危機時における情報発信
危機時における情報発信の在り方を考える
新型インフルエンザのクライシスコミュニケーションからの教訓
どちらのメッセージが受け入れやすいでしょうか?
小さいリスクであることを伝えるときに、どちらのメッセージがよいでしょうか?
・ことさら安心を強調し過度に心配しないでよいと伝える。
・科学的事実を淡々と述べる。
検討結果を伝えるときに、どちらのメッセージよいでしょうか?
・安心してもらうために希望的観測も交えて述べる。
・わかっている範囲に限定して述べる。
基本的な考え方の例
様々な考え方があります。
客観的な事実を提示
十分に説明
疑問が持たれそうなところは事前に説明
過剰な防御反応を抑制する
価値観の押しつけは避ける
信頼関係が得られていないと反発を受けかねない。
独善的なメッセージ発信を避ける(あなたの信念を伝えることが相手の幸せにつながると確信していても)。
恣意性を避けるための工夫
「わずかな」などの形容詞も明示した定義なしに使用するのはできれば避けた方がよい。
どうすることが推奨されるのかを明確に伝える
- 何かの基準値や参考レベルなどと比べてどの程度か?
- その基準値や参考レベルの意味合いは(どのようにして誘導されたか)?
- 何らかの行動を取ることが推奨されるのかどうか?
- 特別な対応が必要ないとすると、その理由は何か?
リスクの大小以外の情報も伝える
単にリスクが大きいか小さいかだけではなく、リスク管理がどうなされているのかを伝える。
相手を信じる
わかりやすく伝える必要があるが、相手が理性的な存在であると信じて(=非理性的になっていると決めつけない)メッセージ発信する。
把握可能感を高める
どのような情報が得られているか。
その情報がどうやれば得られるか。
その情報の質はどのように担保されているか。
単に基準値と比較するだけなく、受け手が気になるところに答える。
反応効力感を高める
○○な状況だが、□□を行えば、△△な危険を回避できる
適切な問題分析に基づくメッセージ
メッセージがうまく伝わらない場合には、何に問題があるのかを正しく分析し、対策を考える必要がある。
ただし、コミュニケーションで何かを決めていこうという思想は、相手の考え方を操作することが目的ではなく、責任を共有しようとする基本的な考え方をバックボーンにしている。
出典
蝦名玲子.恐怖をコントロールする情報提供のポイントとは?
文部科学省.福島県内で一定の放射線量が計測された学校等に通う児童生徒等の日常生活等に関する専門家からの第1回ヒアリングの配布資料
衞藤隆氏提出資料2(pdf file, 1.4 MB)
衞藤隆氏提出資料3(pdf file, 1.6 MB)
簡潔にまとめられた資料例
文部科学省.福島県内で一定の放射線量が計測された学校等に通う児童生徒等の日常生活等に関する専門家からの第2回ヒアリングの配布資料
渡邊明氏提出資料 (PDF:1275KB)
神田玲子氏提出資料 (PDF:637KB)
厚生労働科学研究
厚生労働科学研究費補助金(平成21~23年度) 「健康危機管理従事者のリスク/クライシス・コミュニケーションスキル向上のための 研修プログラムの開発と評価」班 作成ガイド
厚生労働科学研究費補助金(平成21~23年度)
「健康危機管理従事者のリスク/クライシス・コミュニケーションスキル向上のための研修プログラムの開発と評価」班
研究代表者 吉川 肇子(慶應義塾大学)
リスク/クライシス・コミュニケーションスキル向上のために2種類のガイド(パンフレット)を作成しました。
1 健康危機管理時におけるクライシス・コミュニケーションのクイックガイド (改訂版) 8 p.
2 健康危機管理者のためのコミュニケーション はじめの一歩 8 p.
添付ファイルからダウンロードしてご利用ください。
米国政府の取り組み
Crisis and Emergency Risk Communication (Manual): Second edition
Communicating in a Crisis: Risk CommunicationGuidelines for Public Officials
メディアとの作業には、VI. UNDERSTANDING AND WORKING WITH THE MEDIA が参考になるでしょう(2019年にSubstance Abuse and Mental Health Services Administrationにより改訂されています)。
FEMA
Communicating During and After a Nuclear Power Plant Incident