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No.167 放射線診療従事者が受ける線量が線量限度を超えたとき

放射線診療従事者が受ける線量が線量限度を超えたときには、どのような対応が必要ですか?

記事作成日:2011/04/14 最終更新日: 2023/11/15

医療法

罰則

医療法施行令

第五条 医療法施行規則(昭和二十三年厚生省令第五十号)第十六条又は第十七条に掲げる基準に違反した者は、十万円以下の罰金に処する。

都道府県知事等の権限規定

構造設備基準への違反が原因である場合には、施設の使用制限、改善命令(第23条の2)
管理者の変更命令(第28条)
施設改善命令(第24条第一項)に違反したときは、開設許可取消/施設閉鎖命令(第29条第1項第3号)

電離則

第44条(診察等)

事業主は、放射線業務従事者が受ける線量が線量限度を超えたときはその旨を所轄労働基準監督署長に報告しなければなりません。
報告を受けた労働基準監督署長は、問題があった場合に指導すると思われます。
この報告は厚生労働大臣などへの報告義務はないため、集計はなされていません。

報告義務が課されていない場合

直接、労働者を対象としてない場合

罰則に関する議論例

第177回国会 参議院 厚生労働委員会 第8号 平成23年5月10日

事例

「診断目的の撮影作業に従事した際の被ばくが想定された」としている例

放射線障害防止法対象施設における近年の事故事例
その推論への疑義が提示されている例
この推論の妥当性は線量の記録(や従事した作業の再現)、個人線量への光子の入射方向(分布)や個人線量計に入射した光子のエネルギー分布などでも検証できるでしょう。

心カテを担当している医師の水晶体の線量限度が150 mSvを超えた。

水晶体の線量を頚部の線量計から推定しているとすると、心カテ時の姿勢によっては水晶体の線量計を過小評価していることが考えられるでしょう。
リングバッジで手指の皮膚の基底細胞吸収線量を推計する場合にも同様の問題が発生します。

装置の状態を調べると4台のIVR機器の中で当該医師の使っている機器は特に出力が高い状態であることが判明した。

薬事法(現薬機法)、医療法で装置の透視装置の出力には制限が与えられています。
それを超える装置は使用できません。

救命のために線量限度を超えることに備えるとは?

NCRP Report 168では勧告22で、起こりえる事態だとして予め備えておくことを推奨しています。

放射線障害防止法(現RI規制法)

使用施設で線量限度を超えた場合の報告義務

使用施設では線量限度を超えた場合には報告の義務があります(放射線障害防止法規則第39条第8号)。
治療用電子加速器以外でも告示第74号24条では1 MeV未満のX線も含むとされています。

使用施設で計画外被ばくがあった場合の報告義務
計画外の被ばくでは、実効線量が5 mSvを超えた場合などにも報告の義務があります(放射線障害防止法規則第39条第7号)。

1MeV未満のエックス線も規制対象となる場合

健康診断

第二十二条 法第二十三条第一項の規定による健康診断は、次の各号に定めるところによる。
五 問診は、次の事項について行うこと。
イ 放射線(一メガ電子ボルト未満のエネルギーを有する電子線及びエックス線を含む。次のロ及び第二十三条第一号において同じ。)の被ばく歴の有無

放射線障害を受けた者又は受けたおそれのある者に対する措置

第二十三条 許可届出使用者、表示付認証機器使用者、届出販売業者、届出賃貸業者及び許可廃棄業者が法第二十四条の規定により講じなければならない措置は、次の各号に定めるところによる。
一 放射線業務従事者が放射線障害を受け、又は受けたおそれのある場合には、放射線障害又は放射線障害を受けたおそれの程度に応じ、管理区域への立入時間の短縮、立入りの禁止、放射線に被ばくするおそれの少ない業務への配置転換等の措置を講じ、必要な保健指導を行うこと。

放射線を放出する同位元素の数量等を定める件

平成十二年十月二十三日号外 科学技術庁告示第五号

(診療上の被ばくの除外等)
第二十四条 第四条から第七条まで、第十条、第十四条、第十四条の二、第十七条から第二十条まで及び第二十二条の規定については、線量、実効線量又は等価線量を算定する場合には、一メガ電子ボルト未満のエネルギーを有する電子線及びエックス線による被ばくを含め、かつ、診療を受けるための被ばく及び自然放射線による被ばくを除くものとし、空気中又は水中の放射性同位元素の濃度を算定する場合には、空気中又は水中に自然に含まれている放射性同位元素を除いて算出するものとする。

INES2

Radiation exposure of a hospital employee beyond the statuary annual dose limit(Event Date: 08 December 2020)
Radiation exposure of a hospital employee beyond the statuary annual dose limit(Event Date: 31 January 2020)
Lens of the eye overexposure to interventionalist radiologist(Event Date: 31 December 2019)

放射線診療業務への復帰を目指して

佐藤 隆弘.整形外科医が医療被曝により皮膚癌に罹患した経験 ―労災認定から手術,職場復帰まで―

実際には超えていなかったと考えられる例

事故対応