出時間が1秒間であった場合を仮定した計算を示しています。
ここで拡散を考慮せず、1秒間の間に排気された空気が排気口にとどまり、そこで3月間空気を吸い続ける想定で内部被ばく線量を計算してみましょう。
排出時に70 Bq/cmの濃度であるとすると、3月間の平均濃度は3.9E-04Bq/cmとなります。
従って吸入による実効線量は5 µSv程度となります。

ここでの想定では、評価期間開始時に放出されるとなっていますが、O-15の半減期2分と短いため、1日の減衰だけでも大きな減衰補正となってしまいます(500倍)。このため、濃度限度との比は小さくなりますが、評価期間のどこであっても、状況は大きくは変わりません。

1週間の減衰では3千倍程度になるようです。

O-15の減衰を考慮してしまうと、許容される濃度があがります。
つまり、7e-4x1e5 = 70 Bq/cm
の濃度を与えてもOKということと等価です。
ヒトの年間呼吸量は、一般的に利用される表を使うと8.1×1E+9 cm3/yr
程度になります。 70 Bq/mL x 8.1×1E+9cm/yr = 567 GBq/year
ですので、仮に1 GBq当たりの内部被ばく量を 1mSvとすると、567 mSv/yrとなります。
このように10万倍の放射能濃度を与えてしまえば、内部被ばくは1mSvをすぐに越えてしまいます。

サブマージョン核種の濃度限度誘導では、平均存在数量を用いており、減衰の考え方を用いていますが、減衰を考慮した平均濃度から減衰を補正して計算された70 Bq/cmは、評価開始時刻の濃度であり、
その濃度が継続した場合には線量限度は担保できません。
減衰を考慮することは、濃度限度の10万倍の濃度の排気をある限定された条件では容認するのですが、評価期間中の排気中能濃度が70 Bq/cmを下回っていても、線量限度を担保するものではありません。

減衰補正を考慮すると非安全側になりうるのではないかとの懸念例2

Q. 511keV放出核種の線量率係数は4 mSv/day/Bq/cm3 です(原研の資料より)。
告示別表に書かれているO-15の事業所境界における濃度限度は7e-4Bq/cm3です。
時刻t0で7e-4Bq/cm3のO-15ガスが環境に放出されたとしましょう。この際の1年間のある人が受ける被ばく量を考えてみてください。
O-15がサブマージョン核種であるとすると、減衰を考慮しないと仮定されていますので(注:本来は減衰が考慮されています)一年中同じ放射能濃度で存在していると考えます。つまり7e-4 Bq/cm3がずっと一年間つづくと、
7e-4 (Bq/cm3) *4 (mSv/day/Bq/cm3) * 365 (年) = 1.02 mSv
と、当然、約1mSvになります(公衆の被曝限度)。
一方、内部被ばくの場合を考えます。
話を単純にするために、吸入曝露はサブマージョンによる被曝の1/100と仮定します。
つまり、この方は、吸入曝露により、0.0102mSvの被曝を受けることになります。

さて、ではこの1年間の被曝量を減衰補正を考慮したとしましょう。
時刻t0で7e-4Bq/cm3ですので、全崩壊数は7e-4/lambda = 0.124 Bq・s/cm3
よって被ばく量は 0.124*4(mSv/day/Bq/cm3)/24/3600 = 5.75e-6 mSv
です。
つまり、減衰を考慮して、公衆の被曝限度1mSvを与えるためには
1/5.75e-6 = 1.74e5 Bq/cm3
まで許されるということになります。
もし、時刻t0で1.74e5 Bq/cm3のO-15の濃度があったとしたら
内部被曝は7e-4Bq/cm3で0.0102mSvですので、
2.5Svとなります。
つまり外部被ばくより、内部被ばくを考慮しなければならないということになります。

『511keV放出核種の線量率係数は4 mSv/day/Bq/cm3 です』でのBqで示される放射性物質の量は、評価期間の開始時刻t0での量ではなく、評価期間中の平均濃度として与えられています。

