最新データ
環境パラメータ・シリーズ4増補版(2013年)「食品の調理・加工による放射性核種の除去率-我が国の放射性セシウムの除去率データを中心に―」
過去の研究の成果の一部の紹介です。
汚染の程度が少ない流通している食品では、積極的な対策は不要です。
調理・加工法 | 食品 | 放射性核種の除去割合(%) | 実験条件 | |
---|---|---|---|---|
原材料 | 製品 | |||
脱籾 | 穀物 | 玄米 | ストロンチウム 50 | 放射性降下物 |
精米 | 玄米 | 白米 | ストロンチウム 60-90 セシウム 65 | 放射性降下物 |
製粉 | 穀物 | 小麦粉 | ストロンチウム 20-50 セシウム 20-50 | 放射性核種の経根吸収実験 |
水洗い | 白米 | といだ白米 | ストロンチウム 50 | 放射性降下物 |
キュウリナス | 洗浄キュウリ 洗浄ナス | ストロンチウム 50-60 | 放射性降下物 | |
貝 エビ | 洗浄貝 洗浄エビ | ストロンチウム 10-30 | 放射性降下物 | |
煮沸処理 | ホウレンソウ シュンギク | おひたし | セシウム50-80 ヨウ素50-80 | 放射性降下物 |
イオン交換樹脂処理 | 牛乳 | 処理済み牛乳 | 放射性降下物 80 ヨウ素50-80 | 放射性降下物 |
油脂分離 | 魚肝臓 | 肝油 | セシウム ほとんど100% ストロンチウムなど ほとんど100% | 放射性降下物 |
牛乳 | バター(*) | ストロンチウム 96-99 セシウム 96-99 ヨウ素 96-99 | 放射性降下物 |
出典
環境パラメータシリーズ4
食品の調理・加工による放射性核種の除去率
財団法人原子力環境整備センター
注釈
(*)製造過程上は油脂成分への移行が想定されるので、製造時間による減衰による「除去」が考えられます。
核種とは原子番号が同じ原子核のグループです。
原子番号が同じと言うことは同じ元素であることを示しています(同位体と呼んでいます)。
違いは原子核内の中性子の数です。
中性子の数が異なるので質量数が異なります。
また、中性子の数が異なるので原子核としての性質が異なります(化学的な性質はほとんど同じであることが多い)。
原子核としての性質が異なることの一つが放射性であるかどうかです。
放射性であるとは、原子核が壊変(=エネルギーが低い状態に変化します。その差分が放射線として放出されます)し、放射線を出すことを意味します。
世の中は放射性同位体がたくさんあります。
そもそも放射線って何?をご覧下さい。
海外の例
スウェーデン
Livsmedelsproduktionen vid nedfall av radioaktiva ämnen(pdf file, 2.9 MB)
FAQ
放射性セシウムの摂取を避けるために牛乳を飲まないでいてカルシウム不足になると、放射性ストロンチウムの取り込み量が増えてしまい、かえって内部被ばく線量が増えるのではないですか?
放射性ストロンチウムの線量換算係数
体内のカルシウム量に依存することが考えられます。
牛乳の摂取による預託実効線量
牛乳の放射性セシウムの濃度を4 Bq/kgと仮定し、
牛乳の一日摂取量を325g/dayと仮定すると、
年間の牛乳摂取量は120kg/yearとなり、
牛乳摂取に由来した放射性セシウムの量は480 Bqとなり、
それによる預託実効線量は7μSvと推定されます。
牛乳の摂取を避けると、その線量を減らすことができると考えられます。
Sr-90の摂取による預託実効線量
シロメバルのSr-90の濃度が1.2 Bq/kgとのデータがあります。
シロメバルの一日摂取量を150g/dayと仮定すると、
年間のシロメバル摂取量は55kg/yearとなり、
シロメバル摂取に由来した放射性ストロンチウムの量は66Bqとなり、
それによる預託実効線量は5μSvと推定されます。
牛乳の摂取を控えることで放射性ストロンチウムにより増える線量
放射性ストロンチウムによる線量が牛乳の摂取を控えることで倍になると仮定しても、牛乳の摂取を控えることで放射性セシウムの摂取を減らし線量を減らすことにより、放射性ストロンチウムによる線量の低減をオフセットすると考えることは無理があるのかもしれません。