線源を用いた放射線治療装置で、γ線によって弾き飛ばされた二次電子を遮蔽するために設置された板です。
この二次電子は治療には有用でないのでカットされます。
エックス線診断での付加フィルタと同じ役目です。
図の出典
医療法施行規則
第30条の3
放射線障害の防止に必要な場合にあつては、照射口に適当な二次電子濾ろ過板を設けること。
1 MeVの光子を1 cmの鉛板に入射させたところ(以下は電子を表示しています)
z軸の0 cmから1 cmは鉛
1 cmのアクリル板を追加したところ
z軸の5 cmから6 cmはアクリル板
アクリル板の効果
鉛板を設けることでビーム外の吸収線量は1.8倍程度に増加。
アクリル板を設けることで、その線量を77%程度低下させる(結果として鉛を設けることによる線量を1.8倍から1.4倍に抑制できる)。
鉛板なし
一次ビーム外に線量評価流域を設置:y軸の9 cmと10 cmとの間とy軸の-10 cmと9 cmの間
鉛板を設置:アクリル板なし
z軸の0 cmから1 cmは鉛
鉛板を設置:アクリル板あり
z軸の5 cmから6 cmはアクリル板
125 kVの管電圧で発生させたエックス線を0.25 mmの鉛板に入射させたところ
空気中で生成される電子が観測されている。
鉛板にX線が入射すると多くの電子が生成されている。
二次電子の情報の活用例
放射線管理研究部の津田路子 特別研究員がSAMITフロンティア賞を受賞しました!
記事作成日:2022/08/03 最終更新日: 2024/01/17