ICRP Publication 106に詳細なデータが掲載されています。
臨床で使われている各放射性医薬品の単位投与放射能あたりの1歳児、5歳児、10歳児、15歳児、成人での各臓器の平均吸収線量や実効線量が示されています。
薬物動態の個体差を考慮する場合はソフトウエア(例:OLINDA)を用いて推計することが出来ます。
臨床試験に向けて薬物動態を考慮してOLINDAで各臓器の線量を推計した例
線量推計の原理
線源条件
線量を推計するには線源条件を決める必要があります。
ヒトに投与されたRI(Radioisope)は、コンパートメントモデル(薬物動態での解析法です)に従い、各臓器に分布し代謝されると考えられます。
コンパートメントモデルの変数は、RIの経時的な測定値があるとよりよく設定することが出来ます。
このようにして体内のRIの分布を時間を追って推定します。
各臓器が受ける線量
それぞれの臓器の線源から各臓器が受ける線量は、幾何学的な条件で決定されます。
最近では高度な人体モデルを用いて膀胱の容量の変化を考慮した線量推計もなされています。
膀胱が受ける線量への配慮例
日本核医学会.小児核医学検査適正施行のコンセンサスガイドライン
特殊な状況
投与した放射性医薬品が血管外に漏れた場合や腫瘍の発生部位が放射線感受性が高い臓器に近くにありそこにRIが集積した場合などは、個別に線量が推計されています。
PET検査での線量が示されている例
過剰投与事例があったとされる事象に対する関係学会、団体の声明
トレードオフの構造にあります(画像診断一般に共通しうる)。
30 分から 1 時間の検査の中で小児が動いてしまうと診断に十分な画像が撮影できず、短時間で失敗無く良い画像を得るため、投与量を増やした
日本核医学会
日本核医学技術学会
放射性医薬品の過剰投与事故について(pdf file, 81kB)
日本診療放射線技師会
ツールが提供されている例
RADAR – the RAdiation Dose Assessment Resource
VOXEL & ORGAN DOSIMETRY Personalized Radionuclide Therapy with Voxel Dosimetry™ & Olinda / EXM®2.0
OLINDA/EXM Radiation Dose Assessment Software Application
解説記事
松本 圭一, 清水 敬二, 7.核医学領域での計測, 日本放射線技術学会雑誌, 2012, 68 巻, 3 号, p. 333-342
Choonsik Lee. A Review of Organ Dose Calculation Methods and Tools for Patients Undergoing Diagnostic Nuclear Medicine Procedures. J. Radiat. Prot. Res. 2024;49 (1): 1-18.