原子力発電所事故後の現存被ばく状況での放射線防護のカテゴリーの記事は、保健福祉職員向け原子力災害後の放射線学習サイトに移行中です。
安定ヨウ素剤
原子力規制庁
一般的な解説
安定ヨウ素剤 取扱いマニュアル
ヨウ素剤予防投与のガイドライン
ヨウ素剤予防投与とは、放射性ヨウ素による内部被ばくを低減するための措置です。
対策の考え方
安定ヨウ素剤予防服用に係る防護対策の指標 安定ヨウ素剤予防服用に係る防護対策は、屋内退避や避難等の防護対策とともに、その実効性を高める必要があること、さらに、安定ヨウ素剤予防服用に関する国際機 関及び各国における提案を考慮し、安定ヨウ素剤予防服用に係る防護対策の指標として、性別・年齢に関係なく全ての対象者に対し一律に、放射性ヨウ素による小児甲状腺等価線量の予測線量100 mSvを提案する。
自治体からの指示に従って下さい
対策にはよい面とそうではない面があり,バランスを考えることが重要です。
米国の考え方
Guidance. Potassium Iodide as a Thyroid Blocking Agent in Radiation Emergencies(pdf file, 41kB)
FAQ
(2011年8月27日朝日新聞)で、「3月17、18日に福島県で実施された住民の外部被曝検査の数値から内部被曝による甲状腺への影響を計算すると、少なくとも4割が安定ヨウ素剤を飲む基準を超えていた恐れがあるという。」とありますが、どの範囲の住民で4割の住民の甲状腺の予測等価線量が100 mSvを超えていたのでしょうか?
事故医療研究会では、福島県災害対策本部発表資料が紹介されています。
表面スクリーニング基準が10万cpmで行われた検査で、
3/17にスクリーニングした人数14,198人中43人(0.3%)
3/18にスクリーニングした人数14,336人中39人(0.3%)
が福島県災害対策本部が設定した基準を超えています。
ここで示された人数を4割と誤認した可能性があるようです。
原子力安全委員会記者ブリーフィング(pdf file, 258kB)
「放射性ヨウ素は甲状腺に集まりやすく、甲状腺被曝では放射性ヨウ素の中では比較的、寿命が長い放射性ヨウ素131(半減期約8日)だけが考慮されていたが、広島大原爆放射線医科学研究所の細井義夫教授は「半減期が2時間と短いヨウ素132も考慮が必要」と指摘。理化学研究所などが3月16日に原発30キロ圏外の大気を分析した結果、放射性物質の7割以上が放射性ヨウ素132や、約3日で放射性ヨウ素132に変わる放射性物質だったという。」という報道朝日新聞(2011年8月27日)があります。
原子炉で生成量が大きいと考えられる(I-131に対して1.3)Te-132は、I-132に崩壊し、それらは事故早期には空間線量の比較的大きな構成成分ですが、その吸入による甲状腺への線量は考慮されていますか?
食品の出荷制限と摂取制限
第15回放射線事故医療研究会「東京電力福島第一原発事故を受けた緊急被ばく医療体制の再構築に向けて」
安定ヨウ素剤の効果の持続は甲状腺に取り込まれた安定ヨウ素の生物学的な半減期に依存しますか?
Wolff-Chikoff効果により、血液から甲状腺への安定ヨウ素の移行は、甲状腺内の安定ヨウ素の量にも依存すると考えられます。甲状腺内のヨウ素量が増えると血液から甲状腺への移行量が減り、甲状腺内の安定ヨウ素が減ってくると血液からの移行が増加すると考えられることから、ブロック効果の持続は、初期の甲状腺への取り込み量だけには依存しないと考えられます。
文献
原子力安全委員会
廃棄
安定ヨウ素剤の配布・服用に当たって 古い安定ヨウ素剤は回収した上で、適切に廃棄しなくてはならない。
島根県安定ヨウ素剤配布計画有効期限が切れた安定ヨウ素剤は、県が回収し廃棄する。