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No. 58 核医学治療での公衆の放射線防護

I-131を投与された患者の体内残存量が0.5GBqを超えていない場合でも、2,3日の入院で家族の線量は大幅に減らせるので、行政機関は、患者の入院治療を推奨すべきではないでしょうか?

記事作成日:2011/01/15 最終更新日: 2024/03/17

トレードオフの問題。総合的に考える必要があります。

治療病室が確保できない

甲状腺疾患に対するI-131を用いた治療は有益ですが、わが国では放射線治療病床数が 減少しており、患者さんがその恩恵を受けられない憂慮すべき状況です。

わが国の放射線管理の特徴

わが国で放射線治療病床数が維持できないのは放射線管理コストなどによります。
わが国の排水基準などは国際標準を用いていながら、医療機関の放射線管理施設が世界標準から乖離しているのです。
欧州での取り組み例:MEDIWASTE - management of liquid radioactive Effluents arising from medical establishments in EU member states and candidate countries

トレードオフ

この状況でI-131を用いた放射線治療をどの程度認めるかどうかは、患者さんが受ける恩恵と公衆が受ける放射線リスクのトレードオフになります。

患者さんに投与した放射性同位体に由来した放射線をもっとも曝露しうる非放射線業務従事者は、医療機関の管理区域外の清掃労働者、医療機関内で患者さんが集まる場所で従事する労働者、タクシーなど交通関係労働者、患者さんが宿泊する場合の宿泊施設の労働者、患者さんの排泄物が集まる下水処理場の労働者、患者さん由来の廃棄物が集積する廃棄物処理施設の労働者、透析など非放射線部門の労働者、火葬場の労働者などでしょう。

今回の国の通知(放射性医薬品を投与された患者の退出について)では、これらの方の曝露によるリスクが受忍可能なレベルになるように求めた上で放射性同位体を投与された患者の管理区域からの退出を認めたもので、社会的にも大きな意義があると考えられます。

より曝露を減らすための手段を講じるかどうかは、そのコストにもよるでしょう。

出典

平成22年度「医療放射線管理講習会」(主催:医療放射線防護連絡協議会)

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移動型管理区域「MCAT」の開発について.2023.02.01 第554号
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