Q.Sr-89やY-90を使用する施設の制動放射の評価で、複合遮蔽を用いている場合のエネルギースペクトルの硬化の影響はどのように評価するのがよいですか?
A.信頼できる計算コードを使って(できればベンチマーク計算結果も添付するとよいでしょう)、しゃへい体の条件を合わせてモンテカルロ計算するのがもっとも合理的です。
複合遮蔽内の最も密度の低いしゃへい体で厚みを代表させ、「しゃへい計算実務マニュアル」のデータを使う(表6.5.2)のは簡易な安全側評価(ただし、ビルドアップも考慮が必要とはなる)となります(「医療放射線管理の実践マニュアル」でも極端に厚いしゃへい体では「しゃへい計算実務マニュアル」の最大厚の値を使うという考え方が示されています(P.108))。
より安全側には最大エネルギーと等しい単色光子と見なすことも考えられますが、上の方法を用いればよいでしょう。
類似した現象としてI-123のような螢光X線の寄与が大きい線源では、遮へい体の透過割合を測定すると、螢光X線を除いて安全側評価している計算値と差異が生じることがあります。また、このような線源では、遮へい体の有無で放射線の線質が大きく異なるので、低エネルギーの放射線をカットするような検出器では、測定結果が螢光X線を除いて安全側評価している計算値と同じになりますが、低エネルギーの放射線もきちんと計測する場合には、螢光X線を除いて安全側評価している計算値よりも透過率が低くなります。
深野 重男.タングステンによる192Irの遮蔽計算(閲覧先)
体内でのX線のスペクトルの変化
記事作成日:2010/01/19 最終更新日: 2023/04/01