Positron Emission Mammography (PEM) の放射線安全

手技の特徴を考えて防護しよう。

今度PEMが入るみたいだけど、PEMって何だ?

乳房を対象に行う陽電子断層撮影じゃ。
検出器を臓器に近づけることで高い空間分解能が得られる。
約1〜1.5 mmに達しているので乳管内病変も描出できる。
従来のPET-CTに比べて画像情報の質は3-4倍よくなっておる。

マンモグラフィと比べてどう?

乳房圧迫が半分程度ですみ乳腺濃度が高い乳房でも描出能が低下しない。
生理周期の影響も受けないことも利点とされておる。

臨床試験の結果は期待できそうだね。
高い空間能は乳癌内進展(?)に威力を発揮しそうだ。

放射線防護は何を考えればよいのかなあ?
生検も行うとすると外科医の手の被ばくも気にした方がよいのかな。

スタッフに気持ちよく働いてもらうには、線量限度を守れることが前提になるじゃろ。

この前講習会で習った5年間で100 mSvで、それぞれの年は50 mSvを超えないというですね。
リスク係数を使うと平均寿命短縮でリスクが見られるので興味のある方は計算されて下さい。

それと作業内容を考慮して、局所の線量にも注意するようにしよう。

IVRでの皮膚や眼の水晶体が受ける線量を抑えるのと同じですね。
受ける線量はどの程度ですか?

投与量370 MBqとすると従事者が受ける実効線量は20 μSv程度じゃ。
この研究班の検討では工夫すると10 μSv程度に低減できることが示されておる。

年間で20 mSvにすることを考えると2千回までOKなので、受ける線量は小さいと考えてよさそうだね。
生検だと手で止血しないといけないことがあるけど線量はどの程度ですか?

RIを投与後90分で撮像開始だとすると、腫瘍の集積したRI(投与量の1%が集積)からの線量概算でこの程度じゃ。
①穿刺部の局所麻酔:1分 距離(乳房表面から外科医手指まで)10 cm
→4μGy
②穿刺部の切開:3分 距離5cm
→40 μGy
③組織の採取:20~30分 距離30 cm
→14μGy
④止血:20分 距離0 cm
→1.8 mGy

一番線量が大きいのは密着させる止血操作ですね。
手の線量限度はどの程度でしたっけ?

線源がそばにあるからじゃ。
手の線量限度は、年間500 mSvじゃ。

年間200回程度だと線量限度内におさまりそうだね。
線量計を指にも付けておけば安心かな

局所に比較的多くの線量を受けるIVR同様に局所モニタリングは重要じゃ。もっともリングが手背側にあると手掌側の線量の半分しか示さないので注意が必要じゃ。

それなりにエネルギーの高い消滅光子だと遮へいは難しいのかな?
それにしても電子の質量が放射線に変わってしまうなんてびっくりだ。

1cm程度のアクリルでも距離を稼ぐ効果があるので線量は半分程度に減る。工夫の余地はあるのではないかな?

放射線部と一緒に考えて、みんなで納得して仕事することが大切だよね。

線量推計

設定した幾何学的条件での放射線の飛跡です。

計算の条件

幾何学的条件

腫瘍は半径1cmの球
乳房表面から深さ1cmに腫瘍の中心がある。
腫瘍および乳房、患者の体幹はアクリルと同じ組成で同密度
(元素の質量比;C:H:O=6.00558E+1:8.06376E+0:3.1988E+1、密度1.19g/cm3)
術者の手の厚み1cm
術者の手もアクリルと同じ組成で同密度

線源条件

F-18から壊変時に放出される陽電子の運動エネルギー分布はICRU Report 56のデータを使用

線量計算

術者の手の線量は、表層部(表面から1 mmまで)とそれ以外にわけ、沈着エネルギーから計算

類似例

FDG PET/MRI

医政発第1227第1号 平成24年12月27日 「医療法施行規則の一部を改正する省令の施行等について」の一部改正について
FDG PET/MRI 診療ガイドライン

文献

Positron emission mammography: diagnostic imaging and biopsy on the same day.

乳がん検診として適切?

乳がん診療ガイドライン

2015年版

推奨グレード D FDG—PETは乳癌検診に勧められない。

2018年版

「任意型乳がん検診として選択することは否定されない」となったそうです。

患者さんが受ける線量?

日本核医学会.乳房専用 PET 診療ガイドライン 平成 25 年 7 月

3-5-2 被ばく線量

一般に乳房専用 PET 検査では追加の FDG 投与を必要としないため、被ばく線量は全身 PET検査と同様である。本ガイドラインでは ICRP Publication 106 2) の報告に基づく数値を示すこと とする。成人に 185 MBq を投与したときの実効線量は 3.5 mSv、68Ge-68Ga 線源を用いた通常のトランスミッションスキャンによる被ばくは 0.25 mSv 程度である。一方、PET/CT における 吸収補正用の CT 撮影による被ばくは融合画像作成用としての低線量撮影では 1.4〜3.5 mSv と されている。PET/CT の CT を通常の診断用 CT 同様の高線量で撮影すると 10 mSv 以上となる可能性があるので、必要性についての吟味が必要である。

記事作成日:2010/01/06 最終更新日: 2018/08/30