放射線リスクのワンポイント・ヒント

放射線のリスクはより心配してしまうかもしれませんが、受ける線量が小さければ喫煙のリスクに比べると小さいです。
自然界から受ける線量は地域によって大きな違いがありますが、居住地域による放射線リスクの違いは検出するのが困難な程度です。

タバコを一日1-9本を長期間吸い続けると肺がんの相対リスクが4.6になると聞いたけど、
相対リスクって何?

リスクが何倍になるかという比じゃ。
リスクの増加は、比か差で表現できる。
差で表現するのは寄与リスクじゃ。

リスクって何?

望ましくないことがおこる確率で、ここでは、生涯のうちに肺がん死亡する確率じゃ。
一日に40本以上の喫煙だと非喫煙者に比べると10倍以上リスクは高い。

放射線に当てはめるとどの程度の線量になるのかな?

原爆被爆者でのリスク推計からは、3.4Svが等価な値じゃ。
この線量は単位時間あたり3.4Sv/hの線量率に短時間されされるという意味ではなく、一つのイベントとして3.4Svの曝露を受けるという意味じゃ。

3.4Svも被ばくしたら治療しないと半数近くが死亡しうるかもしれないけど、それは白血病を発症するからではないですよね。

もちろんこの計算は発がんリスクのみを対象にしたものであり、高い線量を曝露した場合には発がん以外の健康障害がより重要になる。

3.4Svは日常の線量よりどれくらい多いのかな?

年間で受ける線量とすると屋内ラドンだと4,500 Bq/m3の室内で暮らす場合に受ける線量と等価じゃ。

うちはどの程度かな?

日本では少し高めの一般家庭が20 Bq/m3とすると、その200倍以上じゃ。

150 Bq/m3を超えると何らかの介入をするとすると、
その30倍の値になるのか。
タバコの一日の本数が1-9本のリスクだとたいしたことないように思うけど、
一般の公衆の年間線量限度1 mS/yの3400倍と聞くとなんだか怖くなるなあ。

リスク受容は単にリスク(=のぞましくないことがおきる確率)だけでは決まらないのじゃ。
リスク比較の議論は こちらを参照して欲しい。

放射線を受けると受けた線量によってリスクはあるかもしれないけど、別の有害物質の曝露でもリスクはあると言うことだね。

肺がんの相対危険一日喫煙本数原爆被爆者[Sv]ラドン[Bq/m3]
1.0010< 40
4.61-93.44,500
7.510-196.18,100
13.120-39(11.4)(15,000)
16.640+(14.1)(19,600)

()は非現実的な仮想推測データ

出典

Boice JD, Lubin JH.Lung cancer risks: comparing radiation with tobacco;Radiat Res. 1996 Sep;146(3):356-7.

中谷内先生のリスクのモノサシの適用例

リスクのモノサシ

関連質問

線量限度を超える線量は危険でしょうか?

公衆の線量限度(1 mSv/年)は放射線による発がん死亡のリスクを10万分の1になるように設定されています。
つまり毎年1 mSvの線量を50年間追加して受けるとがんによる死亡確率が10万分の1増加します。
線量限度を超えた線量を毎年受けるとこのリスクが大きくなる可能性があります。

公衆の線量限度(1 mSv/年)に比べて、普段、受ける放射線の量はどの程度小さいのでしょうか?

日常生活で受ける放射線の量は、公衆の線量限度(1 mSv/年)に比べると大きい量です。
日常生活で受ける線量と線量限度

計画的避難区域外でも公衆の線量限度を超えることがありえるので、範囲の指定が不適切ではないですか?

事故発生から1年の期間内に積算線量が20ミリシーベルトに達するおそれのある区域が計画的避難区域とされています。
受ける放射線の量は、できるだけ小さくすることが望まれますが、線量を減らすための負担が大きくなりすぎるのは適切ではありません。このため、バランスを考えて判断する必要があります。

国立がんセンター

発がん物質と発がんリスク(pdf file, 457kB)

記事作成日:2010/03/24 最終更新日: 2017/02/13