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関連記事
原子力安全委員会による技術的助言
避難区域(警戒区域)から退出する際の除染の適切な実施について(pdf file, 102kB)
福島県大熊町
放射性物質除染スクリーニングレベルについて政府の原子力災害現地対策本部は、放射性物質除染スクリーニングレベルについて、平成23年3月20日の指示により、当面、1マイクロシーベルト/時またはこれに相当する 100,000 cpm を基準として実施していましたが、原子力安全委員会による8月29日付けの助言等踏まえ、9月16日以降 13,000 cpm を新しい基準として実施することとしましたのでお知らせします。
原子力安全委員会によるこれまでの技術的助言
2011/03/22 各省庁懸念事項に対する技術的助言(pdf file, 197kB)
避難指示区域から戻った際に、サーベイメータにより船体、機体、船員および乗務員の汚染検査を行う。放射線量率の測定値が基準(現時点ではヒト、車体等に対して100,000 cpm)以上の場合は、衣類あるいは防護服を脱衣してビニール袋に保管し、船体、機体および身体の除染を行う。
2011/04/05 装備機器の除染等の方法について(照会)に関する回答
10万cpmの計数率は、どの程度の放射性物質の量があることを意味しますか?
表面汚染密度から計数率の換算
核種、汚染面積、検出器のサイズに依存します。
口径5cmφの標準的なGMサーベイ
40 Bq/cm2が概ね13kcpmに相当します。
10万cpm(≒1.7kcps)は概ね300 Bq/cm2に相当します。
100 cm2の範囲の表面汚染を誤って経口摂取した場合の線量
15kBqのCs-134を誤って経口摂取した場合の線量は1.9×10-5[mSv/Bq]×15,000[Bq]=300[µSv]
15kBqのCs-137を誤って経口摂取した場合の線量は1.3×10-5[mSv/Bq]×15,000[Bq]=200[µSv]
人体表面等の汚染の除染の基準の考え方の例
除染水の扱い
2011/03/30 「航空機洗浄後の廃液の排水について」に対する回答(pdf file, 49kB)
除染水の扱いについて事故前に懸念が示されていた例
フィルタの扱い
ICRP Pub 63の44項
・汚染した地域で通常業務をおこなう公衆の一部には特別な配慮が必要。
・廃棄物処理あるいはエアフィルタのような汚染物を扱う人々といった他のグループも考慮されなくてはならない。
下道國.放射性物質で汚染されたエアフィルタの取扱いについて
(社)日本空気清浄協会
放射性物質で汚染されたエアフィルタの取り扱い指針(pdf file, 381kB)
「放射性物質で汚染したエアフィルタの取り扱い指針」に関するQ&Aまとめ
放射性物質で汚染されたエアフィルタの取り扱いに関するアンケート調査票集計結果
エアフィルタの廃棄については、環境省の特別措置法の指定廃棄物に明記するように働きかけてほしい。
フィルタへの放射性物質の蓄積への言及例(ただし濃度が高くなったフィルタの扱いはここでは問題視されていない)
第180回国会 参議院 予算委員会 第16号 平成24年4月2日
屋外の放射線量は比較的低くても、空調設備の内部フィルターは外気を浄化するためその濃度は徐々に高くなってくる、結果として、濃度の濃くなったフィルターが放射能汚染源となってしまっている、こういった状況にあるようです。
東京産業廃棄物協会
256
特定産業廃棄物の例示の要望が意見として出されていました。
263
産業廃棄物として指摘を受けずに対処する方策に言及されています。
林野庁
調理加熱用の薪及び木炭の放射性セシウム測定のための検査方法について(11月18日)
調理加熱用の薪及び木炭の当面の指標値設定に関するご質問と回答について(11月18日)
調理加熱用の薪及び木炭の当面の指標値の設定について(11月2日)
厚生労働省
福島県
県産材製材品の放射線等調査結果について
測定器の計数効率などから、計数率から製材品に付着している放射性物質の量が推定でき、
その量からその製材品を取り扱うことで受ける線量が推定できます。
大型車両の除染
避難区域(警戒区域)内で作業しています。除染の基準は計数率で13,000 cpmとされています。
その基準を下回る大型車両は、公共の公園付近に駐車しても良いのでしょうか?
基準策定の考え方
放射線防護の基準は、トレードオフから考えられます。
駐車場に複数の汚染の可能性のあるトラックが止まって、そのそばで子供が遊ぶことを想定した明確な基準はまだ設けられていないようです。
除染技術カタログ
除染関係ガイドライン
介入線量を設定した上で、汚染の状況を踏まえて曝露経路を整理してシナリオを作ると許容できる汚染の程度が誘導できるでしょう。
警戒区域に長期間放置した車両はスクリーニングで高い値が出ることがありますが、除染をしても一定程度の効果しかないため、子供を被ばくさせてしまうのではないか?と心配です。
現状を正確に把握することで、どこが汚染し、どのような対策が可能か考えられるかもしれません。
基準値を上回ったので車両の除染をしたが、それにより一時的に基準値を下回ることがあっても再測定をすると除染前の測定値に戻るがどうしたらよいか?
新たな汚染がないとすると、測定値の解釈に帰着するのでないでしょうか。
東京電力福島第一原子力発電所で使用された後に1000 CPM以下に除染された物を扱う作業(一作業当たり5~10時間程度)を行う場合、作業者の人体に有害な影響はありますか?
リスク
何でもリスクがあります(花崗岩の墓石を使ったお墓参りもリスクを増やす)。
どの程度リスクが増えるかを考えるのはいかがでしょうか。
リスクが増える程度は線量から推測出来ます。
小さいリスクは気にしないという判断もあるでしょう。
1 kcpm以下に除染した物を扱う作業での線量
核種の種類や計数効率がわかると検出器面積分などの放射性物質の量がわかります。
その放射性物質の存在範囲がわかると放射性物質の量がわかります。
放射性物質の量がわかると作業の仕方などを仮定することで外部線量が評価できます。
また、その放射性物質を含む物質の化学的な性質などから内部被ばく線量が評価できます。
これらの線量は放射線計測などで確認することができます。
この作業を行う場合、防護のために着衣等で注意しなければならないことはありますか?
対策を講じた場合の利点と欠点を比較なさるのはいかがでしょうか。
簡単には、衣服にその放射性物質が付着し、それを体に取り込むことを想定して受けうる線量を推計なさるのはいかがでしょうか。
簡単な安全側の試算例
核種をCs-137と仮定し、よくあるタイプのGM計数管だと仮定すると4Bq/cm2を超えない程度。
その面積が1 m2だと40kBqを超えないことになります。
40 kBqのCs-137を吸入した場合の線量は2μSv程度であり、
それを100回繰り返した場合は0.2 mSv程度となります。
放射性物質が付着した車から受ける線量
車の屋根やボンネットに100 kcpmの汚染があった場合にどの程度の線量を受けますか?
ラフな推計例です
40 Bq/cm2が13 kcpmに相当し、100 kcpmは3E+02 Bq/cm2に相当すると仮定します。
車の屋根やボンネットの面積を18 m2とすると、車の屋根やボンネットに存在する放射性物質の量は5.5E+7Bqとなります。
I-131を仮定すると1.4μSv/h程度、Cs-134を仮定すると5 μSv/h程度になると考えられます。