小児X線CT線量低減プログラムを導入する意義はありますか?

インパクト推計するとよいでしょう。

高線量群で1件の線量を1 mSv低減(8→7 mSv)できると仮定します。
プログラムによりリスクは1.3→1.1/千人(小児のリスク係数0.16/Svの場合)に低減されます。
低減される集団線量は3割の症例で1 mSv/件低減と仮定すると340人・Svです。

年間の検査件数を114万件/年、 平均実効線量5.8 mSv (西澤,2004)とすると、
過剰死亡の低減期待数は 340人・Sv×0.16/Sv=55人と推計されます(リスク係数0.05/Svの場合17人)。

正当化されうる社会投資を計算すると
寿命延長1年のためにかけられるコスト(WTP)が
平均600万円、中央値100万円、割引率2%(大日,2003)
であることから、54億円(平均値)、9億円(中央値)と推定されます(リスク係数:0.05/Sv:17億円(平均値) 、3億円(中央値))。
この結果からは(この条件での推定という限定がある)、これより高額の投資は正当ではない(=規制影響分析では、この問題にかけられるコストはそれより小さくすべき)と判断されます。

Impact of dose reduction on pediatric x-ray CT in Japan
1 mSv of reduction for high dose group
8→7 mSv means 1.3→1.1/1,000 of lifetime risk (0.16/Sv)
Collective dose reduction
340 man-Sv/y if high dose group was 1/3 of all examinations
Million examination/year, mean effective dose:5.8 mSv (Nishizawa,2004)
Reduction of cancer deaths: 340 man-Sv×0.16/Sv=55
WTP for one year extension of life
Mean: $60,000, median: $10,000, discount rate: 2%(Ohkusa,2003)
Saving cost: Mean: $ 54 million, median $ 9 million

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記事作成日:2010/03/04 最終更新日: 2017/07/26