欧州委員会から欧州議会及び欧州閣僚理事会への電離放射線の医学利用と核医学への放射性同位体供給のセキュリテイに関する連絡文書

press release

Commission addresses key issues in nuclear medicine, radiology and radiotherapy

欧州委員会は核医学、放射線診断、放射線治療の重要な課題に取り組む

委員会は、本日(2010年8月6日)、欧州議会及び欧州閣僚理事会への電離放射線の医学利用に関する連絡文書を採択した。この文書は、核医学における放射性医薬品供給不足という緊急課題の解決への道を提言するものである。また、この文書は、患者と医療従事者の放射線防護を推進し、X線CTの技術的進歩がなされている中で人々が受ける線量が増えることを防止し、放射線治療での事故や意図に反した照射を減らすための重要なポイントを明確にする。この文書は、エネルギー担当委員である Gunther Oetingerと、保健・消費者政策担当委員John Dalliから共同で提案された。

世界では年間およそ40億件のエックス検査がなされています。
ヨーロッパでは毎年9百万人の患者が放射性同位体を用いた医療サービスを受けています。
人々の健康に役立つためにこれらの技術を利用可能としておくことは欧州委員会の責任です。
今日、最も多く使われている診断用放射性同位体であるテクネチウム99は供給不足に陥っています。何故なら、製造用の原子炉の数が少なく不安定であるからです。
欧州委員会の全般的な原子力エネルギー施策において、より多くの研究炉に放射性医薬品の製造に寄与することにインセンテイブを与えることが極めて重要であり、長期的な視点では放射性医薬品の製造のために新しい研究炉を建設することが求められます。
欧州委員会は、欧州連合内での電離放射線の医学利用の長期展望を提案し、必要な行動や資源確保、責任の分担のための議論を推進します。

提言されている活動

・既存の規制の枠組みを強化します。
現行の規制 (Directive 97/43/Euratom) を見直し、規制側の監督機能を強化します。この規制見直しは2011に予定されている放射線防護規制の統合の一部分になります。
・安全文化の意識を高めます。
医療の専門職は適切な教育を受け、適切な診療を行うために定期的なアップデートを受ける必要があります。とりわけ、適切な医療ケアと放射線防護を提供する責任にセンシテイブにさせなければなりません。関心を高めることは患者や一般の人々に対しても必要です。
・研究により放射線防護と放射性核種の持続可能な供給と利用を確保します
・放射性核種の持続可能な供給を確実にするための金融機構
・政策の融合
電離放射線の医学利用は放射線防護だけではなく、公衆衛生、研究、貿易など異なった政策をうまく組み合わせることが求められます。
・国際協力
世界保健機関 (WHO)は、この問題に精力的に取り組んでおり、国際原子力機関(IAEA)は重要なプログラムや情報ツールを作り上げました。欧州委員会は協力関係を深める全ての取り組みを支援するでしょう。

Council Directive 97/43/Euratom of 30 June 1997 on health protection of individuals against the dangers of ionizing radiation in relation to medical exposure, and repealing Directive 84/466/Euratom
Radiation Protection series publications

安全文化

古賀佑彦.放射線治療における安全文化
『ルールは盲目的に従う(blind compliance) ものではなく,常に見直し変えていく』

記事作成日:2010/08/13 最終更新日: 2019/05/13