その他はX線管のアクリルカバー(寄与は1割以下)やテーブル、空気からの散乱(もっと少ない)です。もっともアクリルカバーに近づくと、アクリルカバーからの散乱の寄与が増えるでしょう。また、防護措置を講じていない面積線量計も術者への線量を増やすでしょう。
X線管容器からの漏えいはほとんどありません。
オーバーテーブル
X線管にアクリルカバーが付いている
X線管のアクリルカバーを外した
アンダーテーブル
術者の眼に入射する散乱放射線の発生源
術者の腰に入射する散乱放射線の発生源
謝辞
画像は宮崎大学医学部放射線医学講座の田原義弘先生に提供していただきました。
参考:田原義弘他.散乱X線・可視光同時撮像ピンホールカメラの開発と透視中散乱線の撮像.Radioisotopes 55(5), 247-252, 2006-05-15
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X線装置のアクリル窓からの散乱線を検討した例
橘 昌幸、泉 隆、吉中 正則.X線可動絞り装置前面アクリル板による吸収および散乱
空気中をX線はどこまで飛ぶの?
空気も放射線をシールドします。
放射線の広がり(半径と球の表面積の関係なので距離の二乗で効いてきます)と空気が放射線のエネルギーが吸収することから(指数関数的に効いてくるので距離が遠いと線量が著しく小さくなります)、距離を取ることは放射線低減に有効です。
放射性セシウムによるγ線の場合
防護板の利用のポイント
室内に広がる散乱線の量を減らす
患者からの散乱線を遮へいするために患者に近づける。
ただし患者の線量は増える。
散乱線も含めて従事者への入射を減らす
従事者に近づける。
照射の幾何学的条件の変化に対応
条件が変わることに対応して防護法も変化させる。
Q.放射線防護での最適化はどう達成されているのか?
A.循環器など照射条件を変化させて照射している場合は、診療放射線技師が患者や術者の安全を考えてこまめに調整しているそうです。
コリメータ方向からの散乱としている例
面積線量計の有無による空間線量率の変化(Fig. 10)に関しては,面積線量計から散乱線が発生していることに起因した結果が得られたといえる.
飯田 泰治, 茶畠 光浩, 清水 満, 田村 鋒男, 血管撮影領域における術者に対する放射線防護, 日本放射線技術学会雑誌, 2001, 57 巻, 12 号, p. 1548-1555
ただし散乱線発生源の特定に関する記述はありません。
術者が受ける散乱線の多くは可動絞り器と被写体からの散乱線であることが判明した.
今回は発生要因を特定するまでにはいたらなかった.
PA方向での頭頸部の被曝線量の半数は可動絞り器からの散乱線によるものである.