核実験により放射線に曝露した方への検診のあり方に関する米国政府の考え方です
Making Choices: Screening for Thyroid Disease
Introduction
誰のための情報か
米国に1951 から 1963年に居住していた。
ネバダでの核兵器テストによるI-131に曝露したことが甲状腺に影響を与えたのではないかと心配している。
甲状腺スクリーニングのオプションを考えたい。
About the Thyroid
甲状腺や甲状腺疾患の知識がわかりやすくまとめられています。
What was your dose of I-131
あなたが受けたI-131による線量の概略を次のチャートで推計することができます。あなたが生まれた年が左の列のどこにあるかを見つけて下さい。次に、核実験が行われていた時代 (1951 から 1963年の間)に、あなたが飲んだ牛乳の種類と量に該当する列を探して下さい。そして、推計されたあなたの線量を読み取って下さい。
I-131によるあなたの線量の大きさは?
出生年 | 牛乳の種類と量による吸収線量[mGy] | ||||
No milk | Processed milk | Farm cow | Farm goat | ||
0 cups/day | 1-3 cups/day | 4+ cups/day | Any amount | Any amount | |
Before 1933 | Less than 10 | 20 | 40 | 60 | 300 |
1933-1937 | Less than 10 | 30 | 60 | 90 | 450 |
1938-1942 | Less than 10 | 50 | 100 | 150 | 750 |
1943-1947 | Less than 10 | 70 | 140 | 210 | 1,050 |
1948-1957 | Less than 10 | 100 | 200 | 300 | 1,500 |
1958-1963 | Less than 10 | 10 | 20 | 30 | 150 |
After 1963 | Less than 10 | Less than 10 | Less than 10 | Less than 10 | Less than 10 |
例:もし、あなたが、1948から1957年の間に生まれ、店から購入した牛乳を一日1-3カップ飲んだ場合は、I-131によるあなたの推定される線量は、約100 mGyになります。
例:もし、あなたが1958から1962年の間に生まれ店から購入した牛乳を一日4カップ以上飲んだ場合は、I-131によるあなたの推定される線量は、約20 mGyになります。
Screening for Thyroid Disease
情報がフェアに提供されています。
What are the pros of thyroid cancer screening?
What are the cons of thyroid cancer screening?
Worksheet
ステップバイステップで判断分析で考えることができます。
Step 1: What is your estimated dose of I-131 from the Nevada tests?
Step 2: What is your likely risk of thyroid cancer?
Step 3: How important is each of the pros and cons of screening to you?
Step 4: Which of the two screening methods is best for you?
Step 5: What questions do you have before deciding?
Step 6: Discuss your decision-making with your doctor.
核実験でのI-131の曝露による甲状腺がんのリスクを調べた研究論文
Thyroid Cancer Rates and 131I Doses From Nevada Atmospheric Nuclear Bomb Tests
Background
全米の甲状腺がんの死亡データと選択された群の甲状腺がん発症データを用いて、1950年代のネバダでの核実験によるI-131の曝露が疾患と関係があるか調べた。
Methods
1957–1994年の間の4602の甲状腺がん死亡例と1973–1994年の間の12 657の甲状腺がん発症例の分析が行われた。
甲状腺がん死亡は、National Center for Health Statistics, Hyattsville, MDによる米国内の3053郡別のデータを用いた。
甲状腺がん罹患は、米国内の194の郡のデータを、Surveillance, Epidemiology, and End Results (SEER) tumor registries (Atlanta, Connecticut, Detroit, Iowa, New Mexico, San Francisco, Seattle, and Utah)により得た。
曝露年齢を考慮した上で、年齢、年次、性、群別に1Gyあたりの過剰相対危険(ERR)が推計された。
Results
累積線量が大きいほどERRが小さくなる傾向にあったが、統計学的に有意ではなかった(=偶然の変動を観測していることが否定できない)。
1歳未満に線量を受けた群では、死亡率 (ERR per Gy = 10.6; 95% confidence interval [CI] = −1.1 to 29) や罹患率 (ERR per Gy = 2.4; 95% CI = −0.5 to 5.6)の双方で線量との関係が示唆された。
より高い年齢群では線量との間に関連は認められなかった。
死亡率では、1950–1959に出生したコフォートでは、ERRが(12.0 (95% CI = 2.8 to 31) per Gy)増加した。
Conclusions
大気圏核実験によるI-131への曝露による甲状腺がんのリスクは、累積線量や1–15歳での線量とは関係が見られなかったが、1歳未満に曝露した群と1950–1959年に出生したコフォートでは、線量との関係が示唆された。
1–15歳で線量を受けた群でリスクの増加が確認できなかったことは、外部被ばくを受けた小児の研究結果と一致しない。
この不一致は、生態学的研究(=個人個人の曝露量を調べた調査ではない)であり、人口流入がある集団であったがゆえの避けがたい限界やバイアスに由来するかもしれない。
これらの問題は、曝露によるリスクの定量的な推計を決定的に困難にしている。しかしながら、このような限界はあるものの、この研究ではI-131の明かな影響がおそらく観察されたものと思われる。
出典
データ解析
この研究では差を見逃さないように、線量や年齢データを階級別に集計して、解析を細かく繰り返しています。
差を見逃さないように解析を繰り返すこととタイプ1エラーはトレードオフの関係にあります。
甲状腺がんスクリーニング
米国では 1974年以降に様々な甲状腺がんスクリーニングが開始されています。
このため、スクリーニングがエンドポイント測定に与えた影響に関しても議論されています。
教育用サイト
The Washington Nuclear Museum and Educational Center
米国での一般の方を対象にした甲状腺がん検診のあり方検討
Effectiveness of Early Detection
The benefits of early detection of thyroid cancer in the general population are not well defined.
甲状腺がんの疫学に関する関連情報
甲状腺超音波スクリーニング
福島県立医大による説明 福島県外3県における甲状腺有所見率調査結果について(お知らせ) 神経芽細胞腫マススクリーニング検査のあり方に関する検討会に参加して Ultrasonography survey and thyroid cancer in the Fukushima Prefecture Cancer Statistics in Korea: Incidence, Mortality, Survival, and Prevalence in 2011 東京電力作業員を対象とする甲状腺調査計画(pdf, 0.9 MB) Radiation Exposure Compensation Act環境省
青森県
似たような構造の問題に関する葛藤例
スクリーニング効果の検討
韓国での統計データ
Prediction of Cancer Incidence and Mortality in Korea, 2014甲状腺超音波検査の研究計画例
補償
The Radiation Exposure Compensation Program: Issues Related to Sunset