これまでのデータをまとめて提案しています。
値だけにとらわれるのは適切ではありません。
総合的に考えましょう。
J-RIMEにより診断参考レベルが設定されました。
日本の診断参考レベル(2020年版)(Japan DRLs 2020)が公開されました(サイトへの接続ができなくなっています。DRLは、こちらをご参照ください。あるいは、J-RIMEの予備ページ)。
J-RIME参加学会と協力して、放射線検査の診断参考レベルを設定しました
「最新の国内実態調査結果に基づく診断参考レベルの設定」(平成27年6月7日)
Diagnostic Reference Levels Based on Latest Surveys in Japan —Japan DRLs 2015—
告知状況
JSRT.診断参考レベル運用マニュアル(2016年10月1日)
IAEA: Radiation protection for patients. Japan introduces diagnostic reference levels
The International Organization for Medical Physics (IOMP): Japan establishes its DRLs first time: A significant step in patient protection
INTERNATIONAL commission on radiological quality and safety: Japan DRLs 2015
厚労科研の研究班により提案された診断参考レベル
単純X線
plain x-ray
撮影部位 | DRL案(mGy) 入射表面線量 | 設定根拠 |
---|---|---|
頭部(正面) head (trauma) | 3 | 6報告(標本の大きさの合計3,266件)における第3四分位点においてもDRL案値を超えていない。IAEAガイドラインは0.4 mGyである。本研究における調査における第3四分位点は0.22 mGy(標本の大きさ237件)である。 |
胸部(正面) chest PA | 0.3 | 6報告(標本の大きさの合計3,266件)における第3四分位点においてもDRL案値を超えていない。IAEAガイドラインは0.4 mGyである。本研究における調査における第3四分位点は0.22 mGy(標本の大きさ237件)である。 |
腹部(正面) Abdomen AP/PA | 3 | 6報告(標本の大きさの合計3,266件)における第3四分位点においてもDRL案値を超えていない。IAEAガイドラインは5 mGyである。 |
X線CT
x-ray CT
撮影部位 | DRL案(mGy) CTDIvol | 設定根拠 |
---|---|---|
頭部 head | 100 | 191装置についてImPACTを用いて計算した。 CTDIvol(mGy)の結果は、最小値15.8 mGy、最大値369.0 mGyであり、平均値に相当するCTDIvolは91.7 mGy、中央値83.7 mGy、第3四分位点のCTDIvolは98.0 mGyであった。 |
胸部 chest | 20 | 183装置についてImPACTを用いて計算した。 CTDIvol(mGy)は、最小値0.7 mGy、最大値37.2 mGyであり、平均値に相当するCTDIvolは15.2 mGy、中央値14.2 mGy、第3四分位点のCTDIvolは19.7 mGyであった。 |
腹部 Abdomen | 25 | 161装置についてImPACTを用いて計算した。 CTDIvol(mGy)は、最小値5.0 mGy、最大値64.4 mGyであり、平均値に相当するCTDIvolは20.0 mGy、中央値19.0 mGy、第3四分位点のCTDIvolは24.7 mGyであった。 |
厚労省班研究 「医療放射線の安全確保に関する研究」
参考
Q.X線CT検査で受ける線量はどの程度ですか?
放医研の西澤先生らの調査では、
頭部:2.4 mSv
胸部:9.1 mSv
腹部:12.9 mSv
骨盤部:10.5 mSv
とされています(成人)。
線量の大きさは体格や検査の目的で異なります。
西澤かな枝、松本雅紀、 岩井一男 、丸山 隆司.CT検査件数及びCT検査による集団実効線量の推定.日医放雑誌.64(3),151-158,2004
IAEA
Radiation protection of patient
IVRのsuggested ガイダンスレベル
ICRP
DIAGNOSTIC REFERENCE LEVELS IN MEDICAL IMAGING: REVIEW AND ADDITIONAL ADVICE
A web module produced by Committee 3 of the International Commission on Radiological Protection
Draft Report for Consultation: Diagnostic Reference Levels in Medical Imaging
日本診療放射線技師会, The Japan Association of Radiological Technologist (JART)
医療被ばくガイドライン, 2006 guideline for medical exposure
撮影部位(方向) examination | 入射表面線量(mGy) entrance surface dose per radiograph | 撮影部位(方向) examination | 入射表面線量(mGy) entrance surface dose per radiograph | |
---|---|---|---|---|
頭部(正面) head (trauma,AP) | 3 | 膝関節 Knee joint | 0.4 | |
頭部(側面) head(LAT) | 2 | 足関節 Ankle Joint | 0.3 | |
頚椎(正側面) Cervical spine (trauma) | 0.9 | 前腕部 Fore-arm | 0.2 | |
胸椎(正面) Thoracic spine (AP) | 4 | 手指部 Finger | 0.1 | |
胸椎(側面) Thoracic spine (LAT) | 8 | グスマン Guthmann | 9 | |
胸部(正面) Chest (PA) | 0.3 | マルチウス Martius | 10 | |
胸部(側面) Chest (LAT) | 0.8 | 0歳胸部 Chest, 0yr | 0.2 | |
腹部(正面) Abdomen (AP) | 3 | 3歳胸部 Chest, 3yr | 0.2 | |
腰椎(正面) Lumbar spine(AP) | 5 | 5歳胸部 Chest, 5yr | 0.2 | |
腰椎(側面) Lumbar spine(LAT) | 15 | 0歳腹部 Abdomen, 0yr | 0.3 | |
骨盤(正面) Pelvic (AP) | 3 | 3歳腹部 Abdomen, 3yr | 0.2 | |
股関節(正面) Hip joint (AP) | 4 | 5歳腹部 Abdomen, 5yr | 0.7 | |
大腿部 Thign | 2 | 乳幼児股関節 Hip joint, infant, child | 0.2 |
Notes:
PA: posterior-anterior projection; LAT: lateral projection; AP: anterior-posterior projection.