時刻0で「7e-4Bq/cm3のO-15ガスが環境に放出され」それが減衰せずに存在した場合を仮定すると、上に示されたように線量は約1mSvになるのですが、このことは「評価期間中の(減衰を考慮した)平均濃度が7e-4Bq/cm3となるようにO-15ガスが環境に放出」した場合に線量は約1mSvであると捉えられるべきだと考えられます。つまり、サブマージョン核種の排気中の濃度限度の誘導では、物理的な減衰が考慮されているのです。

このため、半減期が異なる核種でも、同じ係数や同じ濃度限度となっています。
陽電子放出するサブマージョン核種では、消滅光子による外部被曝が支配的であり、評価期間中の総壊変数で線量が決定されることを意味しています。

『時刻t0で7e-4Bq/cm3のO-15ガスが環境に放出されたとしましょう。この際の1年間のある人が受ける被ばく量を考えてみてください。
O-15がサブマージョン核種であるとすると、減衰を考慮しないと仮定されていますので一年中同じ放射能濃度で存在していると考えます。』とあるのは、

  1. 時刻t0で7e-4Bq/cm3のO-15ガスが環境に放出」と仮定ではなく、
  2. 「評価期間中の平均濃度が7e-4Bq/cm3となるようにO-15ガスが環境に放出」

と解釈すべきなのです。
従って、「つまり、この方は、吸入曝露により、0.0102mSvの被曝を受けることになります。
さて、ではこの1年間の被曝量を減衰補正を考慮したとしましょう。
時刻t0で7e-4Bq/cm3ですので、全崩壊数は7e-4/lambda = 0.124 Bq・s/cm3
よって被ばく量は 0.124*4(mSv/day/Bq/cm3)/24/3600 = 5.75e-6 mSv
です。」は、減衰を考慮した上で、さらに減衰を考慮しているので適切ではありません。

陽電子でもエネルギーが大きくなるとどうなりますか?

皮膚の吸収線量が大きくなることが考えられます。線量限度との比較では、実効線量限度と皮膚の等価線量限度との比較となりますが、2017年12月現在、日本では公衆に対する皮膚の等価線量限度は定められていません。
例えばO-15の場合、皮膚への等価線量の換算係数は、 1E-13 Sv/s/Bq/m3とされています(Fig. II.25. Electron skin dose coefficient for submersion in contaminated air)。これを用いると、皮膚の等価線量限度を仮に50mSv/yearとすると、それに対応する濃度は、1.6E+04 Bq/m3となります。陽電子のエネルギーが変わると、この誘導濃度は変化しますが、現行の濃度限度よりも大きな値であると考えられます.

短寿命で気体状アルファ核種の場合にはどのような考慮が必要ですか?

 
外部被ばくには寄与しないので内部被ばくが重要ではないでしょうか。
もっともα線が外部被ばくで影響を与えうるかもしれないとする研究が存在します(α線が外部被ばくは論理的ではないとも考えられますが)。

部屋の左側に2MeVの陽電子を放出する核種を均等に配置してみました。

飛跡

陽電子

陽電子の飛跡

光子

光子の飛跡

エネルギー付与

空気のみ

光子

光子のエネルギー付与

全て

陽電子のエネルギー付与

人体も配置

光子

光子のエネルギー付与

全て

陽電子のエネルギー付与

飛跡

光子

光子のエネルギー付与

陽電子

陽電子のエネルギー付与

課題が示されている例

資料 PET 検査件数に関するアンケート調査報告 第15 報

2.6 15O- 酸素ガスを用いた PET 検査件数

15O- 酸素ガスを用いた PET 検査件数についての回答結果を表 15 に示す。
15O- 酸素ガスを用いて保険診療を実施している施設は 233 施設中 6 施設〔226施設中 8 施設〕であり,今回の調査で 1 か月間に実施した 31 件のうち,保険診療は 29 件〔251 件中245 件〕,自由診療は 0 件〔0 件〕,研究等は 2 件〔6件〕であった。15O- 酸素ガスを用いた PET 検査を実施している施設数は,8 施設から 6 施設と減少し,回答のあった保険診療の件数は大きく減少した。