看護師は差別されているのかしら。
また職場でもめ事?
人間関係が大変そうな病院だなあ。
心カテの介助についたらデバイス屋さんは、防護眼鏡、ネックガードまで完璧にして防護衣+防護衝立背側の患者さんからもっとも遠い場所で作業していたのよ。
私たちは患者さんの心理的な変化を見逃さないようにできるだけ患者さんの顔の近くにいるのに。
放射線防護はしていないの?
防護衣と防護衝立で十分だって説明されたわ。
私たちには防護眼鏡、ネックガードも必要ないんだって。
デバイス屋さんのは過剰防護で、スタッフに対して放射線への不安をもたらすので困ると放射線部のスタッフは逆切れしていたわ。
防護眼鏡は6割、ネックカードは9割の線量を低減するとされておる。
(日循ガイドライン図28B)
多くの線量を受けるオペレータには有用じゃ。
看護師も付けるかどうかはトレードオフになるから看護研究で課題してはどうかな。
デバイス屋さんは過剰防護なのかなあ?
J-PARCの安全評価基準では、管理区域境界は法令の1/10、事業所境界は法令の1/20で運用していると聞きました
レント博士
これもトレードオフじゃ。
減らせるリスクとかけるコストを比較してみるとよいじゃろ。
放射線にあたると白内障になるのじゃないの?循環器内科医が心配していたわ。
院内研修では2Gyを超えないと心配ないと聞いたけど。でも、「確実的影響」って何かしら?
「確率的影響」の誤りではないかな。「確定的影響」も確率現象だから、素朴な医学生がよく混乱している。
ともあれ、アメリカの診療放射線技師を20年間追跡した調査(*)だと、最も多く被ばくした群(平均 60 mGy)に比べて最も少ない被ばく線量であった群 (平均5 mGy)では、調整したハザード比は1.18 (95% 信頼区間: 0.99, 1.40)だそうじゃ。
ハザード比は、瞬間的な白内障の発症のしやすさ比だね。有病割合の年齢変化の微分だな。これだとオッズ比と考えてもよいね。
でも60 mGyも線量を受けるってあんまりないような。
ポータブル撮影だと距離1 mだと多くても3μSvって技師会の講習会で聞いた。
装置の線量としての出力と業務内容によるじゃろ。
白内障になったら手術すれがよいとすると30万円程度は必要なのかしら。
高齢になると白内障を持っている人は多いと思うけど。
65-74才だと白内障の有病割合は、18%程度であるようじゃ。
ハザード比1.18だと22%程度になりそうだね。
とすると、治療費用の期待値が5万4千円から6万5千程度になりそうだ。
それだけのリスクをもたらす曝露だったら1万1千円のコストは正当じゃない。
そもそも、その業務でどの程度の曝露になるのか、
過去の個人モニタリングデータで調べてはどうかな。
何か対策を考えるのであれば、
シミュレーション計算で調べられるって、技師会の講習会で習ってきた。
乱数を使った計算じゃな。結果は対数に変換して表示しておるようじゃ。
面積線量計を使っておると線源付近からの散乱線が増えて術者に到達するエックス線の5%程度を占めるようになるじゃろ。
???
センスがなくて申し訳なし。
でもしゃへい体の背後の線量が小さいことが一目瞭然だ。
2020年の日本放射線安全管理学会で素晴らしい発表がありました(4A-2 ウェブブラウザ上での拡張現実を利用した散乱放射線分布の可視化システムの開発 (九大・院・医 1、九州先端科学技術研究所 2)○西和紀 1、藤淵俊王 1、吉永崇 2)
デバイス屋さんの放射線安全も放射線部が責任を持っているの?
派遣じゃなくて請け負い作業じゃから、指揮命令検討外ではあるが、放射線管理区域内では放射線部の指示に従う必要がある。
だからといって看護師に不安を与えるので防護眼鏡を外すように要請するのはどうかと思うな。
パターン化された言説はイメージ強化しうるので注意しないといけないが、この場合は、病院スタッフがちゃんと理解しておれば済む話じゃ。
労働安全衛生法だとどうなっているの?
