壁の表層部はクリアランスレベルを超えます
設置してから廃止するまでの使用期間を考慮して、生成する放射化物の核種濃度(Bq/g)を見積もると、サイクロトロン電磁石表層、使用室の床、壁、天井部のコンクリートの表層部では、IAEA RS-G-1.7 Application of the Concepts of Exclusion, Exemption and Clearanceで定められた放射能濃度を超える可能性があります。
出典
放射線障害防止法へのクリアランス制度の導入に向けた技術的検討結果について(第2次中間報告書)
Yamaguchi I, Kimura K, Fujibuchi T, Takahashi Y, Saito K and Otake H. Radiation safety management of residual long-lived radioactivity distributed in an inner concrete wall of a medical cyclotron room. Radiation Protection Dosimetry 146,167-169. 2011
しかし、全体としてはクリアランスレベルを超えないことから
放射線安全上の問題がない程度だと考えられます
しかし、壁全体の平均濃度は、クリアランスレベルを超えません。
また、ビームライン延長壁と床の濃度の高い箇所を30 cmはつると、ΣD/Cが0.5程度に低減されると考えられます。
また、自己遮蔽体を用いている場合には遮へい方向の壁の放射化は極めて低いレベルになると考えられます。
このような低レベルの放射化物をどう扱うかは関係者で合意を形成する必要があります。
Q
Is the inner concrete of an medical compact cyclotron activated severely?
A
“Ask the Experts” , Health Physics Society
Q1927 – Cyclotron component activation
Q7427 – Concrete activation from Linac operation
解体例
国立精神・神経研究センター
医療用小型サイクロトロン解体報告(pdf file, 6.6 MB)
ホウ素を含む水を遮蔽体として用いる場合
研究例
東北大学大学院
業務としての表彼
サイクロトロン室(コンクリート躯体)の放射化評価(病院及び研究所)
医療現場への意向調査例
事前の説明
PET 施設の Q&A
IAEA
CYCLOTRON PRODUCED RADIONUCLIDES: PRINCIPLES AND PRACTICE
規制整備の経緯
日本核医学技術学会
サイクロトロンの放射化物に関する具体的な管理方策をまとめた報告書が日本放射線技術学会のHPに掲載されました
原子力施設での評価例
サイクロトロンのメンテナンス時の作業者の被ばく事例
解体廃棄物の処理・処分の困難さ
令和4年度原子力規制委員会 第28回会議議事録令和4年8月17日(水)
○更田委員長
…先ほど発言すべきことだったかもしれないのですけれども、先ほど川崎事務所の平田所長から報告いただいた際に少し議論しましたけれども、ああいった解体廃棄物の処分の見通しがない、ずっと保管していると。
規制当局としては、安全保管を確認するというのが役割だから、規制当局の役割ではないと言われれば、それまでかもしれないけれども、でも、好ましい状態ではないことは分かっているので、一体どこが考えるのかという呼びかけですけれどもね。私は格好の原子力委員会ネタだと思うのですけれども、解体は進んでいるけれども、もう停滞した状態で、デコミの廃棄物をどう考えるか。もちろん、短期的な議論ではないですけれども。
○田中委員
先ほどの三つの施設において、廃棄物を持っていくときが、いつ持っていけるのか分からない状態で管理だけをしているというのもきっと大変ですし、また、管理状態が悪いと、もしかして、それが環境に放出するとすると、人と環境に寄与しますから、ちょっと幅広い観点からしっかりとしなければいけない。そういう意味では、役割については、更田委員長が言われるように、原子力委員会がしっかりとこの辺の対応を関係する省庁に指示することが大事かなと思います。
○更田委員長 他の政府内の組織に対してこのように言うのは、ちょっと異例かもしれないけれども、ある種の懸念表明だと受け止めていただければと思いますし、また、短期的に解決が難しいということは重々承知した上での話ですので、ただ、やはりこういった形で停滞しているということに関しては、懸念を表明しておきたいと思います。