PET検査前のトイレは管理区域の中に作るべき?

PETでは陽電子が直接曝露するので注意が必要なため、医療機関は様々な工夫を講じています。

PET検査ではRI投与後40分程度で撮像前に一度排尿します。
この時に排尿されるRIは投与量の2割程度とされています。
さて、この量の5%が便器外にこぼれることが週に5回あったとして、その度に清掃担当者が5分かけて掃除すると仮定しましょう。

清掃作業がかがんだ状態を仮定すると、清掃担当職員の実効線量は年間で1 mSvを超えることも考えられるようです(それでも皮膚の吸収線量は30 mGy程度)。

貯留槽や希釈槽を設けるかどうかは別にして、不測の事態を考えると、とりあえず、初回排尿用のトイレは管理区域に設けた方が関係者の理解は得られやすいかもしれません。それに特定のトイレを管理区域とするだけであればコストはかからないはずです。みなさんは、どうお考えになりますか?

ちなみに、トイレの「人が触れる」床の面積が4 m2である場合、検査前の排尿時の周囲汚染による平均表面汚染密度は51 Bq/cm2、検査120分後に管理区域を退出するとして退出直後に公衆トイレで排尿した場合の周囲汚染による平均表面汚染密度は19Bq/cm2となります。検査前の排尿時の周囲汚染による表面汚染密度が限度を超える可能性があるため、管理区域退出前に利用するトイレを管理区域内に設けることは、法令の遵守を考慮すると正当化されうる可能性があるかもしれません。一方、検査120分後に管理区域を退出した場合には、退出直後に公衆トイレで排尿した場合の周囲汚染はかなり過大に評価しても法令で定める表面汚染密度を超えないようです。ただし、表面密度限度は再浮遊係数等を見直すとより合理的とできる可能性があるかもしれません。もっとも、この程度の汚染でも何も処置せずに触る気になれる放射線診療従事者は少ないかもしれません。

計算の仮定

260 MBq投与、待機室40分間滞在、PET診療室への移動前に20%を排尿、うち一人の患者尿の5%(2 MBq)で周囲が汚染。汚染面から従事者の距離15cm、5分間滞在。
これを1週間で5回繰り返した場合の線量を推計

結果

従事者の平均吸収線量:1.3 mGy/年
従事者の皮膚吸収線量:30 mGy /年
トイレの床の表面汚染密度: トイレの床が4 m2である場合、PET検査前の汚染による平均表面汚染密度は50 Bq/ cm2


図は、床を汚染した100個のF-18が崩壊した際の放射線の飛跡(汚染面積は900 cm2
青は陽電子、赤は電子、黒は光子の飛跡を示す。

医療機関での取り組み

PET医療現場の放射線管理
清掃担当者の放射線曝露が最小になるように様々な工夫がなされています。

管理区域内のトイレの使用を前提としている例

【参考】可搬型PET装置の運用について

MRI室に移動する前の管理区域内での排尿

記事作成日:2010/02/05 最終更新日: 2017/09/28