他の事業所の放射線管理区域に立ち入って業務をすることには十分には対応していないように見受けられる。
事業主には安全衛生教育が義務づけされておるが、そもそも放射線業務をしない事業所に勤務している労働者への対応が十分ではないのかもしれないので、連携するのが大切ではないかな。
線量管理の記録の一元化(pdf file, 737kB)とも関係しそうだね。
医療に携わる様々な方のことを考えて安全確保の仕組みを整えてもらいたいものだわ。
一元化がなされている例
関連情報
心カテ室の看護師の放射線防護に関する資料
IVRにおける医療従事者の被曝について
山口大学医学部附属病院放射線部
末本渉悟、小池正紘、西嶋康二郎、山根正聡
「少しの注意で無用な被曝が低減できるのであれば、ぜひ実践すべき」
日本診療放射線技師会の研修会参加者による感想
「放射線作業者の被ばくの一元管理」シンポジウム
主催
日本学術会議
開催日時
平成23年1月25日(火)
内容
日本原子力産業協会からの情報提供【被ばく一元管理・関係情報】
日本学術会議においても、放射線作業者の被ばくの一元管理について検討され、平成22年7月1日付けで提言が公表され、平成23年1月25日(火)には、関係者の方々と実現に向けた議論を行うためのシンポジウムが開催されました。
概要(pdf file, 180kB)
講演資料
シンポジウム・ポスター(pdf file, 128kB)
日本学術会議の提言「放射線作業者の被ばくの一元管理について」提言(pdf file, 716kB)
放射線業務従事者被ばく線量記録の公的登録管理制度に関する研究
医療機関等における医療機器の立ち会いに関する基準
平成20年4月1日から、 ルールが明確化されています。
カテーテルを扱う業者の方は、アンギオ室には出入りしていますが、透視を伴う作業室内での使用説明は減っているそうです。
X線診療室内の放射線
可視化(仮想現実・拡張現実の利用)
Fujibuchi T, Nakashima M, Arakawa H, Miyazaki H, Anam C. Evaluation of radiation protection effectivity in a cardiac angiography room using visualized scattered radiation distribution. J Radiol Prot. 2024 Aug 22;44(3).
藤淵 俊王, 上田 昂樹, 門柳 紗妃, 上野 大輝, 中村 千裕.仮想現実を利用した放射線検査における散乱線分布の四次元可視化による放射線防護教育への活用法の検討
清水 翔太, 荒川 弘之, 本田 城二, 徳森 謙二, 藤淵 俊王, 医療施設におけるさまざまなX線撮影室条件での散乱線分布可視化と表示ツール開発, 保健物理, 2021, 56 巻, 4 号, p. 315-323
教材例
Monte Carlo simulation and visualization of scattered radiation distribution in CT examination room
今年度の労災疾病臨床研究事業『デジタルトランスフォーメーションを活用した医療従事者の被ばく低減プログラムの開発と有効性の検証』
TOP-279 深度カメラとエッジデバイスで実現するリアルタイム IVR 術者体表⾯線量マップ可視化システムの開発. 成田記念病院 小澤容平
IVR被ばくのリアルタイム線量管理システムの開発
入射方向弁別
Muraishi, H., Enomoto, R., Katagiri, H., Kagaya, M., Watanabe, T., Narita, N., Kano, D. Visualization of Low-Level Gamma Radiation Sources Using a Low-Cost, High-Sensitivity, Omnidirectional Compton Camera. J. Vis. Exp. (155), e60463, doi:10.3791/60463 (2020).
動画
保守作業者の安全確保
業務受託業者の義務
なお、エックス線装置等の保守点検業務を業者に委託している場合、保守点検を実施する者の当該業務による職業被ばくの管理は病院等の管理者ではなく労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)に基づく業務受託業者の義務であることから、放射線診療従事者等とはみなさないものであること。
IAEAの規定は「No.180 派遣労働者に対して電離則で規定されている健康診断を実施する事業所」をご覧下さい。