は行


光核反応
photonuclear reaction
高いエネルギーの光子(γ線、X線)と原子核の相互作用で原子核に影響を与える。治療用加速器では制動放射が原子番号が大きい遮蔽体に照射されることにより、原子核から中性子が飛び出し放射化を起こすのは、この原理による。
非現実的楽観主義
unrealistically optimism
お産や喫煙などで危険なことは自分には起こらないと考える認知的なバイアス(Weinstein,1980)。
(放射線)被ばく
(radiation) exposure
放射線を体に受けること(exposureは、化学物質に触れたり、取り込むことにも用いられる)。漢字表記では、被曝。原爆に曝されることを被爆と使い分けている(ただし、漢字使用国間では統一されていない)。「曝」は、常用漢字ではないために、法令では「被曝」は、「被ばく」と表記される。
標準化死亡比(SMR)
standardized mortality ratio
年齢階級別の人口分布が異なる集団で死亡状況を比較するための指標。集団の死亡数を推測して、観測死亡数と比較する。集団の死亡数は対象集団の年齢階級別死亡率を用いず、基準集団の年齢階級別死亡率を用いて、対象集団の年齢階級別人口をあてはめて推測する。対象集団の年齢階級別死亡率を用いないので間接法と呼ばれる。直接法は、対象集団の年齢階級別死亡率を使って標準集団の年齢階級別人口を考慮して重み付け平均(=年齢調整死亡率)を計算する。SMRの議論は、 放射線とリスクセンスをご覧ください。
フレーミング効果
framing effect
情報の受け取り方が、情報の表現法で異なること(Tversky & Kahneman, 1981)。例えば「95%の生存率」は「5%の死亡率」よりも選好されることが知られている。
ベクレル(Bq)
becquerel
放射能の単位。単位時間の崩壊数を示す。1 Bqは1秒間に1崩壊する放射性物質の量。放射性物質は崩壊時に放射線を出す。それぞれの放射性核種は1崩壊で、どのような放射線を出すかが確率的に与えられている。放射性壊変(崩壊)そのものも確率的な現象なので1 Bqであっても必ず毎秒壊変するわけではない。
放射線加重係数
radiation weighting factor
光子や高速の電子に比べて、α線や中性子は狭い領域に効率的に不対電子を生成することを考慮した係数。同じ吸収線量でも診断領域のX線よりもラドン(α線を放出する)による線量の方が生体影響は大きいと考えられている。
(原子力災害後の現存被ばく状況での)放射線防護文化
radiation protection culture
放射性物質で汚染された土地で暮らしていくための知恵や生きる姿勢を共有すること。J. Lochard氏らが提唱している。

この項目の記述で、吉川肇子先生の「健康リスクコミュニケーション」を参考にしました。

記事作成日:2010/02/21 最終更新日: 2014/01/20