まとめ
- 生殖細胞への放射線曝露に関してもそのリスクの程度を明らかにする研究が進められています。
- 生殖細胞でも受ける線量が少ないとリスクは小さいと考えられます。
心配してくれることがかえって辛くなるってことあるよね。
「CT検査後の妊娠は胎児に影響はないですか?」という質問もよくあるようです。
リスクの考え方は受胎前の卵子の被ばくと同じ構造じゃな。
たくさんの線量を受けたら、しばらく妊娠を控えるようにって基準はあるの?
放射線治療を受けた患者さんに対しては数ヶ月は妊娠を控えるべきと勧告されていたことがあった。
バセドー病の治療では4か月間避妊するようにってあるけどどういうこと?
これは放射線影響じゃなくて、胎児が母体内に残っている放射性ヨウ素を取り込まないようにするためじゃ。
放射線治療後1-2年は妊娠を避けるようにって聞いたことがあるけど。
これも放射線影響じゃなくて、腫瘍再発リスクを考えているからじゃ。
いずれにしても、受胎前の卵子や精子が放射線を受けることの妊娠への影響は今のところはまだ確認されておらん。
ただし、500 mGy以上の場合には少なくとも2ヶ月間妊娠を避けることを推奨する専門家もおる。
卵子と違って精子は成熟していなくて、精原細胞や精母細胞が成人でも活発に細胞分裂しているから、放射線感受性が高いのではないかと心配されるようです。
確かに同じ性細胞でも卵子と精子では、放射線感受性が異なり、男性の方が一時的不妊を起こす線量が小さく0.1~2.0 Gyと考えられており事故被曝でもこの現象が観測されている。この不妊は精子の生産が止まることによる。
一時的不妊に起こりやすさは性差があるとして、性細胞が放射線に曝露した後に妊娠した場合の影響はどうですか?
サバイバルした性細胞で妊娠した場合になるが、これまで「がん」や遺伝性影響が増加することは確認されていない。
リスクはあっても小さいと言うことですね。
また、このような例だと不妊に関しては心配するまでもないみたいだね。
それよりも防護のプロにきちんと職場に入ってもらって夫が職場で受ける線量を制御した方がよさそうだ。
妊婦の傷つきやすい気持ちを周囲は察してあげて欲しいものじゃ。
意図的な放射線照射による不妊
事故による一時的な精子数の減少確認例
千葉市におけるイリジウムによる放射線被ばく事故
放射線事故の特徴と医療対応:その他の事故等すべての人に精子数の減少が見られ
ovary
IARCThe ovary is a radiosensitive organ, but its radiosensitivity to the induction of sterility is age-dependent (Table 39). Radiation-induced ovarian failure gives rise not only to reduced fertility or sterility but also to reduction or cessation of hormone production, which may lead to premature menopause in younger women (Meistrich et al., 1997). Amenorrhoea has been reported in 10% of patients exposed during childhood to 0.5 Gy to the ovaries and in about 66% exposed to 3.0 Gy (UNSCEAR, 1993). A dose of 1.0–1.5 Gy appears to be the threshold for an effect on fertility. Ovarian failure occurs in 40% of 20-year-old women and in 90% of 35-year-old women receiving a dose of 4.5 Gy. The effect is reduced by dose fractionation and protraction of radiotherapy (Meistrich et al., 1997).
生殖への影響
UNSCEAR 1993 Report to the General Assembly, with Scientific Annexes
Review
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Conclusions and Relevance
These large-scale real-world data indicate that receipt of RAIT before pregnancy does not appear to be associated with increases in adverse pregnancy outcomes when conception occurs 6 months or more after treatment.