原子力発電所事故後の現存被ばく状況での放射線防護のカテゴリーの記事は、保健福祉職員向け原子力災害後の放射線学習サイトに移行中です。
結論
150°CのCsCl濃度は大気中のCO2濃度の約15兆分の1程度とされていますので、無視できると考えられます。
参考資料
放射性物質を含む廃棄物の適正な処理処分 (技術資料:概要版)
災害・放射能汚染廃棄物の処理における現状と課題
ラフな試算例
飽和蒸気圧からの計算例です
大気中の二酸化炭素濃度を0.001977 [g/cm3](=1977 [g/m3])とすると、
15兆分の1だと1.318E-10 [g/m3]となります。
Cs-133の土壌中濃度を2 [mg/kg]とし、
Cs-134の土壌中の放射能濃度を5 [kBq/kg]とすると、
安定セシウム中のCs-134の割合は8E-7になります。
このため空気中のCs-134の飽和濃度は1E-16 [g/m3と]となり、
摂氏150度では放射能濃度として、5 mBq/m3になると考えられます。
摂氏40度だと4桁程度小さくなると考えられるようです。
FAQ
飽和蒸気圧って何?
(固体や)液体から気体に出るものと気体から(固体や)液体に戻るものが同じになるときの気体の圧力です。
水だと湿度100%の時の大気中の水蒸気の圧力です。
衣類が乾くのは、飽和蒸気圧に達していないからです。
セシウムの沸点は?
641 °Cです。ちなみに融点は28.4 °Cです。
質量と放射能をどうやって比べているの?
同じ放射性同位体では、放射能[Bq]は、質量に比例しています。
Cs-134の放射能が大きいことは、Cs-134の質量が大きいこと意味します。
放射性壊変は(通常の場合)確率的に起こります。
確率的に起こるとは、ある原子核がいつ崩壊するはランダムであることを意味します。
ある原子核がいつ崩壊するはランダムであるとは、ある原子核が、次の1秒間で崩壊する確率とその次の1秒間で崩壊する確率が等しいことを意味します。
この確率を崩壊定数と称しています。
つまり、放射能は崩壊定数×放射性核種の個数(=質量)で表現できます。
放射能は単位時間あたりの崩壊数であるので、この微分方程式を解くことで半減期と崩壊定数の関係が導けます。
崩壊定数と半減期をかけたものは、ln(2)に等しくなります。
この関係を使って質量と放射能の関係を求めています。
放射セシウムを含む薪を燃焼させた場合に、セシウムは気化や昇華しないの?
疑問が呈されている例
発火していると気化したり昇華することが考えられます(灰の扱いも重要ですが)。
有機物を含む試料で灰化して測定するときには、熱する温度が制御されています。
気体状のセシウムも合わせて空気をサンプリングするとガス状成分も含めて飛散状況が評価できるでしょう。