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No.96 直接人体に照射しない診療用放射線機器

直接人体に照射しない放射線機器でも医療で用いるものは、医療法に基づく手続きが必要ですか?

記事作成日:2011/01/29 最終更新日: 2023/09/05

医療法の基本的な考え方

医療法での手続きが必要となるX線装置は「診療の用に供する」ものです。
(医療機器かどうかや人に照射するかどうかの観点での記述は見当たらない)
診療用の線源は医療法に基づく手続きが必要と考えられます。
ただし、重粒子線治療装置では治療室でのビームの取り出しからを医療法の規制対象としています。

直接人体に照射しない放射線機器で医療法による手続きが必要なもの

エックス線装置

輸血用血液照射エックス線装置

標本検査用X線装置

放射性同位元素装備診療機器

ガスクロマトグラフ用ECD

輸血用血液照射装置

薬事法(現薬機法)の基本的な考え方

医療機器は「人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防」を行う機器

その他の考え方

大分県の考え方

【事例 19】マンモトームで採取した検体のみを撮影する X 線装置の届出をしていない場合

東京都の考え方

標本の検査として用いることから医療機器として扱わず医療機関で診療用に用いられている事例がないと考えられることから今のところは(2007年当時)医療法の規制対象としないが状況に応じて見直す。

他の自治体の考え方の例

医療機関とも協議し、医療法の規制対象とする。

医療法の規制対象とした場合の影響(電離則との違い)

・開設許可事項の変更の手続きが必要(医療機関の種類や解釈の違いがある。労働安全衛生法上は計画の届出が必要)
・使用前検査(不要な場合がある。また、通知上は自主検査とできる)

輸血用血液照射エックス線装置と同じ扱いをした場合

・設置場所をエックス線診療室とする必要がある(操作する場所は室内でOKだが被ばく低減策を講じることが必要)
・室の出入りの制御が必要(鍵などが必要)
・このエックス室全体を管理区域とすることが必要
・使用中はその表示が必要
・取扱は放射線診療従事者等に限られる
・空間線量の確認が必要(電離則も同様)

線源を用いた輸血用血液照射装置と同じ扱いをした場合

No. 318 輸血用血液照射装置の管理区域

骨塩定量装置と同じ扱いをした場合

No.97 輸血用血液照射装置の装置表面の線量率基準(骨塩定量装置も含む)

電離則

・20 μSv/hを超えないよう遮へいされた装置では放射線装置設置室に設置する必要はない(第15条)。
自己遮蔽型で管理区域を装置表面とできる場合には、そこに従事者が立ち入らないので、労働安全衛生法上は、X線作業主任者も不要とできると考えられます。

ただし、漏えい線量が想定内であることの確認は必要です。

ある考え方

「定格出力の管電圧が十キロボルト以上であり、かつその有するエネルギーが1メガ電子ボルト未満のものに限る」とあり、かつ「MX-20 手術生検標本X線撮影装置」及び「DX-50 手術生検標本X線査定装置」は管電圧が10kV~35kVであるので、医療法上の届出が必要。
また、上記に規定からも30条のエックス線装置の防護が必要かと思います。
ただし、診断、治療には供さないと考えられる。
薬事法(現薬機法)上では、医療機器は、人又は動物の診断、治療、予防に用いるものであるので、医療機器には該当しない。
また、医療機器は、人体に対するリスクについてGHTFルールに基づいて分類されており、血液照射装置はGHTFルールのクラス分類では「3」に分類されている。
分類が「3」であるとは、「体内への注入を意図した血液、その他体液もしくは他の液体について、その生物学的または化学的組成を変化させることを目的としてすべての非侵襲型機器はクラスⅢである」に基づいている。
従って、血液照射装置は医療機器である。

海外の例

韓国政府の考え方

当該製品が手術室で使用するもので、手術の正確性などの可否を確認(または診断)するために、人体から分離して組織を撮影するX線撮影装置ならば”医療機器品目及び品目別等級に関する規定”により医療用X線装置(A11000、3等級)に該当する。
なお、医療用X線装置(A11000)は中分類である。小分類に合う分類がない場合は中分類に分類する。

米国政府の考え方

Stationary x-ray systemとして扱っているようです。

同一室内での使用例を示す情報

Faxitron BioVision

透視下での生検を行うためにX線診療室内に設置する場合に同時曝射防止装置が必要かどうか?

  • 考え方1
  • 医療法に基づき手続きする場合には、現行の通知の考え方を尊重すべきではないか。

  • 考え方2
  • 趣旨から考えると、自己遮蔽装置では同時曝射防止装置を設ける意義が乏しいのではないか。

    装置の例

    位相型高感度X線医用診断機器

    1万分の1度ほどのX線の屈折を利用した革新的X線撮影装置を開発-乳がんやリウマチの早期診断を可能に-

    マイクロフォーカスX線CT

    岡田 康男, 大窪 泰弘, 柬理 頼亮, 片桐 正隆, 長谷川 仁, 森出 美智子, 口腔顎顔面領域手術摘出組織のマイクロフォーカスX線CT画像と病理組織学的所見についての検討, Journal of Hard Tissue Biology, 2009, 18 巻, 4 号, p. 199-210, 公開日 2010/03/23, Online ISSN 1880-828X, Print ISSN 1341-7649

    蛍光X線分析

    丹羽 英之 髙倉  晃 楠原政一郎 原田 真也 片桐 真人 益田 典幸.経気管支肺生検検体の蛍光X線分析が診断に有用であった超硬合金肺の1例

    その他

    加速器を用いた試料の分析?

    クラス分類

    ・クラス分類は患者へのリスクを考えると1でよいと考えられるが、X線管を用いており自己遮蔽であっても従事者への防護が求められることから2ないし3が適切ではないか(人体へのリスクとして患者のみを考える場合は一般医療機器(クラスI)とできるのかもしれない(既にクラス分類Ⅰで承認されているそうです既にクラスⅠで分類されているそうです。))。

    医療用エックス線装置基準への適用

    ・医療機器としての類別は器09 医療用エックス線装置及び医療用エックス線装置用エックス線管であり、中分類:その他の医用検体検査装置に該当するのではないか。
    ・しかし、この装置はIECでも規格が設けられておらず、医用X線装置通則の改正などを通じて、規格作りも進め、医療用エックス線装置基準も改正する必要があるのではないか。

    その他の課題

    ・保険診療でも利用可能になることや装置の取扱者の資格要件も課題となるのではないか。