妊娠中にRIの静注業務を行っていました

線量がきちんと管理されているので問題はありません。
疑問や心配なことは放射線管理担当者に相談しましょう。

核医学室に勤務している看護師です。
妊娠中にRIの投与を行っていました。
子供に影響はないでしょうか?


妊娠中の放射線業務従事の質問ですね。看護師さんがRIを静脈投与することは保助看法どうなのかな?

日本看護協会は、診療放射線技師法違反であるとして、認めていない立場じゃが日本診療放射線技師会は特に判断を示しておらんようじゃ。
行うのであれば、安全性、確実性の観点から看護師の自律的な判断が求められる行為であるとしておる。
また、労働安全衛生法等の法令に則り、事業主である病院が十分に労働者の安全と健康に配慮した上で実施すべきものであるともしておる。
このように、仮に、看護師が実施する場合は、患者と医療者の安全確保、教育体制の整備等、適切な条件のもと、一定の基準を満たした実施者のみが行える業務であり、看護師が実施する場合の業務分担および体制整備について施設内で慎重に検討すべきであるとしてる。

体制を確保して安全性に納得して働くのは当たり前のことだと思うけど。放射線安全上は、線量限度っていう基準があるのじゃなかったっけ。

妊娠中は腹部表面の等価線量限度が2ミリシーベルトで、内部被ばくが1ミリシーベルトと規定されている。

腹部表面の等価線量って何?

腹部表面での1cm線量当量という意味じゃ。教科書に書いてある「等価線量」(=放射線の線質を考慮した(=放射線加重係数をかけた)臓器の平均吸収線量)と定義が違っているので学生さんは混乱しないように。

「1cm線量当量」って何?

深さ1cmの組織吸収線量と同じじゃ。
ここでは腹部表面を基準として1cmの深さでの吸収線量をさしておる。

胎児はもっと深いところにいるのじゃないの?

だから公衆の線量限度が1ミリシーベルトであるのに対して2ミリシーベルトになっておる。腹壁などでのしゃへい効果を見込んでおるのじゃ。

細かい話をしているのですね。内部被ばくって何?

線源が体内にあるということじゃ。線源が体外にあるのは外部被ばく。放射性物質を体内に取り込む場合には、考慮が必要じゃ。FDGを用いたPET核医学だと合成過程で製造装置から空気中へのリークがない限りは、ほとんど考慮不要じゃ。

じゃあ、心配するほどの量かどうかは外部被ばくの線量をこの線量限度と比較すればよいのか。

その通り。医療機関で放射線業務に従事する方は全て線量がモニタリングされておるから、それを確認すればよい。

この方は、投与時に翼状針を使っているので、ルート部が遮蔽されていないのが気になるそうです。ダイナミック検査の時は、長いルートが遮へいされてなくて心配だそうです。

計測されている線量は、そこからの放射線も入っておる。どこまで遮へいするかは検査の方法によるので、色々計算して検討されておる。この検討には看護師も関与しているはずじゃ。

この看護師さんは、血管造影のX線と違ってPETの放射線は遮へいが難しいのではないかと心配されていました。

放射線の粒子の一つ一つのエネルギーが違っているから、遮蔽の程度は大きく異なる。診断領域のX線だと1割にまで減るような防護エプロンでも、PETの放射線は全く遮へいできない。放射線の性質に応じた防護が重要じゃ。

鉛エプロンは絶対ではないのですね。この看護師さんは、散乱線より、γ線の方が、直接放出されており、エネルギーや深部到達度も高いので、胎児への影響が強いのではないかと心配されています。

放射線の種類によって透過率は異なる。中性子線だと腹部表面での線量よりも内部の方が高くなることもあるが、光子だと腹部表面の線量より極端に高くなることは考えられん。線量限度に近い曝露でなければ、気にしなくてよいことじゃ。

注射するその時が、一番RIの量が多く、γ線の放出が最も多いので、散乱線をうける消化管透視やアンギオに入るより、RIの注射の方が、胎児への影響が強くないかご心配のようです。

その理解で正しいが、減衰前での線量が小さければ、リスクは小さい。また、RI と血管撮影のどちらの線量が大きいかは、業務形態によるので一概に言えん。それぞれに応じた防護が大切じゃ。

教科書に、確率的影響の「がん」:0.028/Sv 遺伝的影響:0.01/Svと書いてあって心配になったそうです。

その数値は、リスクの大きさの推計値(単位線量当たりの確率)を示しているのじゃろ。
例えば、がんの場合の0.028/Svを用いると、全ての検査への従事で例えば6μSvの曝露であったとすると、リスクの大きさは、
0.028/Sv×6E-6Sv=2E-5
(E-5は10-5
となる。
つまり、10万分の2程度ということじゃ。

10万分の2の確率で放射線に誘発されたがんが発症するってこと?確率じゃピントこないなあ。

それが発症した場合に寿命が50年短縮されるとすると、4分程度の寿命短縮のリスクとなる。

その程度のリスクの大きさということか。
仕事のためには許されるって考えられているんだね。

きちとした教育を受けて、ちゃんと防護することが前提じゃ。
どんな分野でもリスクとの付き合いは避けられないが、
放射線診療業務はリスクがよく制御され安全が担保されておるのじゃ。

働く女性の方も色々なことがあると思うけど、納得のいく人生を送られて欲しい。

RI静注業務にも従事している看護師からのメッセージ

脳血流シンチの看護師による静脈注射の試み
県立下呂温泉病院 中央放射線部 坪井隆也

済生会山形病院の事例
PET1検査あたりの線量は診療放射線技師が1µSv、看護師が1.8µSvで体制の整備など線量は低減できる。

横浜市立大学付属病院の事例

「チーム医療の推進に関する検討会」

「チーム医療の推進について」
「看護師が行う医行為の範囲に関する研究」(平成 22 年度厚生労働科学特別研究事業)

通知

看護師等による静脈注射の実施について

記事作成日:2010/01/27 最終更新日: 2017/07/22

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