Z4501による試験法は安全側になりますか?
実際に診療に用いるより薄いフィルターであっても、管電圧がより高い場合には非安全側になり得ることが知られています。
熊谷 道朝、新谷 光夫、倉西 誠.X線防護前掛のX線遮へい性能の測定評価
井ノ上 信一、松本 光弘、松澤 利絵.X線防護衣の鉛当量試験における最適線質の検討
診断用X線防護用具JIS Z 4831-2000で試験に用いる管電圧は100kV,第一半価層が3.7mmAlの線質と規定されているそうです。
管電圧が150kV未満のX線防護に用いられる防護物の鉛当量試験は,管電圧が100kV,総ろ過が 0.25mmCu以上のX線を用いる。
150kV未満の装置を使う場合に、試験法が100kVと規定されていることの経緯を教えて頂けないでしょうか?(以下の情報を頂きました。ありがとうございます。)
a)管電圧が150 kV未満のX線防護に用いられる防護用品類の試験は、管電圧100 kVとし、総ろ過が0.25 mm Cu以上の線質で行う。
b)管電圧が150 kV未満のX線防護に用いられる防護用品類の試験は、試験する防護物のうち、日本工業規格があるものについては、それに規定された管電圧によって行う。日本工業規格にないものについての管電圧および総ろ過については表1による。
管電圧 kV 150 200 250 300 400
総ろ過 mm 0.7 1.2 1.8 2.5 3.5
c) 試験管電圧のリプル百分率は、4 %以下とする。
JIS Z4501:2011(X線防護用品類の鉛当量試験方法)の基礎となっています。
規定されている線質は、管電圧30,50,80,100,150,200,250,300,400kVの9条件で得られたものとなっています。150kV未満の管電圧のうち、最大が100kVであるために、150kV未満の場合は100kVで試験すればよい、としたと思われます。
なお、JIS Z4501:2011はJIS T61331-1(診断用X線防護用具-第1部:材料の減弱特性の決定)に置き換わる予定であるそうです。
IEC規格は、世界で用いられる規格であるため、ヘルスケアレベルが様々な国であっても利用できるように最低限の考え方を示している側面があるそうです(日常診療では100kV以上の装置が使われていても、防護類を評価する標準場で100kV超の装置が利用困難?)。
日本で、放射線防護用品を製造している企業はJISにしたがって製造をしていますが、100 kV以上の値まで防護能力を測定して評価しており、非安全側とならないように配慮しているそうです。
社会的資源の制約のために、高い管電圧での確認ができないとすると、防護用品の元素組成別などに、100kVでの評価結果を使用する管電圧やフィルタなどに応じて換算する仕組みがあってもよいのかもしれません。もっとも、求める不確かさを考えると優先順位は乏しいのかもしれません。
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実際の診療の場では、
も影響を与えますので、ビームのエネルギー分布、幾何学的条件、部屋のサイズなども影響を与えるでしょう。
RI法では、規制庁がこのような事業を展開しています。