診断参考レベルとの比較例
地域の実情を調べて画質も考慮して介入している例
伊勢志摩地区の地域貢献活動“放射線安全管理ネットワーク”について
柴原 卓彦,他.伊勢志摩地域の医療機関における一般撮影入射表面線量の調査および最適化について(年次大会ポスター発表紹介:最優秀ポスター賞)
東京都
財団法人健康医学協会
「実行線量推定値は「実効線量推定値」の誤り。「法医研調べ」は「放医研調べ」の誤り。
神奈川県
東海大学医学部付属病院放射線技術室(pdf file, 82kB)
部位別吸収線量の測定と被曝レベルの設定
北里大学病院における医療放射線被ばく線量
静岡県
福井県
滋賀県
大阪府
医療法人医真会グループ
大阪府立母子保健総合医療センター
大阪船員病院
大阪大学医学部付属病院
広島県
福岡県
菅原病院
北九州市立八幡病院
長崎県
熊本県
阿蘇中央病院
大分県
鹿児島県
放射線医学研究所での研究プロジェクト
医療被ばくによる国民線量推定のための実験研究(pdf file, 29kB)
患者が受ける線量の実態
国内の大学病院での胸部X線撮影で患者が受ける線量(患者さんの入射面での空気カーマ)を調べた例
それぞれの医療機関の中では合理的な運用(患者さんの体格に応じて撮像条件を変化)が行われていましたが…
出典
岩波茂.日医放会誌.60(7), 2000
海外での取り組み
European commission
Radiation protection 109: Guidance on diagnostic reference levels (DRLs) for medical exposures
Nordic guidance levels for patient doses in diagnostic radiology.
データ収集の試み
日本脳神経血管内治療学会
「脳血管内治療に関する診断参考レベル構築のための医療被ばく実態調査 (Re-JDRL study)」進捗状況の報告と線量調査票提出のお願い
放医研
医療被ばく情報の自動収集・解析システムの試験運用を開始-放射線診断での被ばく線量の適切な低減に向けた取組への道筋-
茨城県診療放射線技師会
EPD(Estimation of Patient Dose in diagnostic X-ray examination)
FAQ
頭部CT検査の基準が1350 mGyと聞きました。高すぎないでしょうか?
CT検査では診断参考レベルがCT線量指標(CTDI)とDLP(dose length product)で与えられています。
頭部単純のルーチン検査で診断参考レベルが1350とあるのは、DLPで単位はmGy・cmです。
J-RIME(医療被ばく研究情報ネットワーク)では2015年6月に日本の診断参考レベルを提示することを目指しているとのことです。
検査を繰り返した場合の線量はどの程度になるのでしょうか?
調べた例です。群馬大学医学部附属病院 小野絵理.大腸癌術後患者におけるCT 被ばく線量評価
公益社団法人神奈川県放射線技師会
一般撮影の医療被ばくの防護を最適化するためのベンチマークドーズ(BD)の提案
装置の特性も考慮した指標が提案されています。
関係学会等による解説例
日本放射線技術学会
4月19日付の新聞紙上での医療被ばくに対する記事について(速報)
五十嵐 隆元.医療放射線防護と診断参考レベル
放射線撮影分科会
JIRA
放射線医学総合研究所
放射線科学
検証例
透視装置
多施設IVR 装置における実測に基づいた透視線量率の現状~DRLs 2015 との乖離~
DRLs 2015 を満たしたのは,3 割にも満たなかったそうです。
実装に向けて
JSRT
医療被ばくを評価するデータを電子的に記録するためのガイドライン
最適化
検査を指示する医師による検査の最適化
範囲
タイミング
放射線科医による検査の最適化
放射線照射条件の最適化
その他の最適化
血管撮影・IVR 分野
坂本 肇, 五十嵐 隆元, 加藤 守, 川内 覚, 加藤 英幸, 塚本 篤子, 盛武 敬, 赤羽 正章.DRLs 2015 の血管撮影・IVR 分野における効果検証および追加項目の検討
診断参考レベルの課題
核医学
持続的に投与するKr-81mに関して親核種であるRb-81の放射能量のみで規定しており、投与量との関係が乏しい。
Kr-81m は検定量、Tc-99m ガスは 1 名あたりの充填量を記載する。
Kr-81m gasに関してusually < 5 minutesとしている
ルーマニア
オランダ
フランス
DICOMでは投与開始と投与終了時刻が記録できる
C.8.4.10.1.5 Radiopharmaceutical Start Time
Radiopharmaceutical Start Time (0018,1072) is the actual time of radiopharmaceutical administration to the patient for imaging purposes, using the same time base as for Acquisition Time (0008,0032).
C.8.4.10.1.6 Radiopharmaceutical Stop Time
Radiopharmaceutical Stop Time (0018,1073) is the actual ending time of radiopharmaceutical administration to the patient for imaging purposes, using the same time base as for Acquisition Time (0008,0032).
国民線量
UNSCEAR
WEBINAR ON MEDICAL EXPOSURE TO IONIZING RADIATION
WEBINAR ON MEDICAL EXPOSURE TO IONIZING RADIATION
UNSCEAR 2020/2021 Report, Annex A “Evaluation of Medical Exposure to Ionizing Radiation”
日本保健物理学会
医療被ばく国民線量評価委員会
NDBを用いたアプローチが模索されているようです。
線量計の貸し出し
地域での取り組み
伊勢志摩地区の地域貢献活動「放射線安全管理ネットワーク」の試み
伊勢志摩地区の地域貢献活動「放射線安全管理ネットワーク」の試みについて